784話 メディアの危険性
全員が辟易した顔だ。
モデストでさえ
だが避けて通れない。
「ではメディアと呼ばれる組織の危険性についてお話しします。
情報を流せるとは、空気の操作に直結する。
明確な定義まではしていないでしょうが……。
存在は知っているはずです。
空気の操作に全力を注ぐでしょう。
とくにアルカディア難民はね」
モデストは
「つまりは僻地に押し込まれた不当性を訴えるわけですか」
確実にやってくるだろう。
クレシダもそれを見越して、とくに反対しなかったと思う。
「現状の報道そっちのけでは、あまりに見え見えで、空気は作れない。
作為が透けるようでは失格ですからね。
それとなく主張を潜ませて誘導するでしょう。
さらには外に味方を作って、世論という名の空気作りに励むと思いますよ」
カルメンが冷笑して、肩をすくめる。
「あんな人たちの味方なんているのですか?
評判最悪じゃないですか」
最悪でも、問題がないのだよなぁ。
むしろ最悪なほうが好都合なことすらあり得る。
歴代使徒が無邪気に、言葉をばら撒いてくれたからな。
なんだか、後始末をさせられている気分だよ。
「困ったことに、彼らと親和性の高い人たちはいるのですよ。
今は少数派ですがね。
使徒がもたらした『リベラル』という言葉がねぇ……」
キアラが、首をかしげた。
一緒に聞いていたことも覚えているか。
「それって……。
否定的なニュアンスで使っていたと思いますわ。
重要だと思わなかったので、意味は忘れましたけど」
たしかに否定的だった。
そう単純な話ではないがな。
「たしかに否定的なニュアンスでした。
ところが本来の意味は違うと。
個人の自由、個性を重んずる思想でしたっけね。
これ自体はいいことだ、と付け加えています」
カルメンが意味ありげに笑った。
またはじまったと言わんばかりだな。
「それだけ聞くと、そこまで害悪に思えませんけどね。
いつものパターンで実は違うのでしょう?」
いつものパターンで悪かったな。
「この自由って、言葉がネックになります。
使徒教での自由は、ありままであること。
つまり自分の思い通りに振る舞えるのが自由。
現実ではそういかないでしょう。
自由と自由がぶつかったときは、共同体の規範で処理されます。
ところが使徒の言葉として、リベラルを武器にしたら……。
どうなりますか?」
「リベラルの自由が押し通りますね。
ただの我が儘が、使徒の言葉で強くなるのは笑えますけど。
ところで……。
リベラルとリベラルがぶつかったら、どうなります?」
当然の疑問だな。
この自由は、理屈ではなく感情だ。
つまりは感情と感情の戦い。
「より純粋なほう。
つまり声の大きいほうが勝ちます。
もしくは相手の不純さを証明したほうが勝つでしょう」
カルメンは辟易した顔で、頭をふった。
「子供の喧嘩みたいですね……」
「レベル的には近いですね。
違いはそれを取り繕えるかでしょうか。
当然このような行動は嫌われます。
本来であれば共同体によって抑制されるでしょう。
自ずから主張を引っ込めるしかないのです」
「だから今までは、言葉はあるけど……。
問題になっていないわけですね」
共同体の同調圧力のほうが強いからな。
その前提条件が変わってしまう。
これが大問題となる。
「その通りです。
共同体が防波堤になっていましたからね。
ところが人類連合の結成と、メディアの創設によって世界が広がってしまいます。
同類が集まる契機になるでしょう。
そこに新たな共同体が出来るわけです。
メディアも味方を増やすために、それに助力すると思いますよ」
クリームヒルトが眉をひそめた。
今一実感が湧かないかな。
「それはそうですけど……。
我が儘同士が結合するのですか?
どう考えても喧嘩しそうですけど」
そこの問題を気にしたのか。
「喧嘩はしますよ。
外にかみつくことが出来なくなればね。
その間は仲良くやります。
きっと切磋琢磨して、声の大きさを競い合うでしょう」
クリームヒルトは大きなため息をついた。
先祖の経験なんかから、すぐ理解出来たようだ。
「嫌だけどよくわかります。
そのメディアと、どう結合するのですか?」
「まずこのリベラルを掲げる人たちは、今の社会に不満を持っています。
だが自分たちの要求ばかりでは、冷たくあしらわれることも知っている。
だから掲げている主張は、自分たちの我が儘ではない……。
そう化粧をする必要があるのですよ」
辟易した顔のモデストが目を細めた。
「大義名分として、アルカディア難民の惨状を救えとなるわけですか。
それとセットで自分の我が儘を押し通す。
よく知恵が回るものですね」
「ある意味当然の行動でしょう。
アルカディア難民や、社会的弱者の救済を訴える。
それに自分たちの主張を混ぜ込む。
これがメディアによって、広く拡散されるわけです」
「メディアとも思惑が一致するわけですか」
ここでリベラルとメディアの利害は一致する。
相性抜群だからな。
感情のリベラルと、大衆扇動のメディア。
どちらも感情で飯を食う種族だ。
「その通りです。
情報の伝達が広がれば、悪い思惑も広がりやすくなる。
いいことばかりではありませんよ」
モデストは珍しくため息をついた。
このモデストでさえ、アルカディア難民は手に余るようだ。
それが外部勢力と結託。
考えるだに悪夢だな。
「最悪の結合ですね。
放置していると勝手にくっつくわけですか。
引き離すのも困難と」
「組織論がない自由は、なにが自由なのか定義すらないのです。
だからこそ多くの不平分子を集められます。
思い思いの自由の元にね。
そして考えようによっては、アルカディアと価値観が一致するのですよ。
一番距離が近いでしょう。
どちらも自分は正しいことが基準なのですから」
カルメンが皮肉な笑みを浮かべる。
「たしかに自由の定義なんて聞いたことがないですね」
その自由の定義なんてしたがるヤツはいない。
自分の自由を縛るなんて馬鹿げている、と思うだろう。
「自由についての定義をすると、野暮で不純となるのですから。
自分が気に入らないものまで、自由とされては嫌でしょう。
かくして無原則が、自由となる。
ただこの自由は、表面的な我が儘ばかりではありません。
他人の金で、誰かを助けていい気分になりたいとか……。
そんな虚栄心や承認欲求も含まれますね」
「それって我が儘と大差ないですよ」
その通りなんだけどね。
なんでも融通
「厳密に言えば人に金をださせて、施しをする。
名誉だけは盗むとも表現出来ますね。
寄付金をちょろまかして豪遊もあり得ますがね。
それでも本人に矛盾はない。
金をだした人、施された側が喜ぶならいいじゃないかと。
機能絶対主義が、この理論を成立させるわけです。
その橋渡しを、善意でやったんだとね。
当然の報酬程度の認識か、認識すらしないか。
そんなところですよ」
カルメンの目が冷たく光った。
「楽しすぎて……。
毒殺したくなりますよ」
それはやめなさい。
やらないだろうけどさ。
「寄付金の使途明細を追うのは、不純な行為と忌避される。
本人にすれば、純粋な善行なんです。
それを疑うのは不純で悪。
加えて『優しい社会を目指す』なんて言えば……。
自分が道徳的に優れていると、優越感にも浸れますからね。
純粋な思いだと自分が思えば、『善』となります。
他人からすれば
本人の感情に矛盾がなければ、純粋となります」
「たしかに純粋さを好ましいと思う慣習がありますね。
この話を聞くと……。
純粋って言葉が汚れていると思います」
「汚水は客観的に見れば汚水ですよ。
でも汚水にすれば、この状態が純粋でしょう。
奇麗な水も同様です。
なんにでも使えるってだけですよ。
言葉自体に善悪はありません」
カルメンはお手上げのポーズを取った。
「ああいえばこういう……。
アルフレードさまがひとりでよかったです。
ふたりいたら私はノイローゼになっていますよ」
酷い言い草だ。
屁理屈を言ったつもりはないぞ。
それを見たキアラがクスクスと笑いだす。
「でも普通に、純粋が使われるのは芸術関係ですよね。
パトロンに報いるような御用作品は……。
不純な動機が混じるから駄作だ、と言われますわ」
「情緒的なのが使徒教の本質ですからね。
私だって情緒を否定しませんよ。
人は情緒なしで生きられません。
本来その情緒は、芸術や祭りのような非日常に向かうべきなのです。
酒場で集まって騒ぐのも同じでしょうか。
それが人々の知恵だったのでしょう。
ラヴェンナの祭りなんて、情緒の塊ですよ。
そこに理屈なんてありませんからね」
カルメンが苦笑してうなずいた。
「あの祭りは、本当にはじけていますね。
ここは普段の整然としたラヴェンナなのか?
そう思うほどカオスですよ」
「人は子供の頃、情緒で育つ。
大人になると、理性に従うものです。
それでも情緒は必要でしょう。
時々存分に発散させる。
そんなところです。
情緒がないと、人も思いやる心なんて育ちませんからね。
ただ情緒を野放しにすると、その段階まで至りません」
プリュタニスが苦笑する。
使徒教の情緒で苦労したからな。
実感がこもっている。
「使徒教は情緒的なのですよね。
よくそれで成立していますね」
「現実が存在します。
共同体はその現実を自然として成立しているでしょう。
この共同体の枠が、情緒を抑制する。
これが理性の代わりとなっているのです。
個人の力では、それを壊せない。
ところがその共同体を飛び越える手段が現れます。
それをメディアは提供するでしょう。
自分と同じような怒りを持っている同志がいるとね。
そもそもメディアは、不安と怒りを売る商売ですから。
問題がないと困るのです。
そして問題を生み出し続けるリベラルは、彼らにとって便利な存在なのですよ」
プリュタニスは呆れ顔でため息をついた。
「メディアって……。
これだけ聞くと癌ですね」
本来は、役割や権限を明確にするべきなのだがなぁ。
それをしないから……。
権利と呼べない権利を主張することになる。
「情報が広まること自体は悪ではありません。
利便性を求める人間の欲求にも合致しますからね。
よい面もあるのです。
それを悪用しやすい立場なのが癌なのですよ。
ところが使徒教では、明確な役割を決めない。
融通
「それを抑えるための相互監視ですか」
これがすべてを解決するわけじゃないけどな。
あくまで一つの手段だ。
「それしかありませんからね。
メディアを放置すると、危険な支配者になります。
規範などないのです。
自分たちの自然な思いに反する人たちは不自然。
だから絶対悪とします。
悪なので排除して、当然となるわけです。
そもそも身内ではない。
害獣の駆除程度の認識でしょうね。
普通の人はバランス感覚が働きますから、そこまでしません。
でもこの手のリベラルは、理論ではなく感情ですからね。
理論がない自由だから当然ですけど」
クリームヒルトは辟易した顔で、ため息をつく。
「きっと攻撃的になりますね。
将来そんな人たちが結集しかねないと」
「嫌な未来ですけどね。
どれだけ激しく感情を表すか。
つまり……どれだけ無節操にかみつくか。
ここが仲間内でマウントを取るための、重要なポイントになりますね。
それだけ純粋であるから善である。
自制を促す人は不純だ、と排除されるでしょう。
このかみつくことに失敗すると、内輪もめがはじまります。
そして彼らの内輪もめは、どちらかがより純粋かを争うことになる。
より過激化するしか道がないのです」
カルメンが唇の端をつり上げた。
「それならいっそ始末したほうがよくないですか?
どう考えても、将来いい方向に向かうとは思えません」
そう考えるのは、ムリもないが……。
「始末する基準は?
こんなものは明文化出来ないのですからね。
いくらでも
結果として穏健な人たちですら、危機感を持ちます。
そしてリベラルの側に追いやるでしょうね。
結果は大混乱です。
家に虫が紛れ込んだからと、家に火をつけるようなものですよ。
そもそも火がついたら、虫はさっさと家から逃げるでしょう」
カルメンはバツの悪い顔で頭をかく。
「言われるとそうですが……。
なんか歯がゆいですね」
「気持ちはわかりますよ。
これを広めない方法ならあります」
カルメンが頰を膨らませた。
「それなら早く言ってくださいよ!」
「口でいうのは簡単なだけです。
社会が安定化して『ムリに変化しないほうがいい』という認識が、大多数になることです。
そうすれば、誰もリベラルの話なんて聞きません。
騒いでいる迷惑な連中。
その程度の認識になりますよ。
リベラルは無視されると、さらに強く泣き叫びます。
赤子と同じですからね。
それがさらに孤立化を招く。
そうすると行き場を失った感情から仲間割れをする。
感情で
いずれ分裂するのが宿命ですから。
結果として力を持ち得ないのです。
そもそも扇動は出来ても、実態としての権力を持っていません」
「今は不安定の極みですねぇ。
じゃあ力が増す一方なのですか?」
なにもしなければ……な。
「そうさせるつもりはありません。
そもそも泣いている他人の赤子をあやすのがおかしい。
それは親の役目です。
統治者の役目ではありません。
しかもその赤子をあやしても、泣き声はおさまらないですよ。
自分たちが責任を取らない支配者になるまで泣き続けます。
これは真面目な人だけが、割を食う世界ですよ」
キアラが皮肉な笑みを浮かべた。
「そのあたりは、アルカディア難民と親和性が高いですわね。
似たもの同士なのでしょうか?」
結果だけ見るとそうだなぁ……。
「アルカディア難民とて、使徒教の影響を免れません。
元々の慣習と使徒教が融合したと思います。
つまりは……採り入れる部分は採り入れた。
それが今の形だと思います。
嫌な形ですが……。
これは文化の融合ですよ」
「悪い部分が強調された同士がつながると……。
面倒な話ですわね。
これにどう対処しますの?」
「現実的な対処方法としては、空気を作らせないことでしょうね。
彼らの言葉に理論はありません。
感情の発露だけですから。
なので空気に頼らないと押し切れません。
これに対処するため、私は自由な言論を推奨しているわけです」
キアラは首をかしげて一瞬固まった。
「矛盾しませんの?」
「しませんよ。
空気は異論を封殺することから大きくなります。
異論を排斥させないことが大事でしょう。
空気と事実がぶつかれば、空気は消えてしまいます。
だからこそ異論を認めないのですよ。
そして発言には根拠を求める。
それを徹底していくしかありません」
カルメンが意味深な笑みを浮かべる。
「遠回りのようですけど……。
アルフレードさまは、そうやって足場を作ってきたのですか。
よく根気が持ちますね。
やっぱり人間じゃないですよ」
人間だっつーの。
「ムリをしていませんからね。
話をメディアに戻しましょう。
メディアは空気を作って、支配を目論みます。
それは実際の権力が脆弱だからこそです。
空気を支配するしか、権力基盤の強化は出来ない。
だから徹底的な言論統制をするでしょう。
自分たちに反する意見はなかったことにするか……。
嫉妬か妄言として扱いますね。
反論する人に悪いレッテルを貼り付けて、自分の正当性を担保するわけです。
根拠なく……自分は正しい、と考える人たちの常套手段ですからね。
そこは徹底してくると思いますよ」
カルメンが嫌そうな顔で頭をかく。
「メディアの建前が自由な言論ですよね?
それが言論統制って笑えませんよ」
「自分たちだけが自由な言論を行使すること。
これが彼らにとっての言論の自由になります。
矛盾など感じませんよ。
言論に値しない妄言は無視して構わないのですから。
エリートたる自分たちが、無知な民を教化するとでも思っているのでは?」
カルメンから表情が消える。
「やっぱり
大丈夫です。
証拠なんて残しませんから」
「ダメですよ。
殺してしまっては、彼らが神聖化されますから。
彼らを絶対化せずに相対化することが大事なのです。
もし必要なら私がちゃんと指示します」
カルメンは心底嫌そうな顔をする。
「胸焼けしてきました……。
こんなものを、よく冷静に見ていられますね。
やっぱり……。
アルフレードさまは人間じゃありませんよ」
なんでそうなるんだ。
「ただの人間ですよ。
目を背けても解決しないと、常々言っているのです。
そんな私が背けたらダメでしょうに。
そしてこのメディアは、早晩問題を巻き起こします」
プリュタニスが大きなため息をつく。
どうやら胸焼けしたようだ。
「話を聞くと……。
問題しかありませんよ」
「それは自分たちが意図しなかった問題です。
そしてそれを一応は問題だと、認識はする。
どう対処するかは置いておいてね。
これから話すのは、彼らがそれを問題と認識しない問題です。
まず取材と称して、強引かつ違法なことを平気でするでしょう。
使徒教の共同体の規範が優先されるためです。
機能絶対主義がこれを補完する。
だからスクープのネタになるなら、
機能さえすればいいのですから。
そして身内と他人の理論で、他人がどう困ろうと知ったことではないのです」
「ここで使徒教がもたらす弊害にあたるのですか……。
今までの話を聞くと、容易に想像出来るのが嫌ですけど」
今までの前提を知らないと、この話をしても頭が受け付けないだろう。
だからこそ根深いし、容易に断ち切れない問題でもある。
「そして不祥事が発覚しても、身内で誤魔化す。
共同体の和を保つため。
問題を起こした当人はなかったことにするか……逃げ回るでしょう。
見たくないことを突きつけられる。
これは本人にとって不自然なのですから。
機能絶対主義が、問題の
処罰などして、取材が出来なくなったら……。
機能しなくなりますからね」
カルメンはフンと鼻を鳴らす。
「考えれば考えるほどクズ集団ですね」
そりゃそうだ。
俺だって、メディアの人間になるくらいなら……。
泥棒になったほうがマシだと思っているのだから。
「気持ちのいい人たちだ、と思うほうが希少だと思いますね。
さらに問題なのは、これを崇高な任務だとして人を募るでしょう。
仲間を増やすわけです。
この世界に取り込まれたら最後ですよ。
染まるか絶望して去るか。
自力で健全な方向に、絶対に向かいません。
よほどの外圧がないとね」
「言論を支配しているからこそ……。
去った人の口封じまでするのでしょうねぇ」
「不都合ならそうします。
共同体を守るためにね。
内部告発なんてないでしょう。
神聖な共同体への裏切り行為ですからね。
そんな慣習がないのです。
弱体化すれば、そのタガも外れるでしょうけど……。
そもそも実権力がない彼らは、実権力による処罰を恐れています。
有力者と昵懇になるか、弱みを握って脅すかも知れません」
カルメンが冷ややかな顔で冷笑した。
「さもありなんですね。
それすら効かない権力者がいたらどうします?」
「剥き出しの力を前にすると豹変します。
小動物のように怯えて、言いなりになりますよ。
手先にすらなるでしょうね。
潰されては機能出来ないのですから。
自制する相手には、報道する自由を盾に……好き勝手するでしょう。
組織論がない使徒教でのメディアとは、かくも恐ろしい存在なのですよ」
カルメンはウンザリした顔で、ため息をつく。
「この問題はアルカディア難民には限らないと」
「ええ。
フロケ商会は、私の目が光っているので好き勝手はしないでしょうけど……。
そんなメンタリティは、心の底に流れるものと考えるべきです。
リベラル思考と親和性が、とても高いのですからね。
目を離すとすぐに同化しますよ。
現実を自分に都合よく変えたいリベラルなんて、メディアにとってはいい大衆扇動の種ですしね」
キアラが引き
「ほんと胸焼けがする話ですわね……。
知りつつも止められない。
より胃もたれしますわ」
だからこそだよ。
「こんな使徒教の弊害を、クレシダ嬢は嫌っていると思いますね。
だから徹底的に、弊害を見せつけるつもりですよ。
忌避して嫌悪するほどにね。
果たしてそううまくいくか……」
キアラは意外そうな顔をする。
「お兄さまは違う見解ですの?」
「宗教としては最強ですよ。
融通
相反する別の宗教だって取り込めるでしょう。
強固な柱なら切り落とせますが……。
空気は切れないでしょう?
カメレオンのように瞬時に、見た目を変えるのは朝飯前です。
これを潰すのは不可能だと思っていますよ。
全員を殺し尽くさない限りはね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます