穏やかな光満つ(一)
卯三刻(午前六時)頃。
四歳の宗寿丸を始めとする弟妹たちは、それぞれの
私は広間の入り口でご挨拶申し上げ、母上の隣へ移動して腰をおろした。
三十三歳の父上は、上座で堂々としていらっしゃる。家長としての威厳は充分だが、私たちをご覧になる目は優しい。
母上と私の向かいには、義母上方と異母兄上方が序列に従い座っていらっしゃる。
末席の、常盤の義母上は……
「常盤は、本日も
父上から伝えられると、広間がざわめいた。
義平異母兄上と三浦の義母上は、
「初産の時は発症しなかったと耳にしたが」
「ええ。此度は半年を過ぎてから、障りが見られるようになりましたね。線の細い常盤の方は、さぞ心細く思われていることでしょう」
「薬師殿に任せておくしかないのだな」
「はがゆいことですが。そなたもその体躯を無駄にすることなく、できることをしてさし上げなさい」
「母上。無駄とはひどくないか」
「無駄にしなければ良いのです」
このように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます