4年目ー鳴かず飛ばず
2023年はカクヨムの短編コンテストで短編賞を受賞するという宝くじに当たったくらいの幸運が訪れた。コミカライズと東京での授賞式と、未だにこれが現実だったのか、と思うような経験だった。
しかし、受賞できたからと喜び浮かれていた訳ではない。私の夢は作家になること、しかも作家として一発屋でなく息が長く読者に愛される作家になり、物書きをライフワークにすることだ。
そういうわけで、文芸系の公募をメインに挑戦していたのだが、全く結果が出なかった。
四年目で初めての快挙は地方文学賞の一次選考を突破したことだ。公募でまともに一次選考を通過したことがなかったので、これは本当に嬉しかった。二次選考であえなく敗退したときには悔しかった。それだけ頑張って作品を書いたという自覚が芽生えた。
公募に挑戦していると、既視感のある名前を見つける。そうした方は平然と一次選考を突破できる常連だ。ときに複数作品で名前が上がる時もある。なぜその一つを別の作家にしないのか、と思うが、その方の作品が優れているのだ。
何が違うのだろう、それが分かれば苦労しない。きっと常連は見えているものが違うのだろうと思う。
Webコンテストや公募で結果が出なかった、という印象の年だった。思い返せば、出した数も少ない。いろんな小説サイトの小さなコンテストにも応募したが、ここまでサッパリダメだとは。落選続きで落ち込んでしまった。
今年からは目指す公募と出した作品をリストしていくことにした。計画を立てないと空回りするばかりだ。
コンテストや公募にばかり言及してしまったが、やはり指標ではあると思う。選考通過できるレベルに至っていない、と認識している。
こればかり考えていると、頭が煮えたってしまうし、つまらない。何のために創作をしているのか、見失いそうになる。
そんな時、立ち返りたいのは楽しく書いているか、ということだ。楽しくなければ続けられない、と思う。受賞するぞ!という意気込みと自分に嘘をつかず楽しく書いているかのバランスは気をつけたい。
小説を書いていて筆が進まないとき、この物語はおもしろいのか、書く気が失せてこのまま未完で終わるのではないか、と不安になる。
小説を書き始めた当時は面白いように書けていた。それが最近は悩み、苦しむときもある。ネタ切れか、ガス切れか、書けなくなるのかも、そう思うと恐ろしい。
小説を書くのは自分と向き合うことだ。人間に深みがないとネタ切れ、ガス切れを起こしてしまう。どんなに気持ちを強く持っても落ち込むことはある。そんな時に励ましてくれる仲間、読者はありがたい存在だ。いつも感謝している。
結果を出すことに躍起になっていたが、現実の厳しさを知った年だった。この先もずっとこの鳴かず飛ばずの状態が続いた時、私はまだ小説を書こうとできるだろうか。
そんな時のためにこのエッセイを書いている。
オリジナル小説を書くこと 神崎あきら @akatuki_kz
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