第6話 管理局
「でもね、悲しみで流された涙が全世界からそこに集まってきてるってことだけは、なんとなく分かった。なんとなくね。
「そうやって
「いや、いろいろとあくどい手口を使ってね。ここでは言えないけれど、身の毛のよだつものや、思わず目をそらしたくなるものが数多くあるんだ」
そう言ってウェイターは片手を口のそばへ持ってくるとひそひそ話をするように、声を低めた。
「管理局はね、
「だから大抵のことは見て見ぬふりをしていた。予算編成の時期になると特にひどかったな。
「でもね、やめたくてもやめられないやつもいたんだ。家庭を持って家族を養っていてね、子供を学校へ行かせたり、塾へ通わせたりして、親の面倒や介護をしているやつもいた」
そこまで言うとウェイターはため息をついた。彼の目にはどこか遠くを眺めている風情があった。
「私、決めたわ」
お嬢さんが言った。
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