第35話 最終決戦

 魔王城の穴の中の怨念が形となって出てくる。

 何人かの魔王や王太子と呼ばれた男達の服装をした男性の成れの果てのゾンビや、また正室や側室と呼ばれる服装をした女性の成れの果てのゾンビがわらわらと出てくる。

 ヘンフリが一人の半分腐った魔王とエルフ族の女性を俺の前に連れてくる。ヘンフリが二人(?)に対して

「お前の愛する息子だ!喰らい尽くせ‼」

と命令する。

 半分腐った魔王は全く見たこともないので火の精霊魔法で灰にした。エルフ族の女性も全く母の面影が無く腐臭を漂わす青白いゾンビだったので、躊躇することなく火の精霊魔法で灰にした。

 ヘンフリに対して、せめて母親位、昔のきれいな思い出の女性にしてくれればよかったのに等と残念な思いだった。

 わらわらと出てくるゾンビを火の精霊魔法で焼き尽くす。

 ヘンフリが燃え上がった灰を集め、体に纏わりつかせて少しずつ灰の怪物になっていく。そのヘンフリの後ろから魔王の女性、初代魔王の骸骨が現れる。

 初代魔王は骸骨の口を開く

『口惜しや、口惜しや、何度天使族の女の命を狙えど、お前などに阻まれる。

口惜しや、口惜しや、お前などに可愛い我が子のような部下を倒された。

口惜しや、口惜しや、我の切り札のゴーレムをよくも倒してくれたな!

恨めしや、恨めしや、我がお前を喰らい尽くそうぞ!』

と言って、ヘンフリに覆いかぶさる、見る見るうちに大きな灰の怪物が出来上がる。

 我が儘者のヘンフリが初代魔王に乗っ取られるのを嫌がるのか大きな灰色の怪物の中で二人が暴れている。俺は呆れているが・・・!何となくそれを見ていて気持ちが落ち着いて来た。

 俺は大きな灰色の怪物を氷の檻に閉じ込める。氷の檻ごと火山の噴火口の上空に転移で飛ぶ、ぐつぐつと煮えたぎるマグマの中にそいつを放り込む!

 あっという間に氷の檻が解ける、檻の中の大きな灰色の怪物がマグマの中に入っていく。何度か真っ赤になりながら大きな灰色の怪物はマグマの中から出ようともがくが、そのうち力尽きてマグマの中へと消えていった。

 火山の噴火口の上空からそれを見ていた俺の横に火の女神イザナミ様がいつの間にか立っていた。

『怨念、邪念の廃棄物処理場じゃないんだから、あんまり怨念、邪念の塊の汚いものを放り込むのではない!』

『まだ、少し魔王城から怨念や邪念が溢れているが...これからどうする、まだこの地の半分、この世のほんの少ししか治めていない。これからお主の働きが楽しみだな!この世を統べる王よ!』

と言ってエンマ様に似た顔で艶然と笑った。

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俺転生したの いのさん @kiis907595

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