孤独との戦い

星成和貴

第1話

 何で、みんな僕をいじめるんだろう?

 僕はただ、みんなと仲良くなりたいだけなのに、村へ行くといろんなものを投げつけられたり、物を持って追いかけられる。僕が何をしたの?


 僕がまだ小さかった頃、よく遊びに来てくれる子供がいた。僕も楽しくて、その子と毎日のように遊んでいた。

 でも、ある日、突然来なくなっちゃったんだ。それでも、僕はまた来てくれるのをずっと、待ってた。また、一緒に遊びたかったから。

 でも、どれだけ待っても来なくて、いつの間にか僕も成長して大きくなっちゃった。だから、もう、会っても気づいてもらえないかもしれない。そう思ったけれど、寂しくて、麓の村まで初めて会いに行ったんだ。

 けれど、それが間違いだったのかもしれない。僕の姿を見るなり、僕をいじめてきた。何もしていないのに。

 それから、たまに僕の住んでるところにまで来ていじめる人も出てきた。とても痛くて、怖くて、止めてほしいから、止めて、って声を上げると、反対にいじめがひどくなっちゃう。だから、僕はただ耐えることしかできないでいる。

 それでも、どうしても我慢できずに暴れちゃうと、みんないなくなってくれる。でも、僕の望みはみんなと仲良く遊びたいだけ。だから、いなくならないで。


 そんな日々をどれだけ過ごしたのかはもう分からない。僕はもう、みんなと友達になるのは諦めることにした。けれど、最後に一度、もう一度だけ、麓の村へ向かった。

 両翼を久しぶりに思いっきり伸ばして、僕は村へと向かった。久しぶりの空はやっぱり、気持ちよくて、地上にしかいないみんなにも是非、味わってもらいたかった。

 そして、村に着くと、いつもの怒声が聞こえた。

「ドラゴンだ!ドラゴンが来たぞ!迎え撃て!」

 また始まるいじめ。いろんなものが僕に向かって飛んでくる。今までと一緒。少し耐えれば、そんな風に思っていたけれど、今日は違っていた。

 僕の身体の表面で爆発したり、いつもより大きい棒が飛んできたと思ったら、僕の身体に深々と突き刺さったり。

 痛い。痛い。怖い。痛い。

 僕は抗うように全身で抵抗した。そうして、気付けば何も飛んでこなくなった。

 下を見ると、村は瓦礫の山に変わっていた。小さな人間たちもみんな、動かなくなっていた。


 小さいときみたいに友達が欲しかっただけなのに、どうしてこうなってしまったんだろう?あれから一千年くらい。彼はまた、元気にしてるのかな?

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孤独との戦い 星成和貴 @Hoshinari

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