少女の話
あたし、世界でいちばんになりたいの
そう言ったあの子は
街で出会った花屋の主人に
あのお花をください なんて言ってしまって
もらった花は一輪の
かたくるしく育った 毒のひなげし
あたし、街でいちばんになりたいの
そう言ったあの子は
ひげを生やした男に連れられ
きのうはあんなにおめかしをして
そのままホテルへ行ってしまった
今ごろ 街の娼婦だそうだ
わたし、あなたのいちばんになりたいの
そう言ったあの子は
まっくろな若い男と約束をした
そんな約束 信じたばっかりに
それを聞いた人妻が
逃げ出そうとした彼女をぶって
朝には街の片隅に
はだしのまま 打ち捨てられた
誰も助けなかった
誰も助けなかった
誰も助けなかった
彼女の身体からは ひなげしが生え
そのままひっそり 亡くなった
その地に育ったひなげしは
一本残らず 引き抜かれ
花屋の主人が売ってるそうだ
詩集『散華』 おり。 @user_hyfh2558
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