第5話 目覚めろ、俺の力

俺は、どうしたらいいか考える。

そして、何も浮かばない。

「どうしよ…」

「何がだ?」

そう言って女王は俺を睨んだ。

手には雨の魂(たま)

これを俺が使えば、良いだけなのに…

にしても、前にも思ったことがある。

この魂いい匂いがするんだよな。

ふと、出来心で舐めてみた。

それを見て女王は驚く。

そして、声を上げた。

「なにをしている!!我が種族に伝わるものを。」

女王は怒り狂い、周りの家来たちに俺を槍で刺すように命じた。

でも、俺は思った。

ここに来る前の自動販売機の意味を。

そして、俺は叫んで、歌った。

「おいしい!おいしい!雨(飴)の魂。とっても甘じょぱい雨の味。俺の下に残ってはくれないか!」

「何を言っている!!刺し殺せ!!」

そう言って、家来が槍を刺そうとした時。

「お前は、選ばれし者。味がわかる者。残してあげよう、この味を」

そう言って、俺の舌に宿った。

そして、とっさに唱える

「ストップ・ザ・レイン」(雨よ、止め)

遅かったと後悔する。

既に、一本の槍が刺さっていた。

「うっ」

舐める時に取った袋、唱える時に使った残りの酸素。

そして、体内の酸素。そして、体から血が流れる。

俺死ぬのか…

やっと、謎が解けたのに。

てか、妖精たちどうなったかな。うまくやったといいな。

朦朧とする意識の中、雨が止まった事を報告する言葉が聞こえた。

~候!!、死んだらダメ!!起きて!~

この声はフィーネか?

なんだ、死ぬ間際に好きなやつの声聞けるとか、最高かよ…

~候!!私を呼んで!!あなたにはまだやる事がある!!~

フィーネ、逢いたい…

そこで、意識が途絶えた…


~数日後~

「んっ・・・ここは?」

俺は目を覚ました。

フィーネが俺の横で、椅子に座って寝ている。

その横には狼族。そのうえで、双子の妖精が寝いている。

「俺、生きてんのか?それともまた転生…」

「生きてるんじゃよ、奇跡的に」

そう言って現れたのは、人魚の女王だった。

「俺…」

「候殿、すまぬ、許してくれ。」

「女王様。こいつの命救ってくれたんだな。ありがとう」

そう言って、狼族の事を見た。

「あれから、1週間、お主は眠っておった。このエルフの娘が助けに来なければ死んでいた。償っても償いきれぬ。疑い、傷つけた。」

「いいさ、みんなが幸せになれば。それに俺生きてるし。」

「心が広いの。そして、でも使えなかったこの力に認めさせた。私も今回の事で、お前に、この世界をかけることにする。」

「ありがとう。男たちも無事なんだろ?」

こくりと頷き、契約書を渡してきた。

「交友関係の書だ。私と国王である私の旦那の名が入ってる。」

「そうか、ありがとう。これからもなにかと頼む。」

「もちろんじゃ」

そう言って、女王は出て行った。

これは、フィーネの頭を撫でながら礼を言った。

そして、霧の力も手に入れた。

こっそりと…

レディの目の前で舐めるなんて、俺にはできないからな。

にしても、可愛い。

でっかい犬に妖精。

そして人魚。俺は、命を落としかけているが、何かと順調じゃね、と開き直りだした。でも、一つ言える事。

「魔女の手がかりも、対策も持ってなくね…」

それだけだった。


「候!!なんであの時すぐ呼ばないの!!」

「候、生きてたのね。死んだかと思ったわ」

「生きててよかったの~」

「命の狙ったのにも関わらず、助けていただきありがとうございます。」

また賑やかになったな。

そう思いながら、次の場所を考えていた。

にしても、フィーネのおっぱい、あいかわらず、綺麗。

人魚も良かったけど。




「魔女様、人魚族、妖精族制圧された模様です。」

「そうか、やはりな」

そういって、光に鱗をキラキラさせながら、魔女は企む。

「まぁ、鱗の数もそろったし、あとは・・・」

「あの層でございますか。」

ニヤリと魔女は笑った。

「彼女をここへ」

「かしこまりました」

大きな水槽の中には、人魚が1人

「離して!!家に帰して!!」

「そうはいかぬ、まだ働いてもらう」

「もうでないよ」

「じゃあ、これはどうする」

そう言って、氷の中の塊を見せる。

「だめ、それは食べては」

「そうだろうな、じゃあまだでるな」

そう言って、コクリと頷かせた。

「ふふ、候よ、次はどうするんじゃ?こちらはもう手を打っておるぞ。」

そう言って、魔女は笑った。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人間辞めて他の種族になりてぇ!けど、なんか違くね!?~湖の中の人魚たちの苦悩~ 若木澄空 @fujikisora

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ