第2話 行き先は——

来る日曜日。天気は——雨だった。

どこか僕は安堵していた。別に女性と出かけるのが初めてで、晴れの時は自分が率先していくため不安だったというわけではない。

…決して。

「ピコン」スマホの通知が鳴った。天宮さんからだ。

「おはよっ!今日は雨だったね〜、じゃあ私が行き先を決めるね!

待ち合わせは君んちの喫茶店にしようか!

時間は10時半くらいね〜じゃあまた後でね!」

…一方的にいろいろ決まってしまった。

わかりました、と返信して僕も準備をした。



10時25分。からんと店のドアの鈴が鳴り天宮さんが来た。

「こんにちは〜!快人君、じゃあ行こうか!」

「は、はい。行きましょぅ…。」

両親の視線が背中に当たって痛い。僕は早々と店を出る。

「さっそく向かうよ〜、ここから歩いて10分くらいかな。場所は着くまでのお楽しみねっ!」

近場にいい場所なんてあったかな…?

「どんな場所か楽しみです。」

「うん!あっここのパン屋さんすごく美味しいんだ〜私はメロンパンが一番好き!ひとつ買おうかな、快人君は何にする?」

「えっ?僕はクロワッサンが好きです。」

「わかった!じゃあ買ってくるね〜。」

そう言うと瞬く間にパンを買ってきて戻ってきた。

「買ってきたよ〜、後で食べよ!」

「ありがとうございます、お金渡しま」「良いって!私から誘ったんだし気にしないでっ。」

「すみません、ありがとうございます。」

「うんっ!」

そう言ってまた歩き始めた。僕も続く。

「天宮さんって大学生ですか?」

「そだよ〜今2年生。近くの〇〇って大学だよ、君は?」

「僕は今高2です。△△って高校に通ってます。」

「私もそこの学校通ってたよ!まあ近所だしね〜」

共通点があってなんとなく嬉しくなる。

その後天宮さんが足を止めて、

「着いたよ!ここでした〜!」

「公園?ですか。」

そこは近所の少し広い普通の公園だった。僕も小さい頃はよく遊びに行っていたところだ。

「うん!がっかりしちゃった?ごめんね、でも私にはとても大切な場所なんだ。」

「いえ、僕も小学生の頃までは遊んでいたので懐かしいです。」

「そっか!じゃあ雨降ってるしまずあそこの屋根あるところまで行こっ!」


そう言って2人で東屋まで向かって行った。



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雨と彼女と僕と 茄子 @nasu04

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