やっぱり鬼滅の刃を浅いと感じる理由
最初に注意喚起しておくと、この記事では「鬼滅の刃」を全体的に批判します。
同作を好きなかたが読まれると、ご気分を悪くされる恐れがあるということを、最初にお断りしておきます。
自分は以前「鬼滅」について、アニメで部分的にしか見ていないながらも、
「予定調和的な安心感がありすぎて物足りない」
と書きました(https://kakuyomu.jp/works/1177354054895092612/episodes/16816700429007418616)。
その後、「鬼滅」の物語の全てを見られたら、もっと同作の全体を網羅する感想を書きたいと思っていました。
しかし、それだといつ書けるか分からないので、今書きます。
それで、今まで自分が見てきた範囲(ちなみに原作未読で、アニメ一期を二クール目の最初のほうで切って、今はアニメ二期を頭から今まで見続けています)での「鬼滅」への感想は残念ながら、
「全体的に底が浅い」
です。
具体的にそう感じるポイントは、
・回想やモノローグの多用という、キャラの掘り下げとして安直なやりかた(おまけに回想の内容さえさらっとしている)
・キャラクターたちの善悪を巡る葛藤の乏しさ(キャラ一人一人の内面においても、仲間内のキャラ同士においても)
・一対一や少人数同士の散発的な正面戦闘ばかりで、組織的な戦略・戦術が乏しいバトル展開
・伏線やどんでん返しがほとんどなくて、単調で行き当たりばったりなストーリー
・どこかで見たような設定を寄せ集めた、オリジナリティのない世界観
といったところです。
以上のポイントを箇条書きで済ませたのは、以下の核心的なポイントについてじっくり書くためです。
そのポイントとは、
・一貫したテーマが明示されていないこと
です。
自分が好きな少年漫画は、一貫したテーマを明示しています。
例えば「進撃の巨人」だったら、巨人に支配されている(と当初の主人公たちには思われていた)世界で、主人公・エレンが一貫して自由への欲求を語るので、「自由」をテーマとしていると分かります。
※ちなみに「進撃」は終盤だと人類同士の泥沼の争いになるのですが、それは、
「憎しみと争いの連鎖を止められない人類の業からの「自由」はどうしたら得られる?」
という問題提起であると、自分はひいき目に解釈しています。
例えば「暗殺教室」だったら、
・弱者が弱者なりに自分の強みを生かせる柔軟な勝ち筋を探る
・困難に対して「殺す」くらいの覚悟でぶつかる
・命を奪うことで知る命の大切さ
といった多彩なテーマを「暗殺」というキーワードで表しているので、「暗殺の心構え」をテーマとしていると分かります。
例えば「東京卍リベンジャーズ(東リベ)」だったら、ダメダメなフリーターの主人公・武道(タケミチ)が、過去に戻って人生をやり直すための戦いに身を投じます。
そしてタイトルにも「リベンジャーズ」というキーワードが入っているし、タケミチ自身も過去での戦いを「人生のリベンジ」と明言しているので、「人生のリベンジ」をテーマとしていると分かります。
一方で「鬼滅」は、
・家族愛
・命の尊さ
・勧善懲悪(またはその克服)
などのテーマを断片的に描いたり語ったりしているだけで、それらのテーマをまとめるキーワードも明示していません。つまり、物語に「芯」を通す一貫したテーマが見えないのです。
それが、自分が「鬼滅」を浅く感じる最大の理由です。
ここまで長々と感想を書いたのは、やっぱり「鬼滅」がある程度は面白くて、無視することができないからです。本当に箸にも棒にもかからない作品だったら、社会現象となるほどヒットしていません。
そこまで人気になる作品だから、やっぱり「鬼滅」の物語の全体を自分が見られたら、ここに書いた感想も覆るかもしれません。
いつか、その「答え合わせ」ができれば幸いです。
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