ダイエット。

私は誰にも見せられないと思っていた怒り狂った昔の姿を彦さんに晒した…















その事で少し楽になったのは確かだった。














受け入れてくれたのかと言えばそうではないと思うけれど、それでも終わることなく続く結婚生活に安心したのも確かだった。














彦さんはと言うとおかしな事はあったけれど

彼女が私の前に姿を表すこともなくなり、メールも着信もなくなり平和だった。














そんな日々が1ヵ月程続いたある日

普段ならリビングで服を着替える彦さんが何故か脱衣所で着替えていたのが気になった。














おかしいな、と思いながらもその日は就寝。














次の日の朝、私はキッチンで珈琲を準備していると普段通り上半身肌かで彦さんが私の前を通った。














『あ、昨日は肌かを見られないようにしてたのに…

私の思い違いだったのかな?』














そう思って彦さんに声をかけた。














私「おはよう。」














彦さんは驚いたかのようにビクンとして

不自然に身体を私に向け「おはよう」とだけ言い

私に背を向ける事なく立ち去った。














『やっぱり変…』














私は足音を消して彦さんを追いかけた。














彦さんは丁度、タンスから肌着を出すところだった














昨日、今日と私に見せなかった彦さんの背中をみるとクッキリと綺麗についた爪痕があった。














私「ねぇ?その背中どうしたの?」














思わず聞かずにはいられなかった…














彦「え?何かある???」














彦さんは知らないフリを決め込んでた














私「うん。背中に爪痕…」














彦「うそ?!どこ?どこ?」














そう言って自分の背中を見ようとする彦さんの姿に私は思わず笑ってしまった














私「ここ!(笑) これだけついてると昨日お風呂のときに痛かったと思うけど…気付かなかったの?」






彦「全然(笑)」






私「うそだよ~(笑)絶対に痛かったはずだって」







彦「本当に…全然(笑) 自分で掻いたのかな?」






私「それは無理な言い訳だよ(笑)

だって、両方とも5本指がしっかり解るくらいの後だよ?(笑) それにここには届かないって(笑)」





彦「でも、自分でしたとしか…」





私「え?まだ自分でとか言うか(笑)

ここが親指でここが小指だよ?ほら!手を出して!

絶対に届かないから!(笑)」





彦「もういい…」






私「あ、そ。」






彦「……」





私「ねぇ?こんなことをしたりさ

私の目の前に現れたりさ、ワケわかんないこと言ってきたりさ…私にこんな挑戦状ばかりやる女は程度が低いって気付かない?

私との生活を壊したいのなら続けてればいいよ。

私にはない魅力が彼女にはあるんだろうから…

でもさ、嫁の立場から言わせてもらうと見た目も性格も女らしさも負けた!って思えるくらいの女性と

どうせなら遊んでよ…

彼女とは遊びじゃないのなら教えて。

私は身を引く覚悟をしなくちゃいけないから。」














彦さんは私の話を背を向けたまま聞いてた。














私「よし!言いたいこと言えたしスッキリしたからもう言わない。後は任せるよ(笑)」














私はそう言いながらキッチンへと戻ってお弁当を作り何事もなかったかのように彦さんを見送った。














本当に晴々しい気分でスッキリした私は

もしかしたら来るかも知れない第2の人生を考えてダイエットをすることを誓った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

続 私は私。 もえ。 @tomo8677

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る