変人集う演劇研究会に青春を捧げていいものか?

伊吹高校に通う生徒は皆何らかの部活に所属しなければならない。しかし瀬野蓮冬は四月も終わりに近づいているのに未だに部活に入るかを決めていなかった。そんな蓮冬に目をつけたのが、演劇研究会「サンデーゴリラ」。彼らはあの手この手を使って、蓮冬を勧誘するが、蓮冬には演劇研究会にだけは入りたくない理由があるようで……。

とにかくキャラクターの一人一人が立っているのが本作品の最大の特徴。天然ドジっ子で蓮冬を勧誘しようとしては自滅気味なトラブルを引き起こすクラスメートの桃紙萌々絵に、蓮冬の幼馴染でいつもお姉ちゃんっぽく振る舞う宇仁島羽織、そして学年随一の美少女ながら冷たすぎる言動によりヒャド子というあだ名がつけられた内田有栖。それ以外の演劇研究会の先輩たちやクラスの友人に至るまで男女問わずやたら個性的で、そんな彼女たちに振り回される蓮冬の語りも軽快で非常に楽しくテンポよく読める作品。

ただ楽しいばかりではなくて、周りと較べて自分だけ上手くやれなかったり、つい先輩と対立してしまったり、練習が嫌になってサボってしまったりと、部活につきものの悩みやトラブルもしっかり押さえた青春ラブコメに仕上がっている。


(「部活、どうでしょう?」4選/文=柿崎 憲)

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