第7話 終わりよければ全てよしなことにする山田肇
肇は自分の悲鳴で眼が覚めた。自分が幽霊になったような、そんな不可解な悪夢から目を覚ますと、何のことはなく鈴音さんの部屋で寝ていたらしい。異常なほど喉が渇いていた。とりあえず水をちょうだいと、お願いした。
「ぐっすり寝てたね」と鈴音さんは笑った。夢の中の美しい女に似た微笑みだった。
翌日、平尾さんが再び店長と話をしていた。どうやら母親と話し合って、生活を整える約束をしたようだ。そのため、アルバイトは継続するがシフトの量を調整してほしいと願い出た。そのしわ寄せは肇に回ってきた。
「ごめんなさい」と平尾さんにしては珍しく頭を下げた。「まずは、資格の勉強とかから始めたくなったの」
「就職に有利ですもんね」と肇は適当に返事をした。
「母ちゃんの呪いかなぁ」と平尾さんは気になることを言った。どうしたんですか、と聞けば、途方もなく恐ろしい夢を見たらしい。
「母ちゃんがひっどい死に方をして私がえっぐい借金ずけになる夢」
あぁはなりたくないわぁ、と平尾さんはゲッソリとしていた。
パートのおばさんやおばあちゃんは、平尾さんの様子が変わったことに対して、男ができたのか、いや男と別れたんだと議論していた。フリーターの男は、俺と付き合ってくれないかなぁとぼやいていた。
よく働く平尾さんが無事に元の状態になるのを喜んでいるのか、店長は忘年会とかどうでしょうと提案した。
何人かは参加することになった。肇も、平尾さんも参加する。
肇は忘年会までの何日かを、笑顔で過ごせればいいなと考えた。
コンビニの地縛霊は役に立つ 古新野 ま~ち @obakabanashi
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