第11話 あたし

 ねえ、あなた、それでいいの?

 

 うるさいわね。交替自己は黙っててよ。

 私いまとっても忙しいんだから、おまけにひどい頭痛も抱えてるのよ。


 それは分かるわよ。あなたはとってもよくやっているわよ。

 あたしなんかとてもまねできないくらいにね。


 でもね、ときどき思うんだけど、あなたって、すこしおっちょこちょいよね。

 いつも周りをよく見なかったり、早とちりしている。

 赤信号で横断歩道を渡ろうとするし、試験の問題だってよく読まずに答えるから、いつも先生にダメ出しもらってるでしょ。


 うるさいなあ。

 あなたとってもうるさいわよ。

 しずかにしていてよ。

 今はそれどころじゃないことぐらい、とろいあなたにだって分かるでしょ?

 ねっ、いい子にしてるのよ。


 なっ、なんですって?

 あたしのどこがとろいのよ?

 そりゃ、あたしだってゆっくり考えたくなる時くらいあるわよ。

 だからって、その言い方はひどいわ。

 あたしはただあなたにとっても素敵なアドバイスをしてあげようとしていただけなのに。


 そんなの、全然く・だ・ら・な・い・アドバイスよ。

 夕飯のふりかけにもなりゃしない。


 ひどい、その言い方あんまりだわ。


 あっ、あのう、僕のこと忘れていません?

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