945話 繰り返す愚行
ロレッタとの面会が終わる。
キアラには、ロレッタとの交渉を指示した。
留学についての諸条件だな。
相談は不要で、結果の報告だけを求める。
俺はキアラと別れて執務室に戻った。
自分の席に戻ったものの……どうしても引っかかる。
仕事をしていたミルが、怪訝な顔をする。
「アル。
面会で気になることでもあったの?」
無意識に難しい顔をしていたのだろう。
部屋の全員が、俺に注目する。
そこまで、難しい顔をしていたのか。
「アドルナート夫人から、聖
ミルが小さく首をかしげる。
「発生する可能性はアルが前に言及していたわね。
でも……アドルナート夫人が最初に知らせるって変よ。
いままでは魔物の被害があると、すぐに噂が広がったわよね」
そう。
それこそが大問題だ。
「そうです。
アドルナート夫人が、噂程度の未確認情報として最初に知らせてきた。
これは複数の意図が交差した結果だと思います」
「まるで魔物が発生したことを隠したいみたいね。
アドルナート夫人は隠すことに反対しているとか?
そもそもの話だけど……。
隠すメリットなんてあるの?
王家からの支援を受けられないわよ。
あとで発覚したら大問題だし……」
飲み込みが早くて助かるよ。
俺をチラチラ見ていたオフェリーが、首をかしげる。
「魔物が発生して隠すなんて聞いたことがありませんよ。
本当は発生していなくて、ただ噂に尾ひれがついただけではありませんか?
アルさまにそれを伝えないと、アドルナート家の信頼が落ちるから、噂として伝えたとか……。
違います?」
「その可能性もあります。
ただ……アドルナート夫人が私に直接伝えたとなれば?
事実確認はしているでしょう」
「事実確認をしたのに、アルさまには噂として報告?
事実確認をしているなら、事実の報告になると思います。
意味が分かりません。
アルさまからの評価が下がるリスクだって大きいと思います。
私なら死にたくなりますよ……。
アルさまが
死にたくなるってねぇ……大袈裟すぎるよ。
それを除けば素朴な疑問だ。
つまり裏にメッセージが潜んでいる。
魔物の発生している土地の領主は、それを隠したいのだ。
もしロレッタが俺に事実として伝えた場合、隠したがっている家との関係悪化を招く。
俺がニコデモ陛下に報告せざるを得ないからだ。
結果として隠している家は厳罰に処されるだろう。
共犯者的な家が存在すれば、彼らまで敵に回る。
ロレッタにすれば、現時点でそれは避けたいと考える。
今後の情勢は極めて流動的なのだ。
俺が圧勝する確信までは持っていないだろう。
勝つとは思っているだろうが。
だからロレッタにとって、敵が増えては困る。
恨まれると、どこまで敵が雪だるま式に増えるか分からない。
それらを跳ね返す力はアドルナート家にないのだから。
だからと俺に伝えなければ、俺のロレッタに対する信頼度が下がる。
考えた揚げ句、噂という形に落ち着いたのだろう。
俺なら十分事情を察すると期待してな。
これをロレッタの保身とするのはお門違いだ。
問題の大きさを自覚していたとしても、俺に真実と告げることは出来ない。
火事になる前に、火元となる小屋を壊すようなものだ。
持ち主に逆恨みされる。
どれだけ火事になるのが明白だとしても。
火事にならない限り、隠す側は納得しない。
だから逆恨みをする連中に責任がある。
ランゴバルド王国としては、
封土された領主たちに、帰属意識は薄い。
だからと他国に従属したときは、慣習の違いに戸惑うだろう。
国まで視野を広げて考えるときは、王家に頼りたいときだ。
そうでない限りは、余計な口をだすな。
これが勝手ながら……自然な考えだろう。
「もし魔物の発生が害のみであれば当然です。
ただ……ひとつ可能性が。
臆測ですがね」
ミルがジト目で俺を睨む。
「ハイハイ。
いいから教えて」
俺が口にした予測は、確実性の高い予言として周囲に受け取られる。
だからこそ、断りが必要なのだ。
「断っておかないと、皆さんが確定した未来と思い込みかねません。
信頼も行き過ぎると、慎重にならざるを得ませんよ。
まあ……勿体ぶるつもりはありません。
発生を知られたくない魔物がいるとしたら?」
ミルの目が点になる。
魔物の発生を隠したがる領主はいないからだ。
普通の魔物ならば。
「つまり討伐されたくない魔物?」
オフェリーが無表情に首をふる。
「たしかに魔物の素材を活用するケースはありますけど……。
発生を隠すなんて聞いたことがありません。
隠したいってことは、独占したいってことですよね……。
ご利益のある魔物は魔物と呼べるのでしょうか?」
魔物の定義自体が、明確に為されていない。
なんとなくのイメージは、人に害を為す存在だ。
存在することが利益になるなら、魔物と呼ぶには抵抗がある。
これが存在を隠す際の言い訳になるだろう。
『害はないので報告しませんでした』
これを屁理屈として処罰するには、もっと多くの弱みが必要になる。
王家には難しいだろう。
だからこその
普通でない魔物 が実害を及ぼせば、処罰は不可避だがな。
それにして魔物の定義か……。
使徒教徒は言霊信仰的側面が強い。
だからこそ言葉の意味を、厳格に定義することを避ける傾向にある。
厳格化するとは、言葉の持つ神秘性を損なうからだ。
教会でも神知学は、異端として糾弾された。
これは文化的側面と表裏一体なので、一概に排除出来ないだろう。
だからこそラヴェンナでも、魔物の定義は明確にしていない。
なにせ冒険者ギルドとの付き合いがあるからな。
「食べた相手を、黄金にする魔物です。
旧ギルドマスターがなりましたからね」
オフェリーは驚いた顔で、口に手を当てる。
ラヴェンナでは魔物化したピエロへの関心は薄い。
「あ……。
たしかに血眼になって、皆さん探していますね。
発見はされていないのか、誰かが捕まえたのか分かりませんけど」
これだけ多くの人が、血眼になって探しているのに見つからない。
つまり人の手が及びにくい場所に逃げた。
ピエロ本人は本能に導かれるままだろうが……。
「恐らくアラン王国に逃げ込んだと思いますよ。
逃げたというか、本能的に向かったというべきでしょうか。
その結果として、多くの人が一攫千金を夢見て、旧ギルドマスターを探している。
でも半ば諦めかけているでしょう。
そこに夢がもう一度舞い降りた。
時期的にも絶妙ですね」
オフェリーの目が点になる。
微妙な人の心理には、まだ疎いか。
「絶妙……ですか?」
「オフェリーが伝説のお菓子なんて聞いたらほしくなるでしょう?
それが探しても手に入らないとしたら?
でも存在はしているし、手に入るかもしれない」
「気になって仕方ないですね」
「もし……それを自分だけが見つけたら?
皆が存在を諦めかけて、熱心に探していないとすれば……。
独り占めしたいと思いませんか?」
オフェリーの目が丸くなる。
しまった……たとえを間違えた。
「え? 皆で分け合ったほうがいいと思いますよ」
オフェリーはそうだった……。
俺の周りで、もっとも攻撃性が低い。
優しすぎるとでもいうべきか。
「オフェリーはそうでした。
普通は余程仲がよくないと……独占したがります。
諦めかけた頃に見つかったとなれば隠し通せる、と思いたくなるでしょう?」
オフェリーは渋い顔で首をふる。
理解は出来たようだ。
「後ろめたい気持ちがあったら、美味しさは半減しますよ……。
でも他の人は違うのですね。
狙ってやっているかのような嫌らしさです。
あ……ポンピドゥの魔物化は、クレシダが黒幕でした。
でもポンピドゥが出没したわけではないですよね」
「勿論ポンピドゥ殿が移動したわけではないでしょう。
それと分かる類似の魔物が沸いたとしたら?」
ミルが引き
「まさか……。
クレシダがそんな技術を持っているの?」
クレシダなら、実現に一番近い位置にいる。
だが実現出来たかは分からない。
古文書にも記されていないからな。
「だから臆測なのですよ。
ミルの疑問に、回答など出来ないのですから。
クレシダに出来なかったら、いままでの会話が全部無駄になりますね」
ミルが、ハッとした顔で苦笑する。
やはり臆測ではなく予言と捉えていたか。
信じてくれるのは嬉しいが……。
ここまで信じ込まれては困る。
「そうだったわね。
どうやって沸かせたかは分からないけど……。
魔物の出現を隠すとなれば、そのくらいしかないかぁ」
そう言ったものの……ピエロに類似した魔物の存在を確信している。
クレシダは俺に対して、ヒントを常にだしているからだ。
差し迫った問題がない限り、人は
ピエロに類似した魔物であれば、
クレシダは無軌道に見えるが、自分の定めたルールを極めて厳格に守る。
ただの無軌道ならば、協力者など現れない。
強固な支持者がいるのは、一本筋が通っているはずだから。
「ええ。
隠すとなれば、利益の独占です。
ただ……使徒貨幣で痛い目に遭った商人は、出所不明な黄金を容易に信じないでしょう。
領主もやや警戒していると思います。
だから黄金ではなく銀あたり……ならどうでしょうか?」
ミルが呆れ顔で、ため息をつく。
どう考えても、安直だと思ったのだろう。
「同じじゃない? と言いたいけど楽観視したい人は飛びついちゃうかぁ……。
でも商人は食いつかないでしょ?」
「ミルのいうとおり、マトモな商人は信じません。
マトモな商人たちは、ラヴェンナ貨幣をもっとも信用している。
突然沸いてきた貴金属など信じません。
だからこそ、悪徳商人につけ込まれる隙がうまれるのです」
「そっかぁ……。
だから知られたら嫌なのね。
貨幣の鋳造なんて、いきなり出来ないし……。
その悪徳商人を頼るしかないのね。
きっと買い叩かれるわ。
領主は利益がほしいから、より深みにはまるわけかぁ」
オフェリーが無表情に挙手をする。
俺たちの話について来られなくなったらしい。
「あのぅ……。
悪徳商人ってことは、人を騙すわけですよね。
商人は名前を変えるなりして逃げればいいですけど……。
領主は逃げられませんよ?
そこまで馬鹿な領主がいると思えません」
普通の領主は、リスクが大きなことに手をださない。
家臣に、責任を被せて逃げるのは難しいからな。
特に貨幣問題に関しては。
お家取り潰しどころで済まない。
族滅すら有り得るだろう。
「それは平時であれば……ですね。
人は思考を効率化する生き物です。
ただし思考の効率化は、異常事態では足枷となります」
オフェリーは難しい顔で腕組みをする。
俺の真似らしい……。
「思考の効率化ですか?
これはキアラさま案件ですね。
あとで報告しないと……」
なぜかオフェリーはメモの準備をはじめる。
「大した話ではありません。
仲のいい人と話すとき、初対面のときに考えたことは除外するでしょう?
このように人は不要な情報を除外するものです。
余りに多くの情報に埋もれると、人は不安になりますから」
数ではなく種類だがな。
数は安定に寄与するが、種類は不安に直結する。
「それなら分かります。
それが異常事態では足枷になるのですか?
あ……分かりました。
情報を集めすぎて……判断を間違えるからですね」
「惜しいですね。
より偏ってより狭くなります」
オフェリーは肩を落としかけて首をかしげる。
最近は俺に否定されたとき露骨に落ち込まなくなってきた。
いい傾向だよ。
「え? どうして偏るのですか?」
「誰しもが異常事態では必死に情報を集めるでしょう。
人はストレス環境に置かれると、本能的に安心を求めます。
だから無自覚に望ましい情報ばかりを集める。
望ましくない情報は、偏った情報として除外する。
これは効率化と錯覚しやすい。
そして望ましい情報だけ数多く集めて、真実と思い込んで安心したがるわけです」
「安心するために集める情報と……情報を集めて安心するのは違うのですね」
飲み込みが早いな。
「そのとおりです。
これを馬鹿にしてはいけません。
失敗する人が多いから異常事態ともいます。
それだけ困難なのですよ」
「つまり領主たちは、悪徳商人と関わるリスクを偏った情報として無視するわけですね。
金でなく銀なら大丈夫とか……都合のいい思い込みを、客観的な情報と思い込むわけですかぁ……。
理解出来ましたけど……困りますね。
問題が起こるのは避けられないでしょう?」
そもそも現時点の俺に介入する権利はない。
火事になるのを待つしかないわけだ。
しかも俺がいまから魔物の噂を王都に流しても手遅れだろう。
なにより下手に手をだせば、なぜか俺の責任にされかねない。
あくまで知らぬ存ぜぬを通す必要がある。
ただ問題が起こる前提で準備をするべきだ。
ロレッタが俺に望んだことでもある。
「私に干渉する権限はありませんからね。
問題が起こってからでないと動けないのです。
今回の問題が厄介なのは、黄金への信頼を失わせる危険があること。
経済は停滞し、物々交換の世界に逆戻り。
悪徳商人と愚かな領主のツケを、皆が払わされることになります。
しかもラヴェンナだけ無関係では済みません」
ミルが辟易した顔で、ため息をつく。
使徒貨幣の問題はラヴェンナでは対策していたので、大事に至らなかった。
だがラヴェンナと付き合いのある家は大変で、それに引きずられてしまったからな。
「使徒貨幣問題再び……ね。
歴史は繰り返すっていうけど……。
いいことは繰り返さないで、愚行だけを繰り返すのは気のせいかしら。
今度発生したら他所に耐えられる余裕なんてあるの?」
使徒貨幣の問題は過去のものだと、高を括っている連中は破滅するな。
「クレシダ嬢の目論見通り……破滅する人たちは多いでしょうね。
経済は世界の血管ですから。
ただクレシダ嬢なら、もう一手間かけるでしょう」
「それって……聞くのが怖いわ。
でも教えて」
「技術的に可能か分かりませんが……。
たとえばモノを貴金属に変える魔物は、周囲を腐食させるとかですね。
まあ……厄災をばら撒く類いの罠ですよ」
ミルが引き
俺の臆測が的中した未来を想像したからだろう。
「クレシダって……心底性格が悪いわね。
本当にアルと同類なの?」
こうやって考えを追えるのだ。
同類だろうな。
「多分?
それよりアレンスキー殿を呼んでもらっていいですか?」
ミルは怪訝な顔で首をかしげる。
「あの頑固ウオツカ? いいけど……」
ミルが秘書に、オニーシムを呼ぶように頼んだ。
秘書が部屋からでて行ったあとジト目で俺を睨む。
良からぬことを企んでいると思われているなぁ……。
「また変な発明を指示するの?」
そろそろ着手したい研究があるだけだよ……。
これは、俺の指示がないとはじめにくいだろう。
「発明というか活用ですね」
「活用?」
「ラヴェンナの森林は、十全に保全されているでしょう?」
「そうね。
発展の割に、伐採はとても控えめだわ。
エルフたちが拍子抜けするほどにね。
たしか大量に薪を使うような施設は……石炭で動かしているからよね?
他所は普段の薪に加えて、ホムンクルス騒動で大変って聞いたわ。
もっとも大変なのはこれからだと思うけど」
生態系への影響。
森の伐採は、様々な弊害を巻き起こす。
石炭の発見前は、開発ペースを意図的に抑えることで、伐採を抑える予定だった。
薪を使わなくて良くなったので、開発ペースの抑止を緩めたな。
だが石炭は、万能の解決方法ではない。
どれだけ、膨大に思えても有限なのだ。
「ええ。
薪より効率がいいですからね。
ただ……無限に存在していません。
そして消費量は増え続けるでしょう」
ミルは納得したようにうなずいた。
オニーシムから石炭埋蔵量の予測は聞いている。
「そうね。
現時点で数百年分と言われても、いまの消費を元にした計算でしょ。
将来100年分しか残っていない……となれば大問題ね。
他所から買っても、輸送コストが馬鹿にならないし……。
石炭を作ることでも研究させるつもり?」
石炭の製造が不可能とは思わない。
よしんば実現したとしても手間暇がかかる。
高額な燃料では、モノの役に立たない。
燃料として欠かせないのは、安価で安定した供給があることだ。
「いえ。
それだと割高になりすぎるでしょう。
でも……燃える水がありますよね?
あれは半魔からも作れます。
もしかして魔物の死骸から作れないかな……と。
それなら石炭の消費量を抑えることが出来ます。
食と安全の保証は、統治者の義務ですが……。
同様に、燃料も留意すべき事柄ですよ」
歴青の精製技術は確立しており、ラヴェンナの特産品となっている。
だが歴青では燃料として使えない。
ミルは微妙な表情で肩をすくめる。
「魔物を死骸まで利用するなんて、普通考えないわよ」
既に、素材として使っているのだ。
なら燃料化を考えてもいいじゃないか。
「そうですか?
勿体ないでしょう」
オニーシムはすぐやって来た。
俺の前に座って髭をしごく。
「ご領主。
通信機と汽車の
催促だと思われたのか。
元々、そう簡単に実現すると思っていない。
この手の研究は、数十年単位で考えている。
「あれに時間がかかるのは理解していますよ。
それとは別件です」
オニーシムはニヤリと笑った。
なにかを期待する顔だ。
「ふむ。
どんな悪巧みだ?
内容次第では優先しよう」
なぜ俺の提案は、いつも悪巧みと思われるのだ。
「ラヴェンナは各種大型施設の燃料に、石炭を使っていますよね?」
「それより燃える水のほうが、効率がいいことは分かったな。
そちらに対応した装置の開発中だ」
液体なので運搬の手間はかかる。
それを補って余りある効率のよさが着目されていた。
「その燃える水です。
半魔を強力な魔法で燃やせば、燃える水になるでしょう。
それを半魔ではなく、魔物の死骸から作れないかと。
多少変換効率が悪くても、魔物であれば、無尽蔵に沸きます。
地下に埋蔵されている量は有限でしょう?
もしそれが実現すれば、より運用コストが下がる。
市民のために使える予算も増えることになります」
地下都市が崩壊してしまったのは残念だ。
あそこには、なにかのノウハウがまだ眠っていたろう。
「ふむぅ。
そうなれば、どうやって半魔が燃える水になるか……。
これを突き止めるべきだろうな」
「方法は任せます。
どうですか? 面白いと思うでしょう?」
オニーシムがニヤリと笑った。
どうやら好奇心を刺激したらしい。
オニーシムは改良より発明が好きなようだからな。
「実に面白そうだ。
是非やらせてくれ。
それにしても……パトリックの奴がいないのは残念だ。
あいつはやたら詳しいからな」
たしかにそうだ。
死霊術士で一般には知られていない知識を有している。
調査が終わったら戻ってくるだろう。
「戻り次第、アレンスキー殿に協力出来るように手配しますよ」
オニーシムはニヤリと笑う。
「実は自走トロッコの動力に燃える水を考えていた。
人の魔力より早いものが出来る。
楽しいと思わないか?」
「それは楽しみで……」
思わず背筋が寒くなった。
ミルとオフェリーが冷たい目で俺たちを睨んでいたからだ。
まだ根に持っているのかよ……。
もう忘れろって。
ミルが腰を浮かせると、オニーシムはそそくさと逃げていった。
わざわざ俺の目の前にやって来て、ジト目で睨む。
「アル……。
お願いだから愚行を繰り返さないで」
また事故るとでも思っているのか……。
解せぬ。
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