Ally-22:高邁なる★ARAI(あるいは、接近グメイジャー/メトローポリ)
翌、火曜日。放課後。
「……そっつる
改まったり厳かになったりすると大抵がろくでもないことに発展するということを、もう僕はその
僕らの最寄り駅、京急長沢駅の改札出て右方面。高架下を余すことなく使ったガラガラの駐車場の一角に集合をかけられた我らが「1Q85団」。
おそらくは適当に怒鳴りはったんだろう程度にしか思っていなかった昨日の御大の捨て台詞が本気のモノであったことに一抹の狂気を感じつつ、用事があるから今日はごめんねとの言葉を残した
「な、何か秘密特訓みたいでドキワクですなぐふッ!! こいつぁハァハァもんだぜぇ……」
「ふ、我が兄マゼンタ……興奮するのはまだ早い」
それとは真逆に、準構成員の御二方はえらいノリノリの様子だ。どこにそんな高揚する要素があるのか非常に理解しがたいけれど、ただただ
きょ今日はありがとう美味しかったよ特にからあげ……と、放課後の先ほど、人のはけた教室でアライくんと共に本日のお弁当(おにぎり、からあげ、卵焼き、ミニトマト、アスパラベーコン巻きの、鉄板ピクニックスタイルだった)のお礼を緊張のあまりがくがくと顎を揺らしながらも述べたのだけれど、三ツ輪さんは照れたように、ごごめん簡単なものだけで明日はリコ姉と一緒に作るから少しはましになると思う……との畏れ多すぎることこの上ないほどの天上のプラセボ(いい意味で使われるのだろうか/どのみち意味不明か)のような言葉を返してくれたわけで、すなわち現時点の僕は心身共に満ち足りている。よってアライくん発の少々の無理難題には耐えられる
や、やぱちょ
とは言え、昨日あの後急いで買いに行ったものであり、二段式でシンプルなのを1500円しないで買えたのは良かったものの、このために買いました感が出るのがちょっと恥ずかしかったので昨晩、金だわしで慎重に擦って自然な使用感を出すことに結構な時間を費やした。けど手渡そうとした時に、おり? ジローばの駅前の
目の前で準備運動的なものを始めた大柄のと、腕を組み髪がそこまでかかっている尖った顎に指を添えながら無駄に脚を交差させて佇む細身のとを見ながら、でもお金はこのふたりから
と、
「と、東京は恐ろしかとこかど。ゆえに護身の術らっちょを身につけぇなば駄目ねりば」
車止めの上に登って腰に手を当てた非常にしっくりきているポーズにて、団長は跳んで神奈川のようなことをのたまいだすけれど。今日の出で立ちはいつもの赤白スタジャンに下はオリーブ色の使用感溢れるフライトパンツ、足元はアメリカの子供が好みそうなカラフルなパステルカラーが各パーツに取っ散らかったように散りばめられたスニーカーと、パッと見は分からなかったけれど
ともかく、1985年から遠ざかりつつあることに若干の不安を抱えながらも、団員たる僕は団訓に従い、ほか二名と横並びに整列するほかは無いのであって。大丈夫かな……その、諸々においてが。
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