第10話 苦痛
「ふあっ、はっ、はっ。教えてほしければ、言ってやろう」
「いいかね、これはトップ・シークレットだがな。お得意さんには、そう、ポストというものを身体の中にこっそりと仕込んであるのだ。特にお前さんのような上得意には高機能なものがしこまれておる」
「わしがこう、ちょこっと手を動かせば、ポストがそれに答えておまえさんの身体に悪さをするというわけだ。どうだい? もう少し味わってみるかい」
そう言うと男は別の動作を繰り返した。お嬢さんは苦痛に顔を歪めると両手を床についた。そして大きく肩で喘いだ。
いくら待っても救いの手がやってくる気配はなかった。
「やっ、やめて。お願いだから」
男は意地悪そうに顔を引きつらせると笑った。
「お嬢さんも、なかなか頑張るのう。普通はここらへんで気絶するところなんだが。どうして、どうして、まだまだ意識はあると見える。それじゃ、もうひとつ、やってみるか」
そう言うと、男はまた別の手つきを繰り返し始めた。
お嬢さんは、ぎゃっと叫ぶと、肩を震わせ頭を床に押し付けた。
苦痛がおぞましい
彼女はこう思った。
痛いわ。
苦しいわ。
もうやめてほしいわ。
なんであいつはやめないのかしら。
ひょっとしてマゾ? あるいは虐待フリーク?
こんなに可愛い女の子を痛めつけるなんて、きっとあいつは変態おやじなんだわ。
それにしてもああ痛い。一体いつまで我慢すればいいのかしら。
ちょっと待って。これって本当に痛いの? あなたの頭はずきずきしてるの?
何も考えられなくなるくらいひどい頭痛がしてるの?
でも今、私は考えている。とってもよく考えてようとしてる。
あいつはさっきポストがどうとかこうとか言っていたわ。ポストって郵便屋さんと仲良しのあれかしら?
いいや、きっと違う。
ポストは身体の中に入り込んだり、いたずらをしたりするってことがないんだもの。
じゃあ一体なんなの、あいつが言ってるポストって?
それにしても痛いわ。
もう我慢できない。
気絶しちゃおうかしら。
そしたらあのおやじ、やめてくれるかもしれないわね。
そうしよう。
そうしよう。
えっ、なあに?
ねえ、あなた、それでいいの?
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