企業と消費者と作家さん、小説界の危機

 先ほどはなろう系について書きましたが、今度は「なろう系が流行している理由」を考え、それが生み出す危険性について言及していきます。



 まず、インターネット小説と紙媒体のライトノベル(以降商業誌)との差を考えていきましょう。


 インターネット小説は誰でも投稿することができ、(一部を除き)消費者が無料で読むことができるサイトによって成り立っています。一方、商業誌は作家さんが企業を通して編集、宣伝を行った上で、消費者がお金を払ってサービスの提供を受けるという差がありますよね。筆者がその差を考えたとき、編集やイラスト、宣伝に関しても当然差がありますがそこはひとまず置いておいて、一番の差は、「お金」だと思うんですよね。

 「お金」で物事を見たときに、一番わかりやすい「差」は、やはり、年齢だと思うんです。皆さんは中学生の時、いくらくらい「お小遣い」をもらっていましたか?筆者は1000円だったんですが、まぁ良くても3000円といったところでしょうか。筆者は毎月お小遣いをためて、全部ラノベに費やしていた根っからのラノベオタクだったのですが、普通の人は友達と遊んだり、ほかの趣味があったり、とほかでお金を使うことも多かったのではないでしょうか。それを「ひと月3000円でやりくりしろ」なんて言われたら、一冊600円700円するラノベなんて高級で買い難い。でもインターネットを使って無料で読めるライトノベルがあったら、その600円700円を浮かせられるんですよ。しかも、もっとたくさん読めますしね。

 では大人になったらどうでしょうか。働いて、給料が入れば、可処分所得は三万円ほどはあるのではないでしょうか。そうしたら、ひと月のラノベにかかる相対的なお金は大人の方が少ないわけです。そうしたら、クオリティの高い商業誌を買いますよね? 

 ここから見えることは「ネット小説を読む年齢層は中学生が最も多い」という事。

 それを踏まえたうえで次の話題に参ります。



 戦闘系の作品において、主人公って、かっこいい方がいいですよね?かっこ悪い主人公って見ていても面白くないじゃないですか。

 では、「かっこいい」から考えていきます。こんな言葉があるのをご存知ですか?


 「小学校では足の速いやつがモテる。中学校では強いやつがモテる。高校以降は頭のいい奴がモテる。」


 実際その通りですよね。いろいろと経験している人は多いと思います。

 では中学校を見てみましょうか。「オレ、喧嘩強いんで卍」「キャー、カッコイイ!」 まあこんなところでしょうか。

 僕たちオタクって、喧嘩弱いじゃないですか。ぶっちゃけカースト最下位だったじゃないですか。だって喧嘩って痛いだけで生産性無いじゃないですか。

 でも女の子にモテたいですよね。そんなあなたに「消費系」。オタクが異世界行ったら最強でモテモテ!。もうそれだけで完成してるんですよね。「消費系」って。そこにヒューマンドラマなんて求めてないし、ただ可愛い女の子にモテる作品ってだけで日頃のうっ憤を晴らせるんですよ。

 では前述しました、「ネット小説を読む年齢層」の「需要」を考えていきましょう。その人たちは奥ゆかしく、甘く切ない恋物語が読みたいのでしょうか。考察に考察を重ねて読む作品が読みたいでしょうか。否、「俺最強!超モテモテ!」が読みたいのです。

 PVが少なく嘆いているそこのあなた。安心してください。あなたの作品が悪いんじゃない。あなたの作品を読みたい人が、稿だけです。


 では、企業さんの視点から見てみましょう。近年、ネット小説を評価の高いものから順に商業誌化していく動きがあります。アマチュアからプロになれるシステムとして非常にものであると思いますが、筆者はこのシステムが嫌いです。なぜなら、からです。先を見据えることが商業であるにもかかわらず、なぜそれができないのか、はなはだ疑問ではありますが、啓発の意味も込めて書いていきます。


 ネット小説の危機については簡単に。「消費系」にしか未来がないものにほかの作品の作者が入ってこられますかという話で、ネット小説=消費系、子供しか見ない物、となってしまったら、企業さんがそのサイトに広告を出すでしょうか?出さないですよね。結果として「投稿サイトの運営ができなくなる」という最悪の結末が待っているかもしれません。

 商業誌文化の危機も考えていきます。まず、ネット小説から「消費系」作品を商業誌化した際、それが大ヒットして10年間も続き、語り続けられる作品になりうる可能性はどれくらいあるでしょうか?ほぼ無いと思います。「今大ヒットしてるじゃん!」という人には一番わかりやすい例を出します。「あなたは今でもNHK番組「おかあさんといっしょ」やアニメ「アンパンマン」を毎日欠かさず見ていますか?」そういう事です。

 では、それの何がいけないのか。「消費系」の出版であっても一冊というのは変わりません。年間に企業が本を作れる量(以降リソース)は限られています。当然ですよね、印刷所の量も企業のお金も無限ではないのですから。では、企業でやってる○○文庫大賞なる、公募の賞を見てみます。そこには必ず、「拾い上げ」なるシステムが存在し、賞は取れなかったが、将来性のある作家さんを編集の方が見つけて、商業作家としてデビューさせる制度があります。今、ライトノベルの売り上げ日本一を誇る「とある魔術の禁書目録」などが代表作の鎌池和馬先生もこのシステムで商業作家になっています。では、「消費系」作品が出版されるとどうなるでしょうか。そう、リソースは限られてますので「拾い上げ」でデビューできる人が、必然的に少なくなってしまうんですよね。磨けばダイヤのごとく輝く作家さんが埋もれてしまう上にそれが少なくなってしまうと、かもしれません。宝をドブに捨ててるんですよ。

 ですが、企業さんの考えていることもわかります。小さな成功を重ねていく方がローリスクローリターンですが、堅実的にビジネスができるんです。数字の上で考えるならば一度成功しているものの方が手を出しやすいのは当然です。まあ、上述していますとおり、いつ崩れるかわからないつり橋のような気もしなくはないですが。


 つまり、何が言いたいかといいますと、ラノベ文化を発展させるためには新たな起爆剤が必要なんです。ハイリスクなものには企業は手が出せないですからね。筆者はその起爆剤を作るためにこの評論を書きました。

 筆者、実は夢がありまして、大量のネット小説の中に埋もれるダイヤの原石を掘り出して、最高の作品を多数輩出できる出版社を作りたいんです。でも、それをするためには、知名度、作品の面白さを知っている消費者、信用のある人間であることが必要です。そのため、信用と知名度のある小説家になろうと思い自分の技術を向上させるために、インターネットに小説を投稿してぼろくそに叩いてもらおうと小説を投稿しておりました。そして、胸を張って小説家を名乗れるくらいの人間になったら行動しようと思っておりました。しかし、思いのほか皆さんが優しすぎるのでこのような方法をとり、自分の目的を語らせていただきました。


 また、多くの小説家の方と繋がろうとしていたことには別の目的があります。それは、一緒に行動を起こせる仲間を探す事です。私は大学で経営学を学び、起業し運営する技術は持っていても、サイトを作ったり、小説を編集したりする技術は持っていません。そのため、同じ志を持つ人を見つけたいとおもっておりました。もし、興味がおありでしたら、私のことをチラチラ気にしていただけると助かります。


 結びになりますが、私は、自分の小説がボロクソに叩かれることで傷ついたりはしません。小説のダメな部分をツイッターのDMやリプ欄などでご教授いただけたら幸いです。無銘竹光育成プロジェクト、よろしくお願いします。 無銘竹光



P.S. もし「今」ネット小説で売れたいのであれば、「それっぽいタイトル」を書いて「それっぽいあらすじ」を書いて、言葉遊び的に読者の予想を裏切り、それを面白いと思ってくれた人についてきてもらうのが良いと思います。しかし、私としては小説家個人のやりたいことをやるのがいいと思ってます。それが「クリエイト」の本質だと思いますので。見ている人は必ずいます。めげずに頑張ってください!


あと、この文は起業の道から逃げないようにする為の烙印でもあります。筆者がしれっと逃げないように監視してて下さい。

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ネット小説となろう系の問題について。 無銘 竹光 @Mumei-Takemitu

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