喧伝一席 《吟遊詩刃》
2010年2月5日 レビュアー 吟遊詩刃
ああ、右の有象に左の無象。西のパリピに東のインキャ。士農工商犬プログラマー。旦那様御新造。年寄り若手に赤子まで。サァサァお立ち合い。寄ってらっしゃい見てらっしゃい。何も買ってくれとは言いませぬ。手前が売るのは安い口上これひとつ。話の種よ、おひねり駄賃もせがみません。お待たせしましたご無沙汰だぁ。沙汰無し続きの三千昼夜。待てど暮らせど、ゴドーもミロクも来やしねえ。
チャカポコ、チャカポコ、スチャラカ、タッタ!
そこへ、まかり出ましたわたくし空手無銭の貧乏道化。押し抱いたる夢枯れて、今は流れの旅芸人。今宵お披露目しますのは、眞淵祭文先生珠玉の一大傑作。その名を『フーリダヤム』と申します。当方、これを語るにゃちょいと荷が勝ちすぎる、しかして抑えきれないこの気持ち、お耳汚しとは存じましょうが、どうかどうか聴いてくださいませ。
チャカポコ、チャカポコ、スチャラカ、タッタ!
そもそもの出逢いと申しますと、手前日頃の憂さを散ずべく、ネットなんぞで弁慶気取りの論客気取り、ばっさばっさと世情を切っておりましたらば、先生の名作のタイトルがぁ、ひょっと飛び込んできたのが運のツキ。チラリ覗いてみればさあ大変。コロリ一発KOと来たもんだ。弁慶気取りも引っ込んで、ただの道化に成り果てた。勇猛果敢な筆さばき、不退転のキータッチより、生み落とされたる言霊は、まるで花よ、もしくは蝶よ。惚れた腫れたにゃ縁遠い不惑の春に、咲かせてみせます花一輪。いえいえ、いっそ見事に散らば本望。
チャカポコ、チャカポコ、スチャラカ、タッタ!
以来、先生にゃ頭が上がらぬ。床で足も向けられぬ。惚れたこちらの弱みとえいど、棒追う犬にゃ辛さもわからぬが道理と、山へ谷へと駆けてゆく。先生描くところの一大叙事詩。二つの都市はソドムかゴモラか。それに立ち向かうは可憐な少女、悪鬼羅刹を蹴散らして、目指すは銀幕のふぁむ・ふぁたる。ファスダ嬢の手に汗握る奮闘よ。ピンチとチャンスのポリリズム。
チャカポコ、チャカポコ、スチャラカ、タッタ!
どうぞどうぞと押しつけがましくはなりますけれど、これを読まなきゃ一生の損。人生五十年須臾の時とは申しましょうが、読まねば日も暮れなけりゃ夜も明けぬ。インチキ道化に騙されたと、ひとつお手にとってくださいな。きっと後悔させませぬ。開け見えるは、総天然色の絵巻物。どうぞご堪能くださいませ。
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