第二章 : 適応から順応へ

――導入

 リヒテ王国軍は4つの騎士団で構成される。


 まず第一騎士団である《双剣騎パレンシス士団》は十年戦争開戦当時の記録によると、所属する騎士の数は八百、そして地方駐屯軍と海岸警備隊を合わせた約五千の兵で成り立っていた。


 そして第二騎士団である《獅子の牙騎士団ライオンズ・ネーシャス》は一千二百の騎士と一万の兵で構成され、主に国境守備を担当していた。

 また騎士団長を代々ラインハルト家で勤めていたことから、俗名ラインハルト騎士団とも呼ばれていた。


 次に第三騎士団である《雷の声グローム騎士団》は少し独特で、所属する騎士の数は三百、ただその傘下に固定の兵士は存在しない。

 その代わり、必要に応じて騎士団の権限で各都市の警備隊を徴兵する権利を有していた。それ故、雷の声騎士団は特定の拠点を持つことなく、十年戦争でも主に遊撃隊の任を任されていた。


 最後に《近衛このえ騎士団》は王都警備隊を傘下に置き、騎士二百と兵二千で構成される。

 4つの騎士団の中で所属する騎士の数が一番少ない代わり、各騎士団の選りすぐりを集めた近衛騎士団は、十年戦争の最後まで帝国を悩ませ続けた。

 

 これらリヒテ王国4つの騎士団では特殊である雷の声騎士団を除き、騎士1人に当たり通常4名以上の一般兵士が付き従う形を取っていた。

 そして騎士10名から20名程度の数を束ねる者を大騎士と呼ぶ。また大騎士を5名から10名束ねる騎士が騎士隊長の任に就き、その騎士隊長らを配下におくのを騎士団長、1つの騎士団の頂点としていた。



 ――レシスト共和国、グラナド市立歴史研究所の所長、リオレン=シモンの著書

『近代歴史概論』、「十年戦争編―リヒテ王国軍の構成」から抜粋――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る