Ally-20:苛烈なる★ARAI(あるいは、一斉不備/四面疎外感)
はたして、「道」ェ……
「
いきなり呼びつけられたにも関わらず、二人とも十分もかからずくらいで
もう一人は、正面から相対してもまるで後頭部を見ているかのような、それでいてまったくアハ感をもたらすことは無いという無意味な騙し絵じみた、もっさり金髪長髪を顔の前に簾よりも簾然と垂らしつつ、黒いスーツとシャツにさっきは無かった真っ白なネクタイが要らん差し色のように気障りさを引き立てて呈示してくるという、
彼らの席を開けるため、通路側に座っていた僕とアライくんは窓側のソファへと移動。
何だろねこの状況……との己への問いかけは何も為さないことをそろそろ僕は肝に銘じるべき
アライくんに意味不明な求心力があるということは、もう充分過ぎるほどに知らしめられている。三ツ輪さんのことも勿論そうだし、春日井のおばあちゃんも言うたらそうだよね……かくいう僕だってその最たるものかも知れないのだから何も言えないっちゃあ言えない……
そして取り分けて「信奉度」的なものが振り切れかかっているのが
ほ、ほんとですかいッ? との声を上げたのは向かって右、
それには答えず、もったいぶった手つきで団長はその両者の前にずずいと白い
刹那、
こここれはあの……ッ!! との声を上げたのは向かって左、
「……知っているじゃば話は早かど。それこそが『EXPO‘85』公式記念メダルッ!! 純金仕上げ40枚セットがのうちのひとつとひとつよぅ……」
さらにのもったいぶった口調でアライくんはのたまう。その横顔をちらと拝見したらひどく悪そうな顔をしていたけど、よくそんなものを持って来ていたね……ちなみにコーティングされているだけで全部が純金では無い。念のため。
「
多分こういう体育会的・軍隊的なやり取りの何かに憧れていたのだろう、お手の物の上からの物言いも、今のこの瞬間はますます切れ渡っている。各々の名前はいい具合に間違っているけど、それは当然些末なことと言える。
あ、あわわあうわわ……と、テンパッた時の僕のような声を上げながら、そのメダルの乗ったコースターを押し戴くようにする二人。この二人は何でこれらのモノに食いつくんだろうね……そんなに1985年の波が来ているとでもいうのだろうか……と、
「……あくまで『準』だからね。しょうがない措置なんだからね。だから団長さんの言うことは絶対聞くことっ」
三ツ輪さんはやはりこの二人には冷徹一辺倒なんだけれど、何だろう、それもまた良ひかな……天上のいぱねまのような(ググってもどういうことかは分からない)涼やかな声が、僕の前頭葉辺りを甘く震わせてくるよ……
でも眼前の二人は天使そっちのけで、今しがた渡された金色のメダルをぐひぐひ言いながら見せ合いっこなんかしてるよ本当に度し難いな……
とか思っていたら、突然三ツ輪さんがその
その白魚のような指と指の間に挟まれていたのは、気品ある黄金の輝き。まあ他の二人に配られたものと材質は同じなのだけれど、何故か黄銅と純金くらいの差をもって光り輝いて見える……
「……副団長の私はこの『コスモ星丸』くん……言わずもだけど、私の命令もまた絶対であることを……肝に銘じておくように」
ほんとにこの二人に対しては冷たいな!! 慄く二人……そしてメダルの絵柄がこの団でのヒエラルキーを示しているとでもいうのだろうか……ッ!! でもさっき僕がアライくんからぞんざいに投げ渡されたのは「
「……その下の『団訓』もよぉ見るがじゃじ」
僕の逡巡を尻目に、もったいぶったままのアライくんの仕切りは続いていく……
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