第10話 『吸い込まれる』
夜が明ける。
もうすぐあの龍が
勢い良く天へ
ずっと英語だったガイドの男が、来た、と現地の言葉で言った。
私は思わずファインダーから顔を上げた。
耳を
まさに黒い龍だ。
熱帯雨林にぽっかり口を開けた巨大な洞窟の中へ、何百万匹ものコウモリたちが次々と吸い込まれていく。
どれほどの時が
ほら見ろ、とガイドは笑った。気を付けないと、自分の心まで吸い込まれると言ったぞ。
私はとうとう一度もシャッターを切れなかったのだ。
もちろんその場でリベンジを誓った。きっとまた訪ねよう。ここマレーシアの自然遺産、グヌン・ムル国立公園の大洞窟、ディアケイブを。
『月の文学館』投稿作品集21~30 夕辺歩 @ayumu_yube
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