すずめの戸締まりを見て思ったこといろいろ

先日、新海誠監督のアニメ映画「すずめの戸締まり」を見ました。

東日本大震災を経験した日本人への救済というテーマを明確に打ち出していて、なおかつテンポが良くエンタメとしても面白く見られた、素晴らしい映画でした。

同作を見て思ったいろいろなことをメモしたので、それを全部書きます。


・面白さの言語化

自分は映画を見たり漫画やラノベを読んだりしたら、感想をノートにまとめます。

また、レビューサイトでの評価も見ます。

その際、自分が言語化し損ねていた面白さを、他の人が言語化しているのを見ることもあり、少し悔しくなります。


・やっぱり物語に感動できる

「すずめの戸締まり」は、地震を引き起こす「ミミズ」が出てくる扉を閉じる旅を通して、東日本大震災で母親を失った少女・鈴芽(すずめ)が救済される姿を描いています。

それを見て自分も、救済される感じがしました。

去年自分は、「ゴジラ対ヘドラ」を見ても平気に感じるなど、物語に感動できなくなっているのではないか、と思っていました。

しかし、自分もまだ物語に感動できるということが分かりました。


・主人公だけ特別な体験をしてずるい

すずめは、震災の際に「常世」(つまりあの世)に迷い込んだ経験から物語のキーパーソンになったり、先に書いたように、扉を閉じる旅を通して救済されたりします。

震災で家族や故郷を失った人は他にも大勢いるのに、すずめだけそういう、特別な体験による救済を得られてずるい、と正直思いました。


・面白さを枠にはめて理解してないか?

自分は、映画などの面白さを分析する時、

・キャラクター

・ストーリー

・世界観

の、大きく三つに分けて感想を書いています。

その枠組みは、物語の面白さを総括しやすくて便利です。しかし、それを使って感想を書く際、

「キャラが立ってる」

「伏線回収が上手」

「重厚な世界観」

など、感想がテンプレート的になってしまうのではないか、と懸念しています。


・テン年代に戻れた

率直に言って、2020年代の最近流行っている作品は、小さくまとまって安心感があるように感じます。

一方、2010年代(テン年代)に流行った、例えば「進撃の巨人」のような作品は、残酷で不条理な世界や、そこで生きる命の儚さや尊さや強さを描いていて、スケールの大きさや緊張感があったように感じます。

「すずめの戸締まり」からは後者の要素が感じられて、同作は少しの間、自分をテン年代に引き戻してくれました。


以上、「すずめの戸締まり」を見て思ったこといろいろでした。

多彩な感想が持てる映画を作ってくださった新海誠監督に、感謝を捧げます。

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