第4話 幼馴染の最初のお願い ②


 いつもは目覚めない小鳥がさえずる朝早い時間に目が覚めた冬馬とうまは肌寒さを感じながらも昨日のことを思い出していた。

 今までお世話になった人たちとの最後の食事「またいつでもおいで」と優しく言ってくれた桜峰おうほう夫妻は終始気遣ってくれて、本当の家族のように接してくれて嬉しかった。

 桜峰夫妻のことだこれで冗談だったと言いいつも通り晩御飯を食べに行ってもまた明るく喜んでくれるだろう…だがこれ以上迷惑かけたくなかった。最初は本当にそれだけだった。だが莉々に好きな人がいると聞いてから芽生えたよくわからない感情がより一層もう行かない方が良いという気持ちにさせられた。


 暗い気分でいても駄目だと思い、早く起きた理由を思い出す。

 昨日、莉々りりの親父さんに自炊するといった手前いきなりサボるのはどうかと思った冬馬は朝食を作るためにリビングに向かう。するとリビングの方から調理する音が聞こえてきた。


(あれ?母さんが作ってるのか?起きてるだけでも珍しいのに)


 そう思いながらリビングの扉を開け声をかけた。


『おはよ。母さんが朝食作るなんて珍し……え?』


『とーまおはよ!もうすぐ朝食できるから待っててね!あと私はとーまのお母さんじゃないないよ?もしかしてお母さんになってほしいの?』


 そう言いながらクスクスからかうように笑う莉々に、未だにどういうことだとパニくる冬馬、とりあえず状況を整理しよう。


 家庭的な幼馴染 エプロン姿 可愛い


 そんな幼馴染の姿にいつになく朝からドキドキしている冬馬は気づいてしまった。

 自分がいつの間にか莉々に惚れてしまっていることに、そして気づきたくなかったと同時に思ってしまった。


 (莉々の好きな人がいるってわかってから好きになるなんてほんと自分は間が悪いな)


 そう心の中で悪態つくことによって冷静になり、若干冷たい口調で莉々に問いかける。


『なんで莉々がいるんだよ。しかも朝食作ってるし誰もこんなこと頼んでないだろ』


『なんでって私がとーまの朝昼晩の三食作るからだよ?それに瞳さんには了承済だからこれが証拠』


 そう言いながら合い鍵を見せてくる莉々。ご丁寧に母さんが気に入っている赤い瞳の兎のストラップまでついている。まぎれもない証拠だろう


『仮に了承を得てるとしても昨日、俺との交換条件受け入れただろいきなり反故にするのかよ?』


『反故にはしてないよ?』


『いや現にこうして作りに来てるだろ』


『昨日とーまはこういったよね。って、それに対して私はとーまに確認とったよね?が最後って、それにとーまが言ってた内容すべてクリアしてるよ!』


 昨日言っていた内容を冬馬は思い出しながら問おうとしたら声を重ねられ先手を打たれた。


『『食』費は瞳さんから預かってるよ。ほかにも気を使う相手もいないし、誰にも迷惑かからないよ』


『莉々に面倒かけてるだろ』


『迷惑だとも面倒だとも思ってないよ。それに忘れた?花嫁修業の件』


 冬馬は思い出したくもないことを思い出してしまった。まるで苦虫を潰したかのようなそんな顔をしているのである。

 そんな冬馬の気持ちも気付きもせず、痛いところを突かれた顔だと勘違いしている冬馬に対し会話を続ける莉々


『ってことでこれからも私の料理をよろしくね!』


 いずれ莉々は好きな人に告白し、自分のもとを離れ幸せになるだろう。

 莉々は自分の知っている限り一番可愛い女の子だ。

 莉々が告白しフラれる姿なんて想像できない。その時がいつ来るかわからずもやもやしつらい思いをする未来に暗い感情が湧き出るがそれでも莉々のそばにいたいそんな思いから『勝手にしてくれ…』とため息をつきながら諦める冬馬であった。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★


『昨日弁当食べたときにも思ったが莉々って料理の腕相当上がったよな。昨日言いそびれたがかなり美味しかったぞ』


『本当に?嬉しい!ありがととーま!瞳さんのところに行ってこれからのこと話してて感想聞くの忘れてたよ!』


『やっぱそうか昨日は聞いてこないから不思議に思ったんだよ。母さんの職場まで行ってたんだな何かされなかったか?』


『着せ替え人形にされたけど楽しかったよ!』


『あー想像できた…ごめんな母さんが迷惑かけたみたいで』


俺の母さんは衣類・服飾用雑貨を扱う店でファッションアドバイザーという名の自分好みの女の子を作り上げる仕事をしていてるのでファッションにうるさい。俺にはもちろん、莉々のような可愛い女の子には目を輝かせてとびつく、その姿はまるでハイエナのようで職場仲間からは肉食兎の称号を欲しいままにしている。


『自分に合った新しい服装を見つけることができて楽しかったし、服ももらっちゃったから迷惑じゃないよ!今度とーまにも見せてあげる!』


『それならいいんだが…母さんの可愛いもの好きどうにかしないとな…』


自分の母親に頭を悩ませてると、顔を赤くした莉々がぷるぷる震えている。


『どうした莉々大丈夫か?顔真っ赤だぞ熱でもあるんじゃないか!?』


『違うから熱なんてないから!』


『本当か?ちょっと触るぞ』


そう言いおでこに手を当て熱を測る冬馬に、莉々はほっといたら煙でも吹くのではないかというほど真っ赤になり、莉々の脳内はすでにオーバーヒートしていて何も言えなくなってしまっていた。


そして冬馬やっぱ喋れなくなるほどつらいんじゃねーかと言いながら莉々をお姫様抱っこをしてとどめを刺すのであった。


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あとがき的なのってこんな感じでいいのかな?

物書き初心者で文章下手なのに読んでいただきありがとうございます!


料理を作りに来るきっかけや最初のお願いを書きたかったんです!

それと幼馴染のエプロン姿ってすごく心に来るものがありますよね…


多分次高校の話に戻ります

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最高の幼馴染! @Midday

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