ニュータイプ論にさよなら

「ガンダム」シリーズにおける重要な概念として、ニュータイプというものがあります。

宇宙に適応して進化した新しい人類を指す概念で、ニュータイプたちはテレパシーや念力のような力を使います。

しかし、それは今やレトロフューチャー(つまり「昔の人が考えた未来」)の概念だと、自分は考えます。


人類が本格的に宇宙進出して、何万年もの時が経てば、生物としての自然な進化でニュータイプになれるかもしれません。

しかしそれよりは、テクノロジーとの融合による「進化」のほうが早いし速いと思います。

現実に、機械式の義肢や、脳とコンピューターとの接続などは実用化の段階に入りつつあります。また、そういうテクノロジーの進化の速さのほうが、生物としての自然な進化のそれを上回ります。

だから、本格的に宇宙進出する「人類」は、テクノロジーとの融合によって「進化」した(あるいはし続ける)「人間」だと思います。

彼らが世界の主役になる時、生物としての自然な進化でニュータイプになるという道は、ほぼ忘れ去られているでしょう。


「ガンダム」シリーズの第一作は、一九七九年に放送開始されました。

自分もSFの歴史に詳しいわけではありませんが、その頃はまだ、人体と機械との融合が本格的に想像されていなかった頃だと思います。

その頃の人たちが考えた未来を、もはや我々は過去のものとして懐かしむ以外にないでしょう。


今日は、日本SF史上でも重要な概念に対しての決別を告げました。

ニュータイプ化に代わる新しい「進化」の形が、人類の未来を豊かにすることを願っています。

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