百合を純潔に繋げる境界にリリスがいる
こうして私たちは最後の結論を引きだすことができました。百合のカップリングについても、同様に説明できます。たとえば、ここに少女キャラクターAと少女キャラクターBがいるとします。名前は、なんだっていいですが、「夕子」と「紫」にします。
夕子と紫は、初めは無関係でしたが、ある第三者の目には見えない力によって引合されます。その力こそ、悪魔的なもので、リリスで、巨大不明感情です。抗えぬその力によって、まず出会います。「夕子/紫」の関係が作られます。そして、さらに夕子と紫は魅かれあい、関係を結び合います。そして晴れてカップリングが成立したとき「夕子=紫」となります。このとき、すでにリリスはいなくなっています。これが「隠れるリリス」と呼べる百合ジャンルです。
「隠れるリリス」において、リリスは退隠していますから、男性的主権者との衝突は起こりえません。ここでしか言えないことかもしれませんが、私たちが彼女たちのためにしてやれなかったことを、彼女たちは違った形で償うのかもしれません。私たちは、強固な百合カップルを遠くの方で眺めることとなります。ですので、リリスの立ち位置は、どちらか一方ではなく、瞳をそらした先の間隙となるのです。いわば、リリスは、「少女=少女」の「=」に、その「/」に。ホモ・サケルとして、潜んでいるのです。百合を純潔に繋げる境界にリリスがいる。という結論の由縁です。おわかりいただけたかと思います。
まとめます。
「顕れるリリス」アダム/イブ。この構造の境にリリスが隠されており、明るみになったとき、男性的主権権力との衝突となる形。
「隠れるリリス」少女=少女。この構造の境にリリスが隠されており、明るみにならず、少女同士の関係を楽しむ形。
この二種類の形式を使って、読者に向けては、百合の新たな見方ができるかと思います。
作者に向けては、いろいろ百合作品が生産できると思います。
この百合論が百合ジャンルのさらなる発展に貢献できれば、筆者冥利に尽きます。
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