死因不明
ヒガシカド
死因不明
「あいつが死んだ!」
夜中、私の友人が慌てた声で電話をかけてきた。いきなり電話口で叫ばれたため全く事態を把握できなかったが、冷静になるよう促し事情を聞くと、どうやら私達の共通の友人が急死したらしい。
私は早速パニックになっている電話相手のもとへ駆けつけた。車を走らせること十数分、友人は自宅の外で私を迎えた。
「死因は不明、らしい」
私は彼を車に乗せ、友人の発見された場所へと急いだ。
「上り坂だが近道だ、右へ曲がってくれ」
「軽じゃなくて良かった」
彼はもう随分と落ち着いて、友人の死について詳細を話してくれた。
「奇妙なんだ。首には締められた痕があったそうだが、発見されたのは事故車の中。腕には注射痕があって、近くに劇薬のビンが転がっていた。腹部には無数の刺し傷があり、遺体は海水で濡れていた…聞いた話だと以上。いやもっとあったかもしれないが忘れたよ」
「他殺?自殺?」
「他殺だろう。ただ、危害の加えられた時間がそれぞれ全く違うって話だ。意味が分からない」
車は丘の頂上に差し掛かっていた。
「ここを越えれば現場だな」
「なあ、どういうことなんだ?あいつは恨まれていたのか?死因は何なんだ?」
「私に聞くのか?」
「何より真実を知りたいよ。今のままじゃあいつも報われない」
「なら教えてやるよ」
私は左に急カーブを切り、ガードレールを破った。
死因不明 ヒガシカド @nskadomsk
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