813話 クレシダの勘違い

 カルメンが小さく、せき払いをした。


「それじゃあ、私から報告をします。

半魔騒動の犯人特定は不可能ですが……。

どこに出入りしていたか。

そこは突き止めました」


 不可能だと思われていたことを可能にしたか。

 頭の下がる思いだよ。


「よく突き止められましたね」


 カルメンはフンスと胸をはった。


「あの騒動で、発生源にいた人は全滅していますからね。

でも植物は違います。

植物に視覚はないけど、感覚はありますから。

ライサさんが、基本的な情報を引っこ抜いてくれました。

あとは類似する気配の持ち主を探したんです」


 自慢するだけのことはあるだろう。

 プロはやはり、頼りになるな。


「やはり気配は特徴的だったのですか」


「そうですね。

最初の夜に、クレシダの手下が、屋敷を襲撃したでしょう。

そのとき気配が完全にない生物に反応する罠を、ライサさんが設置していましたよね」


 アイオーンの子と付き合いがあったからこその技だな。


「あれはお見事でしたね」


 カルメンがモデストに、目で合図した。

 あとの説明は任せると言ったところか。

 モデストが黙ってうなずく。


「ただ普通の活動で、気配を消していたら、逆に気を引いてしまいます。

違和感をもたせてしまいますからね」


 そのあたりの仕組みはわからないのだが……。

 そんなものなのか。


「シャロン卿は以前『見えているのに気配がないと、人は自然とそれを気にする』と言っていましたね。

感覚的なものだとか」


 気配とは魔力で、人でもそれを感知出来るそうな。

 ただ……そこまで強くないから漠然としたものらしい。

 視線もそんな魔力の類いだとか。

 さすがに、よくわからん。

 そんなものだと思うことにした。


 暇だったら、それを探求しても楽しそうだが……。

 今は、そんな暇がないからな。


「だからわざと、気配をだすのですよ。

当然自然な気配とは、明らかに違うので、植物は異質な生物と感じるそうです。

植物は感覚で、生物を感知しますが、それも年輪のように積み重なる。

それでおよその期間がわかります。

半魔事件の3カ月ほど前から、定期的に出入りしていますね」


 期間までわかるのはすごいな。

 それにしても3カ月は早い。

 改良品を作り出したな……。

 厄介な話だよ。


「それはお手柄ですよ。

よくぞ突き止めてくれました。

それでどこに所属していましたか?」


「ビュトス商会です。

その出先機関が、ここにありますからね」


 これは想定内だな。

 それでも裏が取れたのは、とても大きい。

 安易に決め付けて、他の組織だったら……。

 目も当てられないからな。


「やはりそこですか。

さすがに現在、なにを企んでいるか……。

そこはつかめないでしょうね」


 カルメンは、ボリボリと頭をかいた。

 そこまでは把握出来ないか。


「今のところ、普通の商会として動いているようです。

仕入れに異変があれば、モデストさんに連絡がいく……はずですよね?」


 モデストがうなずく。

 個人で動いているようで、結構手下がいるんだよな。

 その全貌は、俺も知らない。

 知るつもりもないが。


「アハマニエミ姉上から『ビュトス商会は危険だから、直接接触するな』と注意されていますからね。

ビュトス商会と取引がある商会に、手を伸ばしています」


 比較的安全な方法だな。

 迂闊に踏み込むと消されるからな。

 それはマンリオの報告から明白だ。


 他商会がビュトス商会に納入した量なら、ある程度把握出来る。

 ここでのビュトス商会は、自分たちが作っていない品物をクレシダに送っているからな。

 概算と運び込まれる量に差が多ければ、ビュトス商会から送られた……。

 そう判断出来るわけだ。


 大規模活動をするなら、誤差の範囲で済む量は送らない。

 バレないように、少量を複数になんてことも考えられるが……。

 そのときばかりはどうしようもないな。


 ただ商品の搬入はそこまで頻繁じゃない。

 小分けにするなら、とても時間がかかるだろう。


「積み荷は門を通るから……。

その規模で普通のものか、独自のものかわかるわけですね」


「その通りです。

今は待ちの状態ですね。

今回の調査結果は、周囲を納得させる証拠ではないので……。

グレシダ嬢を問い詰める武器とはならないのが残念ですよ」


 こんな捜査は認知されていないからな。

 これだけでは使えない。

 そもそもこれで、足がつくとは思っていないからな。


「それはもとより、承知の上です。

クレシダ嬢は、確実に私を意識しますからね。

新しくなにかするなら、相応の偽装工作をするでしょう。

私としては、最悪ビュトス商会の足が止まればいいだけですよ」


 モデストは目を細めた。

 面白がっている顔だな。

 釣りをしても、根気強く待ちそうなタイプだ。


「下手をうてば、即終わりですからね。

ラヴェンナ卿らしい根気比べです」


 罠なんて不発に終わるほうが多い。

 相手がバカでない限りはな。


「相手も考えているのです。

なんでもそう、思い通りにはいきませんよ」


 アーデルヘイトが首をかしげた。

 今日は、やけに積極的だな。


「根比べだと、こちらが不利になりそうですが……。

旦那さまには、いつものような秘策があるのですか?」


 いつも秘策があると思われてもなぁ。

 最終的に、クレシダがなにをするか……。

 その予測はついている。

 そこに至るまで、なにをするかわからない。


「ないですよ。

単に根比べだと、クレシダ嬢が不利になるだけです」


 キアラは意外そうな顔で、首をかしげた。


「あら?

いつのまに立場が変わったのですか?」


 時間が経つほど、こちらが不利になる錯覚を、キアラもしていたのか。


「私が徹底して、人類連合の権益拡大に反対してからですよ。

しかもラ・サール殿やポンピドゥ殿の失態もあって、私の説得力が増しています。

このままだと、人類連合は有名無実化するでしょうね。

それが固定化して困るのはクレシダ嬢ですよ」


 プリュタニスが眉をひそめた。

 予想外の話に、頭をフル回転させているようだ。


「クレシダ嬢の初期目的は、アルフレードさまに人類連合を押しつけて破綻させる……。

でしたっけ?」


 その予測については、話をしたからな。

 それ以降の予測は、あえて話していない。


「もう次の目的に切り替えているでしょう。

いわゆるプランBってやつですね。

それでも不良品を、私に押しつける方針だけは変わらないでしょう」


 プリュタニスは、ニヤリと笑った。

 俺が話さなかった理由を理解出来たらしい。

 クレシダに俺の考えを誤認させるために、わざと周囲にも伝えなかった。


 敵を騙すには味方から。


 陳腐だが……。

 相手がクレシダだと、かえって有効だ。

 俺が高度な策ばかり用いると信じているからな。

 三流のトリックでも、最初だけなら引っかかる。

 俺の周囲が焦るほど、クレシダは自分の間違いに気がつかないからな。

 誤認に気がついたとき、時間が経つほど不利になる現実に気がつくわけだ。


 女性陣はいささか不満顔。

 後処理が面倒だなぁ。


 モデストは目を細める。

 真の目的を隠されたことなど、いちいち気にしないだろう。

 愉しいならそれでよし。

 それがモデストの価値基準だからな。


「現時点で有名無実になれば、被害は最小限に抑えられますね」

 

 だから現時点で、待ちが正解なのだ。

 クレシダが判断を誤ったのは、もうひとつの認識違いが大きい。

 自分は飛び抜けて別格だ、と自覚するが故の落とし穴だな。


「クレシダ嬢は、私のほとんどを知っている。

不本意ですが……。

それは認めましょう。

でも大きく勘違いしていることがあります。

本来なら人類連合の権限を強くしたほうが、問題はあれど効率はいいですね。

ある目的を想定するなら……ですが」


 キアラがいぶかしげに、眉をひそめる。


「ある目的ですの?」


 クレシダの買いかぶりだが、俺ならこうする……。

 そんな思い込みだ。

 ある意味で、クレシダの善意からの手助け。

 その後で、心を折るつもりだから、悪意の前にくる善意だが……。


「ラヴェンナが世界を支配する形ですよ。

クレシダ嬢は、私なら出来ると思っているようですからね。

人類連合なんて作れば、それに乗ってくる……と思っていたのでしょう。

絶好の機会ですからね」


 俺が未来の選択を、子孫に委ねていることに納得出来ないだろう。

 それなら機会を与えれば、可能な限り未来を固定するのでは、と考えたろうな。

 世界を支配する形にすれば、子孫の出来ることは、維持のみになる。

 迷惑な話だよ。

 キアラは苦笑してうなずいた。


「私もお兄さまなら出来ると思いますわ」


 無理だよ。

 最も必要なやる気がない。

 クレシダは能力的に可能ならやる、と考えるわけだ。

 もてる者は、もたざる者を理解出来ない。

 俺は、そんな面倒なことをする気は毛頭ないからな。


「出来るとやるは別問題です。

ラヴェンナの価値観を押しつけては、今までと変わりません。

そもそも押しつけられるのは嫌いなんです。

だから押しつけたくないのですよ。

そこはクレシダ嬢と私の、決定的な違いですね」


 カルメンが笑いだした。


「そう言えば……。

アルフレードさまを嫌う人は、その言葉にもかみついていましたね。

『他人を尊重しているように見せて、結局は自分で基準を決めているじゃないか。

ただの偽善だ』

そんなことを言っていましたよ。

嫌われると、なんでも非難の対象になるんだなぁ、とおかしくなりました」


 キアラは頬を膨らませた。

 アーデルヘイトとクリームヒルトは、唖然としている。

 その言葉自体を否定する気はない。

 真実だからな。


「そんな考え方もあるでしょう。

たしかに自分の基準ですからね。

自分で決めるのは当然ですよ。

人に決めてもらったら『他人の言いなりで無責任だ』というでしょう。

気にする必要はありませんね。

大事なのは、それがある程度の客観性を有しているか。

それだけですよ」


                  ◆◇◆◇◆


 ひとつの報告が届いた。

 アラン王国への援軍の話だ。

 こちらの援軍が到着したときには撃退後だった。

 現地で当然ながら一悶着あったようだ。

 報告書を読みおえて苦笑してしまう。


「狂犬にかみつかれたとは……。

援軍にいった人は大変でしたね」


 報告書を持ってきたキアラが、ジト目で俺を睨む。


「お兄さま。

笑い事ではありませんわ。

援軍にいったのに追い返されて……。

脅しまで受けたのですよ」


 そのときに狂犬本人ではないが、その取り巻きから色々言われたらしい。

 最後に食糧が不足しているときに、減らしに来たのか……とまで罵倒されてはなぁ。

 それだけでもキレそうなのに、追い打ちがきた。


『さっさと帰れ。 グズグズしていると命の保証はないぞ』


 これではキレないほうがおかしい。

 あわや物理衝突の寸前までいった。


 なんとか双方から比較的冷静な人たちが、仲裁に入ったようだ。

 援軍は、怒りながら帰還するやいなや……。

 俺に苦情を申し立ててきた。

 相手からの謝罪がない限り、援軍にはいかないとまで言い切られる。

 当然だろうなぁ……。


「これはどちらも悪くないケースですよ」


 キアラはいぶかしげに、眉をひそめる。


「どう考えても、狂犬がかみついただけでは?」


 話はそう単純じゃないだろう。

 容易に、実情が想像出来る。


「きっと狂犬には、『もうすぐ、援軍が来るから持ちこたえてくれ』と伝わったと思いますよ。

士気を高めるためにね。

正直に時間がかかると伝えたら……。

不要だと突き返すでしょうからね」


 キアラの目が鋭くなった。


「もしかして揉め事を作り出すために、クレシダがしかけた……。

なんてことはないですよね?」


 断言ではなく、念のための確認か。

 断言されたら困るところだった。


「なんでもかんでも、クレシダ嬢のせいにしてはいけませんよ」


「じゃあサロモン殿下が、苦し紛れに?」


 その可能性が強いと考えていたようだな。

 普通なら、そう考えるだろうが……。


「それも考えにくいでしょう。

一時の苦し紛れです。

結果は火を見るより明らかでしょう。

私をなめていたら、可能性は高いでしょうが……。

それはないと思いますね。

私が援軍をださない大義名分にすらなり得るのです」


 キアラの目が鋭くなった。

 ここまで消去されると、残りの可能性は、ひとつしかないからな。


「つまりは伝令が、勝手に忖度そんたくしたのですか?」


 きっとそうだろうな。

 伝令役には、臨機応変の才が求められる。

 だからざっくりした指示をだしても、うまく解釈して現場に伝えてくれるわけだ。

 今回は、それが裏目にでたのだろう。


「多分そんなところだと思います。

伝令は厳しい現実がわかっていますからね。

きっとサロモン殿下の歯切れも悪かったのでしょう。

『早く到着するように努力してくれる』あたりが限界でしょうね」


「それで……。

どうしますの?」


 これはあくまで他国の内部事情にすぎない。

 俺はランゴバルド王国の代表だからな。

 代表としてやるべきことをやるだけだ。


「抗議しますよ。

実際に援軍にいった人たちは、私が黙っていたら信用などしなくなります。

明確な謝罪がない限り、援軍はださない……。

そう伝えてください」


「わかりましたわ。

それにしても狂犬はひとりでなかったのですね」


 狂犬についての情報も、ついでにもたらされた。

 結構重要な情報だよ。


 傭兵団に似た組織となっていた。

 だからこそ、魔物の襲撃を撃退し続けられたのだろう。

 いくらとてつもない技量をもっていたとしても……。

 ひとりでは、限界があるからな。


「そうですね。

取り巻きは年端もいかない子供だらけらしいので……。

活動休止中は、子供たちを鍛えていたのかも知れませんね」


 活動休止期間中は、徹底的に子供たちを鍛えていたのだろう。

 それも数人じゃない。

 結構な集団だ。

 いくつかの町や、村の孤児を集めたのかもしれないな。

 アラン王国民は出世競争から外れると、過酷な人生を送っている。

 俺が知らないだけで……。

 結構な人数の子供が、見込みなしと判断され捨てられているのかもしれない。


 ひとり拾えば、そのひとりを生かすために仲間を増やす。

 そんな感じで増えていったのかもしれない。

 もしかしたら、まとまった数の面倒を見ることになったのか……。

 そこまではわからないがな。


「たしか100名程度のようですわね。

これでアラン王国は、自力で攻撃に耐えきれるのではありません?」


「狂犬の一団に頼るのは危険ですよ。

一部を任せる程度でないとね。

狂犬のような人は、仲間が増えるほどもろくなりがちですから」


 キアラは意外そうな顔をした。


「どういうことですの?」


 仲間というより……。

 家族のような集団に見えたらしい。

 これは危険信号だ。


「ずっと狂犬は、ひとりで活動してきました。

それが疑似家族のようなコミュニティーをもったのです。

もし将来死者がでたとき……。

果たして彼は耐えられるのでしょうかね?」


 キアラは怪訝そうな顔をする。

 俺の分析が、意外に思えたのかもしれないな。


「魔物の討伐が最優先だから、そこまで気にしないと思いますけど。

そのためなら村人だって、無差別に殺しているのでしょう?」


 それは、大きな違いがあるからだ。

 ただの冷血漢だと思い込むと、認識を誤るだろうな。

 むしろ幼い頃に家族を失ったが故に、無自覚に飢えている部分があると思える。


「どうでしょうね。

赤の他人と家族では、まったく違いますよ。

私はかなりの危険信号に思えますね」


「それって仲間の死に耐えられなくなりますか?」


「そんなところです。

特に依存は激しいと思いますね。

彼は人との距離感がつかめないから、徹底的に距離を置いていたと思いますよ。

普通の人なら、適度な距離感をつかめるでしょう。

でも彼は違う。

0か100で、人間との距離感を判断するでしょう。

0だと思っている相手を失ったとき、どうでるか……。

可能なら狂犬の情報を仕入れてください。

私の見立てが正しいなら、狂犬の一団で死者はいないはずです」


「あら……狂犬を調べますの?」


 状況が変わった。

 この危険性がわかっただけでも、援軍をだした甲斐があったな。


「狂犬がひとりだった場合、調べる必要はありません。

集団になったが故に心配でね。

下手に私に、恨みが向くと大変です。

なんらかの対処手段を考える必要がありますからね。

片っ端から人を殺しかねません」


 キアラは大きなため息をついた。

 俺の懸念に気がついたのだろう。


「狂犬が人を標的にしたら……。

とんでもないことになりますわね。

わかりましたわ。

それにしても……。

こんな話でも、心配の種にするのですわね」


「心配して対策が空振りになるほうが……。

軽視して惨事になるよりマシです」


 キアラはクスクスと笑いだした。


「お兄さまらしいですわ。

どうやって対処する気ですの?」


 さすがに現時点で、どうすべきかなどわからない。


「それは相手次第ですよ。

会うことは難しいですがね」


「そうですわね。

あともうひとつ、気になる報告がありますの」


 アラン王国関係だろうか。

 援軍にいったおかげだろう。

 入ってくる情報が増えている。


「なんでしょうか?」


 キアラが、厳しい顔つきになった。

 よくない知らせだな。


「アルカディア難民を隔離しましたよね。

アラン王国で監視する余裕がなくなったせいか……。

抜け出す者が多いようですの」


 これは参ったな。

 あの連中を野放しにする危険性に気がつかないか。


「抜け出しても、どうやって食っていくのですか?

各村に、お触れは出回っているでしょう。

彼らをだすなってね」


 キアラは、呆れ顔になった。

 どうやら斜め上の行動をしているようだな。


「なにやらメディアとして活動している、と説明しているようですの。

特別に認められていると。

問いただすと大騒ぎして泣きわめくらしいですわ。

サロモン殿下に逆らうのかと、脅しはじめる始末らしいです。

人々はもう面倒になって、さっさとお引き取り願うのが現状らしいですわ。

それで半ばイナゴのように、ただで飲み食いしながら、ここを目指していますの。

かれこれ1000人近くは確認されていますわ」


 なんとまあ……。

 呆れた根性だ。


「なんとも面倒くさい話ですね。

そうなると今回の援軍の話も、面倒なことになりそうです。

どうしたものか……」


 キアラは大きなため息をついた。


「サロモン殿下に要請しても難しいのでしょうね」


「実質不可能でしょう。

動かせる戦力は、すべて防衛に回しているようですからね」


「この件は問いただしますの?」


 今問いただしても無意味だな。


「今は待ちましょう」


 キアラは不思議そうに、首をかしげる。


「今のほうが要求しやすいのではありません?」


 余力がある状態なら、それがベストだ。

 今は、そんなタイミングではない。

 まあ攻撃する材料は、相手が作ってくれるさ。

 思わず、苦笑が漏れる。


「要求しても、実現不可能なら無意味です。

それに彼らは、あちこちで迷惑をかけているのでしょう?

サロモン殿下としても対処せざるを得ない。

やるなら、そのタイミングですね」


 キアラはジト目で、ため息をついた。


「その笑顔。

また酷いことを考えていますわね」


 酷いなんて、人聞きが悪いな。

 掃除の計画を立てるだけだよ。

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