953話 ゼロ
パトリックは苦笑して
「そのホムンクルスは、女性の姿で、『ゼロ』と名乗っていました。
どうも最初のホムンクルスらしく……作ったのは古代人の神のようです。
サロモンが使役しているホムンクルスも同様とのこと」
カルメンは興奮気味だ。
「おぉ……。
分解して中身を詳しく見たいですね」
過呼吸の気配がする。
キアラはカルメンを必死に
俺としては出所が気になるな。
「つまり
場所は分かりますか?」
パトリックは苦笑してうなずく。
「悪魔の地に不可視の封印があったようです。
封印を解く条件は、聖
そのホムンクルスは聖
ただ問題があって製造は中止したそうです。
ゼロはそれらのホムンクルスを、第1世代と言っていました」
クレシダの差し金で、聖
そこで第1世代を持ちだしたのか。
まったく……面倒な筋書きを用意してくれるものだ。
ようやく平静に戻ったカルメンが腕組みをして考え込む。
「それを聞くと第1世代は欠陥品に聞こえますね。
それなら破棄すればいいと思いますよ。
まさか古代人の神に勿体ない精神がある、とは思えませんし」
どうだろうか。
異世界から持ち込んだ素材であれば貴重だろう。
パトリックのことだ、しっかり説明してくれるはずだ。
俺の視線にパトリックは上機嫌にうなずく。
「追って説明します。
ゼロは『第1世代が目覚めたので、自分も目覚めた』と言っていました」
カルメンは怪訝な顔をする。
「それだけ聞くと……。
ゼロは第1世代を制御する存在だと思いますね。
野良ってことは……。
クレシダはゼロの存在を知らなかった?」
キアラが不思議そうに首をかしげる。
「あれ?
それ以前の話ですけど……。
魔物が生まれたのは、古代人の神が消えてからですわね。
なんか矛盾しませんこと?」
古代人の神が単なる異世界人とは説明していない。
話したくないし……説明しなくても問題ないからだ。
俺も乱暴に分類すれば同類だからな。
たしかに第1世代で魔物を制御していることは矛盾している。
パトリックは真顔でうなずく。
「私も疑問に思ったので、ゼロに尋ねてみました。
『今の人間は、不純な魔力が多すぎて制御出来ない』そうです。
精々感情に小さな波を起こす程度だと」
思わず腕組みしてしまう。
「それはかなり危険な能力ですよ。
人はいつでもしっかり意識を保っている……わけではありませんからね」
「その点は指摘しませんでしたよ。
ゼロ自体にその能力があるのかも分かりません。
敵か味方も分からないのですからね」
パトリックの判断は信頼が置ける。
凄腕の死霊術士だけに慎重だ。
感情に小さな波か……。
クレシダなら当然重要性を理解しているはずだ。
アラン王国が思いのほか大人しいのはこれのせいか?
「つまり『完璧に制御出来ない限りは駄目』という認識だったわけですか……。
それでも厄介な話です」
「昔は完璧に制御出来たらしいです。
魔物の魔力は、太古の人類に近いから制御出来ると。
そうでなくては太古の人類に、高度な建築など不可能だったようです。
大勢を一度に動かすと、さすがに指示も大まかになるようですがね」
魔物は第1世代に制御されていたのか。
聞きたいことは沢山ある。
その前に根本的な疑問からいこう。
ゼロの情報がなければ先に進むことは出来ない。
「ゼロと第1世代は別々の場所に封印されていた。
そして第1世代だけ、クレシダが動かした……この認識であっていますか?」
「それで合っています。
まずゼロの目的から説明しましょう」
自我があると言ったな。
自我由来の目的か……単純に命令されたものだろうか?
「目的? まさか人のように生きることが目的ではないでしょう?」
「第1世代は重篤な欠陥があり、野放しには出来ない。
目的は第1世代の破壊です」
キアラは首をかしげる。
「欠陥品ですの?
それならカルメンの言ったとおり……最初に破棄すれば済むと思いますわ」
そう……欠陥品なら破棄すれば済む話だ。
だから破棄出来ない理由が存在する。
「どうも第1世代を破壊すると、環境に悪影響を及ぼすらしいのです。
破壊しては、古代人の神にとって良くない結果を招く。
そのような仕組みは、後々に発覚したようです。
悪影響の内容は、ゼロに知らされていません。
環境に悪影響があっても、野放しにするよりはマシ……と判断されたようです」
たしか自分たちの移住先にしようとしていたな。
その計画に支障がでるほどの悪影響か。
分からないな。
俺たちにとって有害かどうかも。
「それで……その欠陥とは?」
「動き続けると自我を持って、主人に反抗するようです。
ゼロもそうですが……。
ホムンクルスの自我は、錬金術師にとっての永遠の夢でした。
遙か昔に実現していたとは……なんとも羨ましい限りです」
自我を持って反抗か。
破壊出来ないなら従順であること。
これが絶対条件となる。
これは神などではなく、
「そのゼロは自我がありそうに思えますが……。
それは問題ないので?」
「ゼロは基礎となるモデルなので採算度外視で作られたようです。
だから自我を持っても決して反抗しない。
ただ製造コストと完成までの時間が
ゼロは一体のみの製造で終わりました。
ゼロをベースにコスト削減して、第1世代を作ったものの……。
第1世代は最適化不足で欠陥品というオチです」
カルメンは皮肉な笑みを浮かべる。
「神と呼ばれるわりには……計算外だらけですね。
まるで別の世界から来た人のようです」
神なら計算外はない……か。
だが神にも、計算外はある。
悪霊もそうだ。
ラヴェンナだって失敗する。
教会が一神教だからこそ、神は
「それを詮索しても仕方ないでしょう。
物語のアイデアとしてなら役に立ちますがね」
パトリックは苦笑してうなずく。
「ラヴェンナ卿は相変わらず現実的ですね。
普段なら食いつくかと思いましたが……。
まあ……いいでしょう。
古代人の神は、第1世代より機能が制限された第2世代を作成しました。
今度は安全を志向しすぎて、利便性に欠けたそうです。
今のホムンクルスは、第2世代の技術を流用したものでしょう」
あまりこの件について、考えを巡らせたくないだけだ。
それより、気になることがある。
「クレシダ嬢はゼロの存在を知っているのでしょうか?」
「知らないと思います。
古代人の神たちの間でも極秘扱いのようでした。
クレシダが第1世代の欠陥を知っているのかも分かりません」
それは一安心だ。
計算がより複雑になるからな。
ゼロについて知らないなら、第1世代の欠陥も知らない可能性がある。
それでも第1世代が封印されていた理由を考えるだろう。
つまり……なにかしらのデメリットが存在することを。
世界を破壊するクレシダにとって、無理に知らなくても問題ない。
それどころか、楽しみにすらするだろう。
ただ……気になる。
ゼロは
「それにしても……。
随分と教えてくれるものですね」
「ゼロの知識では、現在の状況が分かりません。
しかも魔物の支配能力は、第1世代より大幅に劣る。
使命を果たすために、私たちの協力が必要と認識したようです。
私が納得しないと手を貸さない……と悟ったので、取引材料として知る限りの情報を引きだせました。
代わりに目的達成のためには協力すると、制約をしましたよ。
ギアスのような呪いに近いものです」
カルメンは呆れた顔で、ため息をつく。
「得体の知れない呪文を掛けられて平気って……。
たしかにアルフレードさまの目的と相反しないけど、よく平気ですね」
パトリックは笑いだす。
「滅多にない体験だ。
しかも失われた知識が得られるのだぞ。
得体が知れないけど、どのような性質か探る楽しみもある。
ただゼロは生き字引ではない。
技術に精通していないので、昔話が聞ける程度だ。
それだけが残念さ」
もうひとつ素朴な疑問がある。
「ゼロは古代人の神がいないことは知っていますか?」
「当然理解していました。
それでもゼロの目的は変わらないようです。
そもそもゼロへの指令に、情報の隠匿は含まれていませんから。
ただまぁ……。
なんともモヤモヤすることがあります」
パトリックがモヤモヤするとは珍しいな。
「それは……なんですか?」
「ゼロの目的は、第1世代をすべて破壊して、自分を停止すること。
自我があっても、死への歩みを止められない。
色々言葉を交わしましたが……自我としか認識出来ませんでした。
妙に人間くさいのです。
これで自我がないなら気にしないのですが……なんともスッキリしませんよ」
ゼロという存在を知ると、チボーの動機が少し変わってくる。
功績なしでラヴェンナに来たくないだけではない。
「まさに生ける道具ですね。
もしやスーラ殿が残ったのは、そのためですか?」
「大きいでしょう。
現在もスーラは、ゼロと共に調査を続けています。
スーラは『ホムンクルス相手なら安心出来る』と言っていました。
可能なら第1世代を始末していくようですが……。
無理はしないと約束してくれました。
少なくともラヴェンナ卿が対決に本腰を入れたときに連携する手筈となっています。
その点はご心配なく。
スーラはすべてが終わったあとで、身の振り方を考えるとも言っていましたから」
問題は、第1世代を破壊させたときの後遺症だな。
現状は知りようがない。
どのような後遺症であっても倒さないと駄目だろう。
魔物を統率出来るだけでなく、自我まで持っては大変だ。
そもそも
ならば第1世代も、自分たちが世界を支配すると考える可能性がある。
実に面倒な話だよ。
「分かりました。
終わったあとのことは、スーラ殿の意思によりますが、悪いようにはしません」
パトリックは
「有り難うございます。
どうもスーラを放っておけないのですよ。
それでサロモンが、プロバンにいると断じた理由をお伝えします。
ゼロからの情報ですが……。
第1世代は所持者から、直接指示を受けないといけないようです。
そして第1世代は、常にプロバンからやって来る。
しかも複数が頻繁に出入りしています。
サロモンはプロバンにい続けるしかないでしょう」
ゼロを無条件に信じてはいない。
何らかの意図で、俺たちを騙そうとする可能性すらあるのだ。
だが現時点では、他に判断材料はない。
プロバンが汚染されているかは分からないが……。
捨て置けない。
そこにサロモンがいれば討伐するまでだ。
いなければ探す。
それだけのことだ。
仮に騙されても、問題ない。
今はゼロの情報を信じて動いても平気だろう。
「それなら納得です。
新たな発見ですが、魔物であっても所有権は持てるようですね」
「そうだと思います。
あと別件の調査結果ですが……。
人々が魔物の支配を受け入れている理由と、実態をお伝えします」
気が利くな。
そこまで調べてくれたのか。
アラン王国を解体するのに必要な情報だ。
今知っているのは無政府状態であることだけ。
統一的な法の執行など期待出来ない。
町や村などの共同体は完全自治の状態。
これを自由な平民統治と絶賛するものがいる。
彼らは、サロモンとの協調路線を強く主張していた。
多くは世界主義の残党か、教育によって影響を受けたものばかりだ。
ただ……このような理想論は、知識人層が
魔物に労役を任せれば、国王や領主など不必要とするものだ。
皆が世界市民として、平等に暮らせる。
平等を実現した自由の理想郷だ……と夢見ているわけだ。
その平等下において自分たちは指導的立場を得たいのだろう。
そして平等だから責任は負わない。
人を強く惹きつける思想には、奇麗な建前の陰で……強い欲望を満たしてくれる希望が必要になる。
俺はそう考えない。
内実は原始的な自力救済が支配するディストピア。
共同体の内部統制は極限まで厳しく、内部の階級は存在する。
階級差は決して乗り越えられない。
そこまで合理化しなくては生存競争に勝てないからだ。
俺が想像する実態は伝わってこない。
聞こえてくるのは、耳障りのいい言葉ばかりだ。
残念なことに俺の想像が正しいとは限らない。
パトリックの情報でそれが判明するのだ。
動くにはどうしても必要な情報だよ。
「是非聞かせてください」
「町や村は、自衛をしていましたが……。
サロモンの送り込む魔物に抗えず屈服しているようです。
少なくとも楽園ではありません。
そして噂に聞く自由や平等などありません。
遠くからでは分かりませんがね。
近づくほど、死体の転がる地獄が待っています。
死体を養分に花が咲いているので、遠くから楽園に見えるだけのことですよ」
「楽園など極端な搾取の上に成り立つ幻想か、ただの夢物語ですよ。
現実には存在しません」
「私も同意見です。
しかも自力救済としての武力を禁じられているのに、魔物は襲ってくるのですよ。
魔物にはサロモンの支配下にあるものと、そうでないものがいるようですね」
これは重要な情報だな。
やはり俺の予測は当たっていたようだ。
「それなら最低限の自衛は認めるべきでしょう」
「派遣されるホムンクルスに訴えても却下されています。
『決まった道を通り、決まった領域に留まれば安全だ』と言われるそうです。
実際は比較的安全に過ぎません。
だから民の不満は、かなりのものです。
ただ決定的な一歩を踏み出せない。
弱いながらも可能な第1世代の精神干渉があるのかと。
ただ第1世代がいない場所では違います。
私も助けてくれるように懇願されましたから」
だからこそコネのあるパトリックは、これほど内情を知ることが出来たのか。
納得だ。
安全に関してはそうだが、もうひとつのメリットはどうなのだろうか。
「労役となる、農作業や建築などはどうですか?」
パトリックは苦笑しながら首をふる。
「細かな制御は、第1世代がいないと出来ません。
それでも一見整っているようにしか見えない。
複雑な仕事は無理ですし、細部は雑ですよ。
伝承で聞いた魔王城が、なぜ無駄に巨大なのか……合点がいきました。
小さい作業は出来ないからですよ」
思わず吹きだしてしまった。
それは盲点だったよ。
大きいだけだと素っ気ない。
魔王には所有欲や、虚栄心があるのだろう。
満たしたくても支配下の魔物には作れない。
だから人から装飾品を奪って飾ったり、財宝を溜め込むのか。
俺とパトリックは、顔を見合わせて爆笑する。
キアラとカルメンは、白い目で俺たちを見ている。
キアラが、わざとらしいため息をつく。
「お兄さまの笑いのツボが分かりませんわ」
カルメンまで大袈裟に肩をすくめる。
「分からなくて良いわよ。
分かったら負けた気がするもの」
酷い言い草だ。
仕方がない……話を戻すか。
「つまり人が満足するような仕事ではないと」
「はい。
しかも第1世代は、そこまで数は存在しない。ゼロの話では50体程度とか。
つまり需要には応えきれないわけです。
そこでサロモンは別の魔物を派遣しましたが、魔物に任せきるよりマシな程度。
開墾も荒く、建築も力任せでいい加減。
隙間風の吹く家なんて嫌でしょう?
なにかの拍子で、扉が閉まらなくなるなんてザラだそうです」
「つまり人間の手が必要と。
これではとてもメリットとは言えませんね」
「唯一のメリットは、人間同士で争えなくなることくらいです。
ですが隣接する共同体との境目争いは絶えません。
川の使用権など死活問題ですからね。
共同体同士は隙あらば、実力行使をしようとしています。
大がかりに争えない代わり、小さな流血が絶えません。
だからこそでしょうか。
共同体の内部統制は極めて厳しい。
重苦しい空気に支配されていますね」
そうだろうな。
内部統制が出来ない共同体から切り崩される。
しかも警戒して、余所者を受け入れないだろう。
疑心暗鬼と不満だけが積み重なる。
サロモンもこれでよしとはしないだろうが……。
他に、方策がないのだろう。
可能だとすれば……統一的な法執行を導入するしかない。
第1世代に、判決でも下させるか。
感情がないので、法に沿った判断をするだろうからな。
ただ……人間がそれを飲み下すのは難しいだろう。
人々が称賛する名判決は、
人の求める公正さなど所詮はその程度だ。
政治に公平を求めながら、自分が困ったときは融通を期待する。
期待に応えようとすると、公正さは形骸化するだろう。
価値観が多様化するほど、さらに期待は複雑になり、公正さは目に余るものだけを罰するしかなくなる。
それではやった者勝ちの社会になってしまう。
だから多様化すればするほど、公正さは厳格にならざるを得ない。
出来るのは公正さが時代遅れにならないことだ。
言うは易し……だがな。
仮に第1世代が自我を持つとどうなる?
厳格かつ公正な裁きに不満を持つ人間たち。
自分の時だけはお目こぼしを願い、他人の過ちには厳格。
人の期待に不快感を抱くはずだ。
俺より遙かに強く。
俺は所詮人間で情から逃げられない。
自我を得たのであれば、情は限りなく薄いはずだ。
最初は怒り……次は軽蔑する。
最後は支配を考えるだろう。
もしくは嫌悪から滅ぼそうとする。
これは妄想が先走りしたな。
「やはりそうなりましたか。
国単位の法支配など不可能でしょうから」
「そうですね。
でも問題は待ってくれない。
共同体の犯罪対策は驚きですよ」
公正さより、共同体の和を保つことが優先されるだろうな。
カルメンは大きなため息をつく。
「絶対
パトリックさんが驚くときは、見事か
パトリックは満面の笑みを浮かべる。
「後者だよ」
カルメンが天を仰ぐ。
「やっぱり……」
なるほど。
完全に和を保つことと、早さを重視した対策だろう。
「それで……どのような対策ですか?」
パトリックはニヤリと笑う。
「犯罪が起こると、犯人を投票で決めることです。
真実などどうでもいい。
多数が犯人だとすれば、それが犯人です。
反論する機会すら与えられません。
だからこそ同調圧力は凄まじい。
嫌われたり浮いていると、犯人に仕立て上げられます。
しかも処罰は、家族皆殺しが常でしてね。
カルメンは天を仰いだ。
「それって罪をなすり付け放題じゃない」
「それだけじゃない。
支配者層が罪を犯しても、身内同士で
しかも処罰権は、支配者層が独占している。
被支配層は反抗すら出来ない。
投票でも票数が有利なのは支配者層。
特権を利用した横領など、やりたい放題で……。
まさにディストピアですよ」
「実際にあったわけですか」
「噂ですけどね。
ある男が死んだとき、土地などの財産を、妻子に残したそうです。
ところがその家族と仲の悪かった男が、土地や財産を力ずくで奪いました。
奪った男は支配者層で、投票の結果は無罪放免。
支配者層が
そこで妻子は、親類を頼りました。
親類は死んだ男から、『もしものときに妻子を助けてくれ』と前々から金をもらっていましたがね……。
親類は妻子を門前払いしました。
結局妻子は無一文で町を追いだされた揚げ句、野垂れ死んだそうです」
カルメンが苦々しい顔をする。
あまりの酷さに、腹が立ったらしい。
カルメンは善悪より実利や楽しさを重視するが、筋は通すからな。
「
私なら関係者全員殺してやりますよ」
パトリックは平然と、肩をすくめる。
「極端に酷い例だから、噂として広まったのさ。
これよりマシな例はゴロゴロしているはずだ」
キアラが、渋い顔で嘆息する。
「これでは……。
支援しても支配者層を潤すだけになりそうですわね。
しかもまだ足りない……と騒ぎだすでしょうね」
「キアラさまの予想通りになると思います。
下層民が蜂起した例はありますが、武力行使を禁じているサロモンが共同体を全滅させる。
だからこそ……支配者層は、曖昧な態度でサロモンの支配を受け入れています。
第1世代の精神干渉もあると思いますがね。
現時点で、そう悪い環境ではありませんが、近隣の共同体と戦争する権利を奪われたのが不満かと。
下層民は他国に併合されることを望んでいますね」
思ったより、状況は深刻だなぁ……。
このような状況で併合しても荒廃した人心はそのままだろう。
シケリア王国や教会を巻き込んで、争いの種になりかねない。
厄介の種を抱え込むぞ。
まあ……ラヴェンナは関与しない。
陛下に頑張ってもらおう。
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