752話 ヨルガオ
初会合の夜に騒動が起こった。
何者かが寝室で寝ていたアーデルヘイトの部屋に侵入しようとしたのだ。
未然に防がれて、すぐに退散した。
まず俺の寝室に、アーデルヘイトを避難させる。
もう大丈夫だろうが……。
心配だからな。
俺の部屋で寝ていたクリームヒルトも賛成してくれた。
侵入者は塀を跳び越えて、窓から侵入しようとしたらしい。
だが……なにかに気がつき、すぐに逃げ去った。
2階なんだけどなぁ。
ライサの仕掛けが発動したようだ。
ライサは庭を確認してから、俺の寝室にやってきた。
「やっぱり不躾なお客人が訪ねてきたようだね。
お引き取り願ったから問題ないよ」
警備はザルじゃない。
かなり厳重だ。
とくに俺が暗殺計画の対象になってから、より厳しくなっている。
「見回りがいるのに、よく忍び込めましたね」
ライサは得意げにウインクした。
「そりゃ連中の特技は、気配を完全に消すことさ。
普通の人には見つけられないよ。夜なら不可能だろうね」
誰でも可能なら問題だなぁ……。
「それは訓練すれば出来るのですか?」
「いや。
体内魔力は自然と放出されるだろ。
それも気配の一つだからね。
だから特別な手術を施すのさ。
そうすれば、必要に応じて完全に気配を消せる。
連中が裏で重宝されていた理由の一つだよ」
古代人の技術に、そんな項目はなかったような……。
「古文書にはなかったと思いますが……」
「ラヴェンナから出てきて開発したからね。
残っていなくて当然さ」
それ専用に対策したわけか。
気配を完全に消した刺客を捕捉するなんて、どうするのやら。
「それをよく捕捉できましたねぇ……」
ライサは自慢気に指を立てた。
「理由は簡単。
連中は気配や殺気を完璧に消せる。
それを感じられない生物だけを捕らえる罠さ。
だからアイオーンの子の刺客以外には反応しない。
シャロ坊にすらね。
普通の襲撃なら親衛隊の管轄だろ?
私はそれ以外に絞ったわけさ」
ライサはどこからともなく、花を取り出した。
夜なのに咲いているのは珍しいな。
「この花ですか」
「ダークエルフは夜に咲く花を扱うのが得意なのさ。
こいつはヨルガオって言ってね。
特殊な魔法をかけている。
該当した侵入者を発見すると、根を伸ばして捕まえようとするよ。
ついでに花粉も飛ばす。
逃げても追いかけられるようにしたのさ」
侵入者が、クレシダの配下だという証拠があれば完璧だが……。
「ではお客人を追跡可能ですか?」
ライサは肩をすくめた。
「残念ながら大した腕でね。
花粉に気がついて、すぐ逃げちまったのさ。
それと連中は、とても慎重だよ。
一度失敗したんだ。
よほどのチャンスがないと仕掛けてこないよ。
仮に裏をかいて再度実行しても大丈夫。
他にも仕掛けはある。
しつこく来ても平気さ」
取り逃がしたのは仕方ない。
ライサに来てもらって大正解だったな。
「アーデルヘイトを守っていただいて、本当にありがとう御座いました」
ライサは照れたように手をふる。
「よしてくれよ。
そのためについてきたんだからね。
気が済まないなら、いい酒を奢ってくれればいいさ」
それなら安いものだ。
「わかりました。
接待用に持参した特上を回します。
まだありますからね」
ライサは、嬉しそうに笑う。
「じゃあ……楽しみにしているよ」
ライサが退出した。
部屋には俺、アーデルヘイト、クリームヒルトの3人しかいない。
アーデルヘイトはニコニコ顔で落ち着き払っている。
狙われかけたのに、気にしていないのか。
「あ! 旦那様。
私は平気ですよ。
もともと愛人になるよう育てられてきましたからね。
襲われるときもあるって、心構えは出来ています」
クリームヒルトは心配して損をした、と言いたげだ。
「じゃあ戻って寝る?」
アーデルヘイトはプイと横を向いた。
「一度旦那さまの部屋に入ったら、朝になるまで出ちゃいけない決まりなの」
どんな決まりだよ……。
クリームヒルトは呆れ顔だ。
「もっとマシな理由を考えてよ……」
アーデルヘイトは自信満々に胸を張る。
「夢に出てきた筋肉の神さまのお告げよ」
バランのヤツ出張したのか。
忘れよう。
それがいいな。
それに……もう夜も遅い。
このまま徹夜していいことはないからな。
「仕方ないですね。
寝ましょうか。
どうせ明日は、バタバタしそうですし」
クリームヒルトは首をかしげた。
「次の会議は未定ですよね」
「ええ。
それでも忙しくなると思いますよ」
◆◇◆◇◆
左右を美女に囲まれて眠る。
男のロマンだ……。
んなわけあるか。
がっちりガードされて、寝返りを打てない。
お陰で体が痛い。
もうやらないからな。
首を鳴らしながら、朝食を取る。
しかし政務がないと暇だな。
暇なので天井のシミを数えてみる。
新築だからないけどな。
俺が難しい顔で腕組みをしているから……。
誰もくだらないことをしているとは思うまい。
そう思っていると、親衛隊が来客を告げる。
キアラとモデストを伴って、会いにいく。
モデストは俺になにか言いたげだ。
「シャロン卿。
どうかされましたか?」
「ラヴェンナ卿はアハマニエミ姉上に、高級酒を賜れたとか……」
耳
「ええ。
アーデルヘイトを助けてくれたお礼です。
なにか問題でも?」
モデストは珍しく人間臭いため息をつく。
「姉上はこの世で、最も厄介な絡み酒なのですよ。
シルヴァーナ嬢ですら逃げ出すほど……と言えばおわかりいただけるかと。
そして犠牲の祭壇には、私が乗るわけです」
「それは大変ですね……」
現実から逃げよう。
来客はレナルド・ラクロと数名。
翌日に訪ねてくるとはな。
クレシダの差し金か。
キアラは、少し不機嫌な顔をしている。
「お兄さまを侮辱して逃げ帰った次の日にやって来るとか……。
どんなつもりなのでしょうか」
「クレシダ嬢から『参加したいなら、私の承諾を得ろ』と言われたのでは?」
キアラは大きなため息をつく。
「屋敷を囲んだ揚げ句に……。
汚物を投げつけておいて、よく顔を出せますわね」
価値観が違いすぎるのだ。
「悪いことだと認識していないのでしょう」
キアラは額に手を当てる。
「なんだか頭が痛くなってきましたわ……」
モデストが小さく肩をすくめる。
「キアラ嬢。
昨日は私の忍耐の限界を超えそうになったのです。
かなりの辛抱を強いられますよ」
キアラは心底嫌そうな顔をする。
部屋に入ると、レナルドたちが立ち上がった。
俺はキアラを紹介する。
妙に媚びるような表情から、レナルドたちの内心は窺えない。
だが、確実に蔑視しているだろうな。
キアラもそれを敏感に感じて、やや不機嫌そうだ。
俺たちは席に座って、レナルドたちに着席を促す。
「それでラクロ殿。
私にお話とは?」
レナルドは愛想のいい笑みを崩さない。
「昨日は不幸な行き違いがありました。
改めてラヴェンナ卿に、我々が出席することをお認めいただきたく」
キアラとモデストの不快感のスイッチが入ったようだ。
俺は予想していた。
「それだけですか?」
レナルドはニイッっと笑う。
カルメンが指摘したヤバイヤツの笑みそのものだ。
「他にもお願いしたいことはありますが、まずは出席からとなります」
モデストの目がやや鋭くなった。
「ラヴェンナ卿に非礼を働いた件は、なんとも思っていないのかな?」
レナルドは芝居じみた仕草で、手をふった。
「いえいえ。
我々としても、つい熱くなりすぎまして……。
遺憾に思う次第であります。
そこは水に流して、これからよい関係を築くべき。
そう思いませんか?」
キアラの目が鋭くなった。
やはり、絶対に謝ろうとしないな。
レナルドにとって、アルカディアでの人生がかかっている。
下手に謝罪しては、命の危険にまで及ぶだろう。
だからとそれを考慮してやる義理はない。
当然なことと思って、要求が天井知らずになるだろう。
どこまでやったら許されるか。
常に計るのが彼らの習性だ。
「遺憾とは?」
レナルドは眉をひそめた。
俺の言葉の意味が理解できなかったのだろう。
「それは文字通りの意味でありますが……」
遺憾など、どのような意味にでも取れる。
ここでは、謝罪の意味。
同胞の元に戻れば、こんなハメになったのが遺憾だと。
俺を騙してやったと自慢するだろう。
そんな茶番で、時間を潰されてはバカらしい。
「つまりラクロ殿は、あの言動に問題はない……。
そう思っているわけですね?」
レナルドは愛想笑いを浮かべる。
「そうは言っておりません。
ここはお互いさまとするのが、紳士の対応ではありませんか?」
勝ち目がなくなったときの常套手段だな。
しかし……。
俺のことを調べていないのか?
俺は、万人に礼儀正しいわけではない。
ルールを悪用するヤツは、相応の態度を取る。
「紳士的な対応とは、その価値を理解する人にして意味があるのです。
ただ利用する人には、底の空いた盃にワインを注ぐようなもの。
それでは他の方々に失礼となりますからね。
利用する人には相応の態度を取るだけです」
レナルドは引き
「利用とは人聞きが悪いですね……」
実に自己評価が高い。
客観性など利用するときしか必要としない価値観だからな。
曖昧な言葉では、都合よく解釈する。
「理解している人であれば……。
昨日の言動は、礼を失していると思います。
それに思い至らない。
そんな人が無条件に紳士的対応を期待するのは……。
ただの利用ではありませんか?」
レナルドの顔は真っ赤になる。
「ラヴェンナ卿が我々を挑発したからです!」
やはり自分の正当性を脅かされると、なんでもいいから相手を攻撃する。
こじつけや曲解でもいいのだ。
事前に情報を集め、考察していて良かったよ。
じゃないと余計な時間がかかって、揚げ句疲労してしまう。
「やはり話がかみ合いませんね。
お引き取り願いましょうか。
私は忙しいのです」
俺が腰を浮かせると、レナルドが青くなる。
やはりクレシダに指示されているな。
決裂するとクレシダなら殺しかねない。
「お待ちを!
我々にも事情があることをご理解ください。
ここで弱腰な姿勢を見せると、私の指導的地位が危うくなります。
どうか曲げて、手打ちにしていただけませんか?」
これも想定パターンか。
受け入れて手を引いた瞬間……後ろから殴ってくるだろう。
「そこで引くと……。
私がラクロ殿に屈服したかのように吹聴して、既成事実を作るのでしょう?」
レナルドは口ごもる。
いつも通用していた手が無効なことに困惑したのだろう。
「それは酷すぎる臆測ではありませんか」
「いえ。
ミツォタキス卿からアルカディア難民の言動について、報告を受けています。
先例なら山ほどありますよ」
このような例は、枚挙に暇がない。
そして中間管理職では、自分の判断で決裂できないから受け入れてしまうだろう。
残念ながら、俺は最終決定者だ。
「それは誤解です!
どうか我々のことを信じていただきたい。
我々は世界で、1番正義と道徳を重んじるのです」
レナルドの随行員も、一様にうなずく。
この言葉は、彼らの価値観では真実だろう。
自分は絶対に正しい。
だから自分の行いは、正しくて道徳的。
それを受け入れない相手は、間違っていて不道徳な存在。
蔑視ありきの価値観が相まって、このような思考に至る。
「報告が誤報なら、ランゴバルド王国とシケリア王国との関係が悪化します。
そのような愚を、ミツォタキス卿が犯すとは思えませんね。
どちらを信じるかは明白でしょう」
「そんな書状はあるのですか!
ラヴェンナ卿が、我々を出席させたくないため……でっち上げた可能性すらありますぞ」
キアラにアイコンタクトを送る。
キアラは書類の束を俺に渡してくれた。
俺はわざとらしく書類の束をポンポンとたたく。
「これが証拠ですよ」
レナルドの目は、書類に注がれる。
「それは別の書類かもしれません……」
自分の発言の危なさに気がついていないな。
俺が噓つきだと言っているに等しい。
だが気がつかないだろう。
その時々で自分の感情を充足させることが、正しさになるのだから。
俺は書類の束を差し出す。
「どうぞ。
御覧になればわかりますよ」
レナルドは引ったくるように、書類を受け取った。
書類を見る目が血走っている。
震えがだんだん大きくなった。
突然、レナルドは立ち上がる。
「こんなものがあるから……。
我々が嫉妬されて、不当な攻撃を受けるのだ!」
書類をビリビリに破る。
やはりな。
彼らは矛盾を認識は出来る。
自分の正しさに関係しなければ、俺たちと同じような客観性を持つだろう。
その整合性は、あくまで正しさの下位に存在する。
だから重要ではない。
その正しさを脅かす証拠は、彼らにとって存在してはいけないものだからな。
気に入らなければ、平気でこんなことをするだろう。
キアラとモデストは、呆然としている。
「この書類は、ラクロ殿に差し上げたものではないのですがね。
それを勝手に破くなど、あまりに常識知らずですよ」
レナルドは震えながら座る。
「こんな噓だらけの証拠など……、ラヴェンナ卿を惑わせるだけです。
だから破り捨てただけのこと」
レナルドの随行員も『そうだ。 そうだ』と
破ったから、事実が消えるわけじゃない。
レナルドは破いたことで、多少落ち着いたようだ。
そろそろ、奈落にたたき落としてやるか。
「これはただの写しでしてね。
元本は別に保存していますよ。
この証拠を噓と公言するとは、シケリア王国を侮辱していることになりますよ。
ラクロ殿にわかりやすく説明すると、クレシダ嬢は不快に思うでしょう」
大事な書類を、危険な相手に渡すはずがないだろう。
写しを渡しただけだ。
レナルドはカタカタと震えだす。
「クレシダ嬢に密告だけはお許しを……」
自分がすることを他人もすると思い込む。
実にわかりやすい態度だ。
「密告などしませんよ」
レナルドは露骨に、
随行員たちも同じだ。
「賢明な判断を評価したいと思います」
キアラの額に青筋が浮かんだ。
評価ねぇ……。
感謝などしたくないだろう。
彼らの価値観では、自分は尊重されて当然なのだ。
その自分が評価と言えば感謝になる。
だが感謝と口にしていないし、上から目線なのでプライドも満たされるだろう。
まあ……。
その思いは全部ムダになるがな。
「公表するだけですから」
レナルドは再び青い顔になる。
「なぜそこまで、意地の悪いことが出来るのですか!」
内々に話を進めると、勝手に話をねじ曲げる。
そして……あることないこと言いふらすだろう。
それを封殺するのは簡単だ。
事実を公表すればいい。
なにせレナルドたちは嫌われており、信用すらされていないのだ。
アルカディア難民内の認識は無視する。
見たい現実しか見ないのだ。
説得や諭すのは不可能。
不可能に
「私にとって隠すメリットがないからです。
どうやらお話しする必要は、もうないですね」
俺が再び腰を浮かせると、レナルドが大慌てする。
「待ってください。
せめて会議への出席だけでも認めていただけないと、私は生きて帰れません!」
多分仲間内で大言壮語したのだろう。
それが失敗に終わって、クレシダの不興を被っては大変だ。
だが……そんなこと俺は尊重しない。
「今日はラクロ殿の問題行動が増えただけですよ。
なぜそれが……。
出席を認める方向にいくのですか?」
レナルドは口をパクパクさせる。
「なんて情がない人なんだ……。
私に謝罪せよと……?」
「してもらわなくても私は困りません。
どうぞお帰りください」
俺は扉に向かう。
キアラとモデストも席を立つ。
突如、レナルドたちは土下座をした。
見事に息が合っている。
ちょっと笑いたくなった。
「せ、先日は……。
誤解を招く表現をしたことを……」
ほほ笑ましいくらい粘るな。
だがなぁ……。
その言葉は大嫌いなんだよ。
「誤解を招く表現とは?
それだと私の理解力が不足していたように思えます。
その場を取り繕うために、仕方なく謝ってみせるようですね。
仕方なくする謝罪なら不要です。
繰り返しますが私は多忙なのですよ。
時間の浪費に付き合う暇はありません」
レナルドは震えはじめた。
かなりストレスがかかっているようだ。
普通なら……この言葉に不満があっても矛を収める。
突っ込むのは大人げないからな。
あくまで同じ価値観を有している間柄ならばだ。
「それは私の表現が拙かったと……」
この期に及んで、曖昧な表現で逃げるか。
「拙いですか?
ではどのような意図で……。
あのような発言をしたのか、教えて貰えませんか?」
レナルドは顔を真っ赤にして震えていたが、うめき声を上げて倒れ込む。
随行員たちは呆然とする。
ストレスに負けて、発作を起こしたか。
基本的に攻撃的で尊大な相手は打たれ弱い。
逃げ道を淡々とふさがれて、限界を超えたか。
同情などしないが。
ここでゲームセットだな。
俺は、随行員に向かって苦笑する。
「ここで死なれても困りますね。
では皆さん。
お引き取り願いましょうか。
こんな調子では、会うことすら時間のムダになるようです。
くれぐれもお忘れなきように」
レナルドを抱えて、随行員たちは退散していった。
3人だけになった応接室で、キアラが苦笑する。
「なんといますか……。
最初は腹が立ちましたけど、後半の追い込みはすごかったですわね。
あれが伝説の……役人を泣かせた追い込みですのね」
モデストも呆れ気味に、肩をすくめた。
「あそこまで謝罪を拒む精神とは……。
ある意味見上げたものですよ」
大したことはしていない。
曖昧な言葉を許さなかっただけだ。
「彼らの価値観は、蔑視中心で被害者が上位なのです。
彼らの社会で謝罪とは、序列の最下位に転落することを意味しますからね。
つまりはなにをやられても、文句を言えない。
だからその恐怖と、私への怒りが限界を超えて……倒れたのでしょう」
キアラが不思議そうに首をかしげる。
「怒りですか?
あの攻撃は、かなりイヤらしいものでしたけど。
そこまで怒るものかと思いますね」
「ああ。
彼らにすれば、私に会いに来た段階で譲歩したことになっています。
なにせ自分は正しいことをしている。
なのに釈明しないとけいない認識ですからね。
だから私が、彼らの要求を受け入れないのは、
しかも謝罪を強要されていると考えた。
彼らにとっては相当な屈辱だったでしょう。
差し伸べた手をたたかれた認識ですよ。
でもクレシダ嬢が怖い。
その板挟みで……ああなったと思いますね」
キアラがクスクスと笑いだす。
「それにしてもお兄さまは、人が悪いですわね。
暇で欠伸をしていたのに……。
多忙だと連呼するのですから」
「いえいえ。
彼らと会うより、大事な用件がありますから」
キアラが驚いた顔をする。
「なにかありましたっけ?」
「天井のシミを数えることです」
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