三國志。その古代遺跡を、リアルに大陸まで求める旅行記です。
遺跡を見つけて一緒にはしゃぐもヨシ!
でもちょっと違う読み方も。
ちょっと離れて旅人を見ると、実は、勇者の心躍る冒険譚でもあるのです。
彼の特殊能力は「古代武将への愛と情熱」。遺跡を求めて辺境まで。たとえ残念な遺跡でも、ゴミまみれでも、旅人の激写する指は止まらない。
そんな熱にあてられ、集まる旅の仲間たち。
ガイドさん(有料)、タクシー運転手(暇)、なんと武将の末裔(今は農夫)も手を差し伸べます。
果たして無事にたどり着けるのか? 散々な目にあわないか? 毎回ハラハラドキドキ!
そして、旅が憧れとなった今では、その軌跡はよりキラキラと輝いて見えるのです。
ぜひご覧ください!
超人気アクションゲームで三国志にハマった著者さん、ついには大手旅行社の曹操墓参りツアーに応募するも人数が集まらず不催行! しかし、悲しみに暮れる著者さんへ、許昌に済む日本の人から案内するよとのメールが入る。中国のことをよく知らず、言葉もわからない著者さんの三国志遺跡巡りの旅、そのすべてはそこから始まった。
このエッセイのなにが素敵かって、「好きなものを実際に見て、そこへ宿るなにかを感じたい」、その熱の高さです。聖地巡礼などと言いますが、そもそもなぜ聖地へ向かうのか? という門外の疑問に、著者さんはばしーっとアンサーを叩きつけてくださるのですね。
そして内容のほう、もちろん三国志ネタいっぱいなのですが、遺跡へ向かう旅行に必要な知識も語られていますので、中国旅行記としても楽しめます。中でもガイドさんについてのお話は、あれこれ収まったら中国へ行ってみたいーという方のご参考になるはず。
情熱ありネタあり人もありな一作ですよー!
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)