禍いだ、禍いだ。

ネコ エレクトゥス

第1話

 第一の天使がラッパを吹いた。すると大きな地震が起こり、家々が倒れ人を押しつぶした。

「禍いだ、禍いだ。地上に住む者たちにとっては。」

 第二の天使がラッパを吹いた。すると猛烈な暑さが大地を襲い、火が木々を焼き尽くした。

「禍いだ、禍いだ。地上に住む者たちにとっては。」

 第三の天使がラッパを吹いた。すると大雨が地に注ぎ、水が多くを飲み込んだ。

「禍いだ、禍いだ。地上に住む者たちにとっては。」

 第四の天使がラッパを吹いた。するとバッタの大群が地を埋め尽くし、植物をみな食い尽くした。

「禍いだ、禍いだ。地上に住む者たちにとっては。」

 第五の天使がラッパを吹いた。すると疫病をもたらす風が吹き、次々と人が倒れていった。

「禍いだ、禍いだ。地上に住む者たちにとっては。」

 第六の天使がラッパを吹いた。するとアンチ・クライストが現れ、人々は彼を神として崇めるようになった。

「禍いだ、禍いだ。地上に住む者たちにとっては。」

 第七の天使がラッパを吹いた。するとついに戦争が始まった。

「禍いだ、禍いだ。地上に住む者たちにとっては。」


 財布の中の金がなぜかない。いつ使ってしまったのか。いや、最初からなかったのだ。

「禍いだ、禍いだ。」

 給料が激減した人がもらえるという交付金ももらえる当てがない。激減するほどもらってないからだ。

「禍いだ、禍いだ。」

 暇な時間が増えたんで酒やたばこの量が増えた。これも交付の対象にはならないのか。

「禍いだ、禍いだ。」

 外に出るなとのことなのでカップラーメンやインスタントラーメンを食べることが多くなる。

「禍いだ、禍いだ。」

 野菜不足を補うべく保存のきく漬物を買ってくる。カブの漬物が結構うまい。2個で150円。

「禍いだ、禍いだ。」

 安いだけが売りの僕のアパート。人が住んでなくて何でもやり放題だったのが突然人気物件になってしまった。

「禍いだ、禍いだ。」

 隣に引っ越してきた女の子がGuns And Rosesを聴いている。ロック魂!

「禍いだ、禍いだ。」

 昔見た本や映画を見直す。ジャンヌ・モローはいい女だ。

「禍いだ、禍いだ。」

 ベランダの薔薇がだいぶ葉っぱを付けてきた。もう1か月もすれば花が咲くだろう。

「禍いだ、禍いだ。」

 近所で猫が日向ぼっこ。僕も睡眠時間が増えた。

「禍いだ、禍いだ。」

 日々是好日。


 なお『ヨハネの黙示録』は原文通りではありません。

 

 

 


 

 

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禍いだ、禍いだ。 ネコ エレクトゥス @katsumikun

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