スバルと千空の説得スタイルの違い

最初に、以下の2点を断っておきます。

・「Re:ゼロから始める異世界生活」(「リゼロ」)の主人公の、個人的に気に入らなかった点を説明します。同作を好きなかたが読まれると、ご気分を悪くされるおそれがあるので、ご注意願います。

・「リゼロ」と「Dr.STONE」(「ドクスト」)の話をするのですが、どちらもアニメ版のみを見た上での感想です。


今年の冬クール(1月~3月)に「リゼロ」と「ドクスト」のアニメが配信されていて、どちらにも、同じ声優さん(小林裕介氏)が声を当ててる主人公が出ています。

そしてどちらでも、

「主人公が他人を説得するシーン」

が何度か出てくるのですが、その説得のスタイルがほとんど正反対だったのが、個人的に印象的でした。


結論から言うと、自分は「リゼロ」の主人公・スバルの説得のスタイルよりは、「ドクスト」の主人公・千空の説得のスタイルに好感を覚えます。

説得のエピソードの詳細は割愛しますが、まずスバルの説得のスタイルには、

・相手が折れるまで延々と押し問答する(自分の記憶が正しければ、メインヒロイン・エミリアを説得した時なんて、アニメの尺にして15分くらい粘ってました)

・相手のこだわりを頭ごなしに否定することもある

という特徴があります。

それに対して、千空の説得のスタイルには、

・説得のカードを出しつくしたら、あとは相手に決定を任せる

・相手が譲れないこだわりを尊重する

という特徴があります。


スバルはメインヒロインを一途に想っていて、彼女の夢の実現を助けるために、そしてその過程で出会った仲間たちを守るために身体を張る、いい主人公です。だから自分も、彼というキャラクター全体は好きです。

しかしスバルがやってきたような、

「相手をコントロールするためにやっきになる」

というスタイルの説得を受けて、その不快感から余計にかたくなになってしまったことが、自分にはよくありました。その後自分のほうが折れても、しぶしぶという感じで、あまり乗り気で行動できませんでした。説得する側としてもされる側としても、同じ経験をされたかたはよくいるのではないでしょうか。

だから正直、スバルによる説得のシーンを見ても、「嫌だなあ」と思うことはありました。


一方、千空のスタイルでの説得は、一見すればドライで無責任に見えます。

しかし見方によっては、

「自分とは違う意思を持つ他者を尊重し信頼する」

という優しさと覚悟が感じられて、自分は好感を持てます。

自分も、彼のような態度で(説得とは少し違いますが)アドバイスしてくれる人と話していると安心感を覚えて、その後「頑張るぞ!」と奮起できた経験があります。自分自身、他の人に何か頼む時は、千空のようなスタイルを心掛けたいと思います(ただし、断られた場合の代替策は必要です)。


この記事が読者様にとって、説得という難しいコミュニケーションの参考になれば幸いです。

そして、「リゼロ」と「ドクスト」のそれぞれの作者様や出版社様やアニメスタッフの皆様、そして双方の個性的すぎる主人公を演じてくださった小林裕介氏に、感謝を捧げます。

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