黒塗りの装甲車


 樹海の中に溶け込む兵士たち


 ハイテク装備が敵のハイテク装備など何らかの理由で機能不全に陥る可能性を考慮した内容の訓練が実施されていた。方位磁針と紙の地図を頼りに位置を整理していく。教官曰く、時間は多少ロスするものの本当は方位磁針も不要とのこと。




 元特殊部隊員となったその退役軍人は、後に武道武術を嗜んでいたが習得を目指す流派を調べる内に主にインターネット上である論争を目にした。


曰く、武術は武道の様に二度目が無い、その一度の全てを生き抜く意志である。

曰く、武道は武術の様に一度目で終わらない、永遠に向上し続ける意志である。



 その退役軍人は思った。武道と武術は磁針の様なものだ。方向性が違うだけで、どちらも素晴らしく険しい。もっと言えば、共に互いの要素を兼ね備えている。


 ふとパソコンから目を離せば亡き戦友たちと目が合う。写真から時を遡る。訓練と任務に人生を費やす特殊部隊員戦友たちは、まさに武人であった。

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