何か1つでも固定観念を破壊したい
昨日は「チェンソーマン」を4巻まで読みました。
そして、「少年漫画の主人公とはこうあるべき」という固定観念を破壊されました。
同作は、悪魔が日常的にはびこる世界で、死んだ親の借金返すために悪魔狩りの仕事しつつ極貧生活を送っていた少年が悪魔の力をその身に宿し、公安組織に拾われて悪魔と戦う……という話です。
その少年・デンジが、少年漫画の主人公としては異例なことに、
・おいしいもの食べたい・女が欲しいなどの素朴な欲は持っていても、社会的な正義感とか大きな夢とか持ってない
・(極貧生活に転落した際に、死にかけていた小さな悪魔を助けて飼い出すなど)人として最低限の良心は持っている一方、敵対した悪魔は容赦なくぶち殺せるし残虐な戦いかたもできる(敵の悪魔を、死にたくなるまで痛めつけて急所である心臓を差し出させる、というえぐい方法で倒したことがあります)。
・人間と悪魔とどっちの味方かと聞かれ、自分の面倒を見てくれるほう、と答える
など、「たまたま正義の側にいるだけ」みたいな危なっかしさがあるやつです。
「チェンソーマン」以前にも、そういう主人公はごまんといたはずです(個人的には、デッドプールが近いと思います)。
しかし少年漫画の、それも天下のジャンプの人気作の主人公なら、多少ゲスい部分があっても、芯の部分にはぶれないモラルや正義を持った頼もしいやつであるべき。そういう固定観念を、自分も持っていました。
デンジはそういう固定観念から外れた主人公でありながら、人間らしい欲や良心も持っています。だから彼は、既存の「正しさ」が溶けてきてる世の中に生きる少年たちにとって、共感しやすい主人公だ……と感じました。
自分は少なくとも、主人公のキャラ付けは、「チェンソーマン」ほど危なっかしくする気はしません。
それでも、受け手の共感を得つつ、何か1つでも、無意味な固定観念を壊せる物語を世に出したい。前からうっすらとそう思っていましたが、「チェンソーマン」のおかげで、それをやっと言語化できました。
「チェンソーマン」の作者様・藤本タツキ氏と、それを世に出してくださったジャンプ編集部の皆様に、感謝を捧げます。
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