ゆりかごと子守唄
雨世界
1 あなたの世界を救うために。
ゆりかごと子守唄
プロローグ
あなたの世界を救うために。
本編
君に伝えたいこと。
……それって、いったいなんだと思いますか?
ずっと一緒に暮らしてきたお母さんが亡くなって、ミドは一人ぼっちになった。
ミドはずっと、お母さんと二人だけで、森の奥にある小さな小屋の中で、街から離れて、ほかの誰とも出会うことなく、二人だけで孤独に暮らしてきた。
でも、お母さんが亡くなってしまって、ミドは本当の一人ぼっちになった。
お母さんがベットの中で死んでしまったときに、ミドは本当に、深く悲しんだ。「お願い。お母さん死なないで」となんども泣きながらお母さんにミドは言った。でもお母さんは「ミド。ごめんね。本当にごめんなさい。あなたはこれから一人になってしまうけど、ちゃんと生きて、幸せになりなさい」とにっこりと笑っていうだけで、ミドの願い通りに、もっと長く生きてはくれなかった。
お母さんが病気で倒れてから、ミドは毎日毎日、神様にお願いをした。
でも、神様はミドの願いを聞き届けてはくれなかった。
お母さんのお墓は、森の奥にある小さな丘の上に立てた。そこには大きな木があって、お母さんはその場所がすごく大好きだったから、ミドはその木の横にスコップで小さな穴をほって、そこに泣きながら、一人で、お母さんを埋葬した。
……それは本当に、辛くて孤独な作業だった。
……その日は、朝からずっと森には雨が降っていた。冷たい、冷たい雨だった。
一人ぼっちになったミドはお母さんの持ち物をまとめて、大切に倉庫の中にしまいこんだ。そして、その大切なものを無くさないように、しっかりとドアに鍵をかけた。
ミドはお母さんと二人で暮らしていた家の中を一人で隅から隅まで、綺麗に掃除をした。二人でこまめに掃除をして、いろんなものを大切に使って生活をしていたから、元から綺麗な家だったけど、ミドは黙々と一日中、時間をかけて家の中を綺麗に掃除した。
それから次の日には、天気が良かったので、毛布や枕、普段着ている洋服や下着と言ったものを、いっぺんに一度、全部洗濯をした。
とても眩しい太陽の下で、それらの洗濯物を干していると、なんだかすごく(昨日の大掃除も含めて)疲れてはいたのだけど、気持ちはだんだんと明るくなっていった。
汗を書いて、体を動かしたことがとても良かったのかもしれない。
ミドは緑色の森の中で、青色の空の中に輝いている太陽を、眩しそうに目を細めながら見て、にっこりと笑った。
その日、『ミドは生きよう』と思った。
お母さんと一緒に、お母さんのあとを追って、……いなくなってしまったお母さんにもう一度会いに行こうと思ったりもしたのだけど、それは今は、やめておくことにした。
自分一人で生きることを決めたミドは、まずはお腹が減ったので、ご飯を食べるために料理をすることにした。
「よし。頑張っちゃうよ」と言って、にっこりと笑ったミドは、洗濯物の様子を見ながら、料理をするために家の中にあるキッチンにまで、とんとんと軽い足取りで移動をした。
ゆりかごと子守唄 雨世界 @amesekai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ゆりかごと子守唄の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます