705話 嫌がらせと足元の危険信号

 使徒ユウに関しては、しばらく放置でいいだろう。

 状況がカオスすぎてムリに介入すると自滅する。

 距離もあるからな。


 リカイオス卿との戦いに、全力を注ごう。

 キアラを呼んで、次の手を打つことにする。

 なにか期待した顔のキアラがやって来た。


「ちょっとした噂を、シケリア王国で流してください」


 キアラは、小さく首をかしげる。


「あら。

まだダメ押しをしますの?」


「ダメ押しというより……。

ちょっとした嫌がらせです」


 キアラは興味深そうに、身を乗り出してくる。


「それでどんな噂ですの?」


 期待されて恐縮だが、大した話ではない。


「リカイオス卿が、戦争の長期化に向けて軍資金と兵糧集めに奔走しているらしい。

臨時の徴税が行われるかも、といったところですかね」


 キアラはニコニコ顔で、さらに身を乗り出してくる。


「それが広まったあとは、どうしますの?」


 噂を広めて、トドメを刺すのが最近のパターンだからな。

 そう思い込むのも致し方ないか。


「なにもしませんよ」


 キアラは途端に硬直する。


「詳しく教えてください。

あ、ちょっとお待ちを……」


 キアラは慌ただしく、メモを取る体勢になった。

 ホント飽きないなぁ……。


「お待たせしました。

大丈夫ですわ」


 思わず頭をかく。

 説明だけはしておくか。


「今回は流言で、リカイオス卿の足を引っ張ることが目的です。

流言なので、種だけ蒔けば勝手に育つのですよ。

それが芽を出し、蔦となってリカイオス卿を縛るのです」


 キアラは眉をひそめた。


「流言って誰かが言いだして、勝手に広まるイメージがありますわ。

まさか流言を制御するおつもりですの?

そんなことを試みた話など、聞いたことがありませんわ。

そもそも……この流言が足を引っ張るって、今一想像が出来ません。

無視できないほどの大きな流言ですの?」


 かみ砕いて説明するか。

 この手のテクニックは、覚えておいて損ではないからな。


「キアラのいうとおり、社会全体を飲み込むほどの大きい流言が必要です。

ですが……まず流言について説明しましょうか。

流言を広げるためには下地が必要です。

これは社会全体が不安や不満で覆われていること。

漠然とした不安や不満でもいいですが……。

シケリア王国内の不安はかなりのものがあるでしょう。

これは既にクリアされていますね?」


「ええ。

戦争好きのリカイオス卿に、民衆は内心辟易していると思いますわ」


「大きな流言とは、流布量が多いことです。

この流布量に実は法則があるのですよ」


 キアラはしきりに首をひねっている。


「流言に法則とか、ますます意味不明ですわ……」


「ふたつの要素が法則になります。

ひとつ目は関心度。

話を聞いた人にとって、それがどれだけ重要であるか。

つまりは多くの人が関心をもつこと。

臨時徴税などは、ほぼ全員が関心をもつ話題ですからね。

ふたつ目は曖昧さ。

根拠や証拠が、どれだけ曖昧であるか。

この関心度と曖昧さの積が流布量になりますね」


 キアラは天を仰いで嘆息した。


「私はまだまだ未熟なようです。

お兄さまマイスターにはなれませんわ……。

関心はわかります。

飛びつく人がいなければ流言なんて成立しませんもの。

でも……曖昧さってどういうことですの?」


 また変な資格制度をつくりやがって……。


「客観的事実と異なるデマは広がりません。

信じられない噂は広がりませんよ。

だから曖昧さが大事なのです。

ぼかすことで、聞き手が都合よく解釈してくれますよ。

そもそも人は、曖昧な情報を合理的に解釈しようとするものですからね」


 キアラは数秒固まっていたが、諦めたようにため息をついた。


「済みません。

もうちょっとわかりやすく説明してください。

なんだか今までの自信が、木っ端微塵に砕かれた気分ですわ……」


 大袈裟すぎだろうに……。


「シルヴァーナさんが巨乳になった、という噂が流れたらどうします?」


 たまにはシルヴァーナをダシにしてもいいだろう。


「そんなのあり得ませんわ。

記憶に残す価値もありません。

重要さは大したことではありませんし、現実的にあり得ないですわ」


「ではシルヴァーナさんが酔っ払って、どこかの屋敷で暴れたとしたら?」


 キアラは心底嫌そうな顔をする。


「あ~~。

もしラヴェンナ協力者の屋敷で暴れていたら、と思うと頭が痛いですわ。

嫌でも、その話を色々な人に聞きますわね。

重要さは大きいですし……。

実現性も高いですわ」


 人に聞くことも、流言の流布に一役買うのだがね。

 それは置いておくか。

 話が難しくなる。


「こうして……。

ただ屋敷と聞けば、色々考えてしまうでしょう?

もし自分の屋敷で酔って暴れたとなれば、話題にもなりませんよね。

曖昧にすることで、関心を引けるのです」


 キアラは、目を丸くした。


「ああっ!

そうですわね。

勝手に考えてしまいましたわ。

それが曖昧さなのですね」


 なんとか通じてくれたか。

 概念的に難しいから説明するのも一苦労だよ。


 転生前の記憶はもう思い出せない。

 でも基本的な概念は頭に残っている。

 内乱のとき、ひたすら記憶をもとにシミュレーションしていたからな。

 そのお陰だよ。


「さらにこの話を、ライサさんやカルメンさんから聞いたら……。

もう事実だと信じてしまいませんか?

そのふたりが、誰からどう聞いたかなど、問題にしないでしょう。

そして面白おかしく誰かに話しませんか?」


 キアラは嘆息しつつも、興奮気味にメモを取っている。


「ええ。

たしかにそうですわね。

久しぶりの衝撃ですわ。

お兄さまは、こんな人の心の動きにも通じているのですね……。

どう広まるかはわかりました。

でもこれが、どうリカイオス卿の足を引っ張ることになるのです?」


 流言は放置すると、社会に悪影響を及ぼし得る。

 不確実で感情的な口コミでしか情報が得られないのだ。

 その影響はとても強いだろう。

 それが流言の怖いところだ。

 人としての本能に根ざしているから、始末に困る。


「どう変わるかは推測にすぎませんが……。

『軍資金と兵糧集めのため、臨時の徴税が行われるかも』から始まります。

次にどう変わるか。

『軍資金と兵糧が枯渇しかかっている。 臨時徴税が来るぞ』です。

話の内容が推定から確定に変容します。

そして最後。

『臨時徴税は一度では済まない。 食糧も徴発される! 隠さないと!』となるでしょう」


 キアラは深いため息をついた。


「こんな流言が広まっては、経済活動は麻痺しますわね。

これで一儲けしようとする、不届きな輩も現れるでしょう。

リカイオス卿はそれに対応せざる得なくなるわけですね。

それどころか臨時徴税すらやりにくくなりますわ。

見事なくらい悪辣あくらつですわね」


 褒められているのか……けなされているのか……。

 まるでわからんな。


「まあ……。

ちょっとした嫌がらせですよ」


 黙って聞き耳を立てていたミルが、椅子を俺の隣に持ってきた。


「ゴメン、ちょっと聞いていいかな。

なんでそんな流言が変化していくの?」


 わざわざ、隣に来なくてもいいのに。

 来ても迷惑じゃないからいいけどさ。


「伝聞情報とは変わっていくのですよ。

多くの人を経由すればする程ね。

まず、情報が簡略化されます。

リカイオス卿が……なんて情報は、どこかの段階で消えてなくなるでしょうね。

そこはわかりますか?」


「徴収するのはリカイオス卿しかいないわ。

周知の事実は削られるのね」


 ここから大きく変容が始まる。

 これは、人としての性だな。


「次にインパクトのある内容が、どんどん強調されていきます。

ことさら大袈裟に話す人がいるでしょう?

そんな人は熱心に尾ひれをつけて、噂を広めてくれます。

大袈裟でなくても、ちょっと話に色をつける人はいますよね」


 ミルの頰が引きる。


「ああ。

シヴィにお仕置きしないと……。

忘れていたわ。

と、ともかく……。

尾ひれって、アルのトロッコがそうよね」


 なんでその実例を持ち出すかね。

 わかりやすい例だけどさ。


「ともかくです……。

そうやって、流言は内容が変容していきます。

ただ流言の枠組みだけは守ります。

中身だけ再構成されていくのですよ。

ここでは臨時徴税が行われる、という枠組みが出来あがります。

それを補完する形で、偏見や思い込みなどが入り込んでいく。

これはわかりますか?」


「すぐ戦争が終わるなら良いけど……。

長引いたら、臨時徴税って1回だけじゃ済まないわ。

それに兵糧も必要だと思ったら、強引にでも徴発するわね。

実はそんなことしないかもしれないけど、そう思っちゃうのは仕方ないか……。

そうやって変わっていくんだ」


 流言に限った話ではないが、伝言とはそんなものだ。

 だからラヴェンナの裁判で、伝聞を証拠として採用しない。


「ええ。

しかもシケリア王国内の流通は、万全とはほど遠いでしょう。

そこにこんな流言が飛び込んできたら、どうなります?

普通に起こる商品の遅れが、臨時徴税で持っていかれた、と思い込むでしょう。

商品が到着したとき、臨時徴税されたという事実は遠くに逃げ去っています。

尾ひれをつけながらね。

訂正しようにも手遅れですよ」


 ミルは引きった笑みを浮かべる。


「そ、そうね……。

やっていなくても事実だと思われるってことね。

そうしたら買い物なんて出来ないわ。

いくら取られるのかも、わからないんでしょ。

なんか怖いわね」


 実際怖いものだよ。

 怖くないと思われたら困るな。


「その認識は正しいですよ

流言は怖いものです」


 ミルはウンウンとうなずいていたが、すぐに首を傾げた。


「それってラヴェンナで、逆に流されたりしないの?」


 まあ……そうなるよな。

 ノーガードではない。

 現時点で出来る手は打ち終わっているのさ。

 そうでなければ、クレシダが遠慮なく手を突っ込んでくるだろう。

 俺の反応をいちいち楽しみにしている気がするからな。


「完全に防ぐことは出来ません。

でも広がるのは防げます。

風邪と一緒ですよ。

ラヴェンナでは、普段から情報を馬鹿正直に公開しているでしょう?

騒ぎ立てる人もいますが、それは変だと思って声を上げる人もでてきます。

そのあたりの議論は盛んですからね。

隠していたらこうはいきません。

秘め事は流言の母ですから」


 ミルは納得した顔でうなずいた。


「それでやりすぎって程、情報を明かしているのね。

私は他家の人に聞かれても、納得させる答えがでてこなかったわ。

黙っていても支障ないのに、なんで手間暇かけて情報を領民に知らせるんだって。

アルの趣味だと言ったら、納得してくれたけど。

流言が広がらないようにしていたのね。

風邪にかかるのは仕方ないけど、すぐに治せる仕組みだったんだ」


 趣味ってねぇ……。


「ええ。

人の口に、戸は立てられません。

それなら明かしたほうが楽でしょう?

そのほうが統治する側も、緊張感をもってやれます。

不都合なら隠せばいいとなると、どうしても緊張感は持続できませんよ」


 キアラはメモを取り終えて苦笑する。


「これが広まると、リカイオス卿は普通の徴税もままならないですわね。

治安も悪化するでしょうし……。

適切な手を打つにしても、すごい手間がかかりますわね。

仮に臨時徴税をしようものなら、手がつけられないことになります。

本当にお兄さまが、味方でよかったですわ」


                   ◆◇◆◇◆


 閣議で法務大臣のエイブラハムから、気になる報告を受けた。

 微罪の再犯が多いようだ。


 人が増えており、比例するかのように犯罪数は増えている。

 それでも他所に比べれば、かなり治安がいい。

 だが、これは危険信号に思える。

 よくぞ報告してくれた、と内心感謝するよ。

 今のうちに、多少の軌道修正は必要だろうな。


「再犯者の傾向は、どんな感じですか?」


 エイブラハムは手元の書類に目を通す。

 頭に入っているが、念のため確認したのだろう。


「だいたいは貧困層ですね。

独立市民がほとんどです。

出所しても食っていけずに、また犯罪に手を出すといった感じのようでして……」


 独立市民は、代表者の庇護を受けていない市民のことだ。


 代表者の庇護を受けていた場合、代表者が色々手を回してくれる。

 だが場合によっては、集団の名誉をけがしたと排除されるケースがあったな。

 俺たちの手が届かない部分を、代表者に任せている。

 そこからも漏れると危ういことが露呈したな。


 それ以外にも、代表者から自主的に離れるケースが存在する。

 昔は村や部族の集団にいなければ、生きていけなかった。

 今はひとりでも、都市で暮らすなら大丈夫、と思えるからだ。


 現実には、しがらみからの解放と引き換えに失われる恩恵は大きい。

 まず割のいい仕事につくことが困難だ。

 そしてなにかの病気に罹れば、最低限の保障は受けられるが、その後の立て直しに苦労する。

 代表者の庇護下にいれば、便宜を図ってもらえるのだ。


 この独立市民の問題に着手するのは、もっとあとになってからだろうな。

 元族長などの権威と権力を温存したからこその早期平定だ。

 次のステップに移るには、時間が必要だろう。


 だからと完全に放置できる問題ではない。


「代表者とのつながりを煩わしく思って、独立市民を選ぶ人もいますからね……」


 エイブラハムは、小さく肩をすくめた。


「再犯を抑止しようにも、妙案が思いつかないのです。

それこそ決まった仕事をすれば飯は食える。

出所後よりマシだ、という輩までいましてね……」


 ラヴェンナでただの禁錮刑はない。あってもごく短期だ。

 基本的に懲役刑のみだ。


 ただ牢屋ろうやにぶちこんでいても、税金を使うだけ。

 それならラヴェンナのために働いてもらう。

 それがルールとなっていた。

 そもそもただの禁錮刑は、周囲の納得が得られない。

 ラヴェンナ平定前からの慣習だな。

 罪人にタダ飯を食わせる余裕はどこにもなかったのだ。


 なかなかに由々しき事態だなぁ。

 本来は、早く懲役刑から解放されたい。

 二度と戻りたくない、と思わせるはずが……。


「懲役に慣れてしまったのですか。

これでは抑止が抑止になりませんねぇ」


 珍しく真面目に話を聞いていたシルヴァーナが、頭をかく。


「食えない連中は、裏社会か冒険者が受け皿だけどね。

ここだとその受け皿がないからね~。

追放もまずいんでしょ?」


 珍しく、シルヴァーナがマトモなことを言っている。

 冒険者として暮らしてきた経験から、その手の連中との付き合いもあったからか。


「それこそ追放は死刑だと思われますね。

それにその手のアウトローを追放したとして、他家はいい顔をしないでしょう。

ラヴェンナの内部で、片をつけることが求められますね。

ここでふたつの方向から、アプローチを考えましょう」


 シルヴァーナが首を傾げる。


「ふたつって?」


「まずは、犯罪者の更生。

そして累犯を、どうするかです。

どちらか片方では、中途半端に終わりますからね」


 シルヴァーナが白い目で、俺をにらむ。


「更正って気楽にいうけど、すっごく大変よ。

ダメなやつは、冒険者になってもダメなままなんだから。

そんな連中って……。

冒険者は縛りが緩いから、ギリギリ引っかからないだけなんだからね」


 別に気楽に言ったつもりはないのだが……。

 どうやら過去に、トラブルに巻き込まれた経験がありそうだな。

 もしくは更正させようとして裏切られたかだ。


「気楽ではありませんよ。

ただ更正させることが出来れば、ふたり以上を救うことになる、と思っているだけです。

それならやる価値はあるかと思いますよ」


「他所だと、微罪でも死刑なんて、結構あるわよ。

それにしても……ふたり以上?

前にもまして、わけのわからないこと言いだすようになったわね。

夜の生活で搾り取られすぎて頭が……って!」


 シルヴァーナは咄嗟に、テーブルの下に身を隠す。

 同時にタンと小気味よい音が部屋に響く。

 テーブルにナイフが突き刺さっていた。

 こんなことをするのは……。

 キアラしかいないよな。

 ついに実物を投げはじめたぞ。


「シルヴァーナさん。

閣議の場で、下品な発言は控えてくださらない?

次は手元が狂うかもしれませんわよ」


「ナイフを投げてから言わないでよ!」


 シルヴァーナは文句を言ったあと、涼しい顔で椅子に座りなおす。

 ナイフを投げるキアラはどうかと思うが、涼しい顔のシルヴァーナもどうかと思う。

 テーブルに刺さったナイフを引き鳴いて、わざわざキアラに返しているし……。


「ふたり以上とは簡単な話です。

まず犯罪者自身です。

そして将来被害に遭う犠牲者がいなくなりますよ。

犯罪者を軽々しく殺しては、マイナスでしかありません。

なにせ我々は市民の命を奪うことが出来る武器をもっているのです。

その武器は、使わないに越したことはないのですから」


 マガリ性悪婆は、あきれたように笑った。

 キアラとシルヴァーナのやりとりではなく、俺に対してあきれたのだろう。


「なんとも手間のかかる道を選ぶんだねぇ。

再犯の原因が貧困層なら、仕事で飯を食えるようにしてやることだね。

あとは受け入れ先さ。

普通の市民を雇うのとは、わけが違うんだ。

呼びかけだけじゃムリだよ。

色をつけてケツ持ちまでしないとね」


 実に現実的な意見で助かるよ。

 たまに自分が、理想論に走りすぎていないか不安になるからな。


「そのとおりですね。

なんらかのメリットを提示しないといけません。

それは法務省でとりまとめてください。

あとは累犯の処置ですね。

どうしたものか」


 オリヴァーは腕組みをしつつ、遠い目をしている。


「3度も同じ過ちを繰り返す者は、何度も繰り返すと思っていいのではありませんか?

私の経験上、2度目で踏み止まれば、見込みはあります」


 故賢者サマは、2度目で踏み止まれないタイプだったらしいな。

 オリヴァーの言葉に疲労感がにじんでいる。

 なんにせよ、方針を出してくれたのだ。

 有り難く使わせてもらおう。


「3度やったら……。

終身刑ですかね。

そのあたりも法務省でとりまとめてください」


 真顔で考え込んでいたジラルドが、少し身を乗り出した。


「更正ですが……。

冒険者として生きさせる手もありますよ。

それは選ばせてもいいのではありませんか?

もともと冒険者は、そのような人たちの受け皿の側面もありますから」


 色々な立場から意見を出してくれるのは、本当に助かるよ。

 あとは決まってから、再度確認すればいいだろう。


「では冒険者担当省と法務省が連携して、そのあたりも策定してください」


 戦争中だが、こうやって足元もみないといけない。

 さっさと問題を片付けて、内政だけに専念したいよ。

 これから、もっと手直しが必要な問題はでてくるんだから。


 ただ先例を守ればいいわけではない。

 必要に応じて、時代に合った形に変えていく判断を迫られるからだ。

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