第81話 閑話 シルヴァーナ相談室

 アタシ、使徒さまの恋人狙いのシルヴァーナ。


 今、アタシは、非常に不満だ。

 アルのところで仕事はもらえたけど、地味な土木工事に魔法を使っている。

 そんなの、聞いたことないわよ。

 魔法よ? 何で土をふっとばしたり、岩を壊すのに使うのよ!!


 でも、食べるためには仕方ない。

 そんな中、戦闘があったらしい。

 でもアタシは土木作業中……駆けつけたら、終わっていた。


 この鬱憤を、祝勝会にぶつけることにした。

 飲みまくってやるわ。


                  ◆◇◆◇◆


 祝勝会は3日かけての大騒ぎになっていた。

 3日目に、やっと手があいたミルと話すことができた。

 何だか落ち込んでいるのが、気になったのだ。


 アタシの勘がささやいている。

 何かあったなと。

 親友のために一肌脱ごう。

 ええ、決して面白そうだからとかそんなのではない。


「ミルどうしたの落ち込んで」


「えっそんなふうに見えた? ちょっと疲れただけかも」


 噓ね。

 恋の狩人シルヴァーナさまの目はごまかせない。


「どうせアル絡みでしょ。

ミルが悩むのってそれくらいでしょ」


 観念したのか、下を向いてからポツポツと話し出した。


 アルが今回の戦いの戦死者が出たことで落ち込んでいる。

 出ることが分かっても、戦いに持ち込んだことで自分を責めている。

 慰めようしてもなんて言っていいのか分からないと。


 なんてまどろっこしい。

 アルの影響で理屈っぽくなったのか。


「慰めたいのでしょ? 簡単じゃん」


 ミルが仰天した。 

 変に悩みすぎよ。


「えええっ」


「言葉で慰めなくても、体で慰めればいいでしょ! 何のためにベッドが一緒なのよ!」


「ちょ、ちょっと。

それに私からなんて……。

いつもアルからだったし……」


「甘い! 甘い! 余計なこと考えられないくらい搾り取ってやりなよ!」


 つい自分自身で話してヒートアップして叫んだ。

 イイ女は急には止まれない。


「女は度胸! 押して押して押しまくるのよ!」


 経験ないけどさ……理屈をつけてウジウジしていても、腹は減る。

 眠たくなる。

 そしてアレもしたくなる。


 ミルが面白いくらい真っ赤になっている。

 んー可愛いわぁ。


 アルもけっこう、お目が高い。

 こんな可愛い彼女を困らせるなんて、アイツにも困ったものね。

 一気にまくしたてる。

 ボルテージは最高潮。


「そしたらスッキリして、前に進めるわよ!」


 思わず、腕を突き上げる。


「子供つくるくらいの勢いで搾り取りなさい! 押し倒してもいい! おねだりしてもいい! やることやってしまいなよ!」


 ミルは顔を真っ赤にしたまま俯いている。


「い、いや……その……みんな聞いている……わよ」


 しまった。

 ヒートアップしすぎて声が大きくなりすぎた……。

 気が付くと、皆が聞き耳を立てていた。


 ああ、可憐な魔法使い……そんなアタシのイメージが崩れていく。

 最悪なことにあきれ果てた表情の童貞と目が合った。


「お前……机の上にのって、大声で演説する内容か?」


 一生の不覚……童貞に突っ込まれるなんて。




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