第14話 かんせつえん

 ねえ、ポストさん。あなたももっとしっかり話してくれなくっちゃ。だから私たちつい脱線してしまうのよ。悪いのは、とーぜん、あなたよ


 ぼ、ぼくですか? すいません。こういう性格なものなので、ご不便をおかけします


 いや、いいんだけど。やっぱり、こういう場合、私がしっかりしなくちゃいけないのね。分かっていたけど。やっぱりね。さあ、とっとと続きを話しなさいよ


 そうよ。あたしたち急いでいるんだから、早く話しなさい


 ちょとお、あんまりマネしないでくれる?


 あ、ごめん。でも、あなたも悪いのよ。いつもあたしのこと、とろい、とろいって言うもんだから、つい気がせいちゃって、あなたの言ったこと繰り返したくなっちゃうのよね。そうよ、あなたのせいよ


 こほん、あの、お話しがちっとも前へ進まなくって、同じところをぐるぐる回っているような気のするのは、僕だけなんでしょうか?


 気のせいよ


 そうよ、そんなの気のせいに決まっているじゃない


 は、はあ


 でも、ちょっとまって私たち、何の話をしていたんだっけ?


 あなたとあたしの性格診断


 そう、あなたと私の…… ちょっとお、あなたふざけてるの?


 あたし? あたしはいたってまじめよ。ふざけているとしたら、あなたの方じゃないの? ぜったい、そうよ。あなたってそういうタイプなんだから


 私にレッテルなんか貼らないでちょうだい


 いいから、いいから


 ぜーたい、よくない


 こほん、それでは話のつづきを


 まあ、いいでしょ


 そうよ。いいにきまっているわ


 あのね


 なに?


 あなたって、そんなに私のこと好きなの?


 あたしがなんだって?


 かんせつえんです。


 かんせつえん?


 あたしが?

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