エピローグ

――導入

 十年間にも及ぶ戦争は、リヒテ王国の内政に深刻な打撃を与えた。


 食料の宝庫だった北の平原は、以降数年は何も育たない荒れ果てた地へと変わった。


 リヒテ南方の都市や町は北から逃げてきた避難民で溢れかえ、極度の食糧難と治安の悪化を招く。


 職や働き口を失った人達が増え、若い男の数が極端に減り、経済は破綻し、それでも前線を維持する為の費用を捻出しなければならない悪循環の連鎖に陥ったリヒテ王国は、別の意味で滅びを迎えようとしていた。



 ――レシスト共和国、グラナド市立歴史研究所の所長、リオレン=シモンの著書

『近代歴史概論』、「十年戦争編―各国への影響」から抜粋――

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