第1話 出会い


 荒野で一人の少年が息を荒くして、

走っている。

 その少年の名はスカイ、黒髪で平均より少し高い背、夜空を写したような暗い青い目のごく普通な少年であった。

 彼は、ジリジリ照りつく太陽の下を必死に走っていた。 

 明日彼は訓練校でのテストがありこのままでは不合格と言われこうやってこっそりと訓練をしている。

 スカイは魔力の量と気配を感じる野力以外は凡人以下のため、戦いがうまくなく魔法も強化魔法と爆破魔法しか使えない。

 教官は、熱心に彼を訓練したが才能がある

人には敵わないとわかっていた。

 そう考えながらスカイは、一通り訓練を  

終わりカバンの中にある水筒を取り、一気に喉に流し込んだ。

 冷たい水が喉を通る感覚は、くすぐったく

同時に魂が引き戻されるような感覚が体にも立ったような脱力感がし、水を飲み終わりスカイは力なく、荒野の岩場で寝っ転がり涼しいそよ風を楽しむことにした。

 明日のテストは、荒野で三日間生き延びること、こう聞くと簡単に聞こえるが、彼らが送られる荒野はとても危ない。

 怪物が住む場所であり、死者が出るほど

危険なものだ。

 スカイは身をお越しあたりを見回した広々とした荒野を囲む山々、スカイの目線先に木が何本も立っており子供たちがよく遊んでいる、そこを少し抜けた先に彼が住んでいる街がある。

 小さな街で道では多くの子供が遊び、

夕方には焼きたてのパンの匂いがし、夜はみんなで集まり焚火を作り、歌うことが日課の平和な街だ。


ーそろそろ帰ろう、親方が心配しちゃうなー


 そう言って、大きく背伸びをして素早く荷物をカバンの中に詰めて街の方へ駆け出した。


 スカイは家に着いた、家の前が鍛冶場で奥が家になっている、木で頑丈に作られており

少し小さいが居心地は良い場所だった。

 スカイは親方に挨拶をすると水浴びをし、汗を流して親方の仕事を手伝っていた。

 スカイは小さいころ親を亡くし、行くあてもなく街を彷徨っていたら親方に助けられた。 

 親方は彼に食事を与え、衣服も与えそして彼に鍛冶場の技術を教えてくれた命の恩人だった。

 体は大きく、服の下で筋肉が膨張し服が破れそうだった、顔は怖そうだがとても心の広い男だった。



        • • •



 仕事の手伝いが終わり、スカイは寝床に

行こうとしたら。


ースカイ、ちょっとこっちへ来なさいー


 と親方に呼ばれた、小さな床の間で彼はテーブルの椅子に腰をかけた。

 親方は、大きな包みをとり出しスカイに渡した。


ー開けてみろ、わしからお前への贈り物じゃー


 スカイは言われたまま、紙袋を開けてゆき

中身を覗きびっくりしてしまった。

 中身は、最善の注意を持って作られた最高の品、親方の最高傑作の剣だ。


ー親方...、こんなの受け取れないですー


 とスカイは、剣を親方に返そうとしたスカイ。

 彼は、親方からいろいろなものをもらい何も返せていない、こんな高級なものを貰えるわけがない。


ー馬鹿野郎‼︎ー



 と親方は怒鳴り、スカイに拳骨を喰らわせた。

 ゴツン!、と鈍い音がしスカイの目に花火が散った


ーいってええ!何してるんだよ親方!ー


 とスカイは、親方に鋭い目線を送ったスカイはよく殴られているが、理由もなく殴られたのは初めてだった。

 親方は剣を取り出し、鞘から剣を引く抜くと、そこには魔術文字が刻まれていた。

 魔術文字が刻まれた剣は、魔力を通すことが簡単であり、魔法も発射できる言わば至近距離と遠距離の、対応ができる杖みたいな物だ。


ースカイ、悪いがお前には物を作ること以外の才能はない!この剣を使わなければ明日お前は秒で死ぬぞ?ー


ー親方もう少し、オブラートに包んでよ!さすがに傷つくよ!ー


 スカイは涙目になりながら、親方に抗議していた、彼らはいつもこんな感じだった。

 二人の間に隠し事はしない、それがこの家ルールである。

 言いたいことがあったら言う、それがとても残酷なことでも。

 親方は笑いながら、剣を鞘にしまいスカイに差し出した。


ー明日の訓練を、生き延びたらお前は独り立ちするんだ、わしからの最後の贈り物だ!ー


 そう親方が言った瞬間、スカイは胸が引き締まる感覚がした。

 訓練校を卒業すると、卒業生はパーティーを組み世界を跨ぐ旅に出るのだ、嬉しい一面

親方と好きな故郷を離れるのは胸が痛む。

 

ー親方....ー


 とスカイが喋ろうとした時、扉亞を叩く音が聞こえた。

 力強く規則正しく、ドンドン!と木を叩く音が響きスカイは、立ち上がり扉へ向かった。


(こんな時間にいったい誰なんだろう?)


 とスカイは考えながら、進んでいた、もう真夜中である、お客ではないのは確かだ。

 ドンドン!っと扉を叩き音が続く、スカイは慌てて扉を開けた。

 扉を開けた先に、月明かりを浴びて一人の女性が立っていた。

 身長は低く、髪は雪のように白く所々赤くなっていた、服装はスカイと同じ訓練校の制服を着ている、黄金のように光る黄色い目はスカイを見つめていた。

 

ーここが、スカイと言う少年の家なの?ー


 能天気の可愛い声で彼女は聞いた、だがその声の裏側には重く強いものが感じられる。

 すぐさまスカイの気配を感じる能力は警報を出し始めた、スカイの目の前にいる彼女は

彼が出会った人たちの中で最も美しく、強い人物だ。

 スカイは言葉を失っていた、こんな可愛らしい少女がこんなにも力を持ってるなんて信じられないと。

 

ーあの〜?、大丈夫ですか?ー


っと彼女は小首を傾けて聞いた、スカイは真っ赤になり慌てて返事をした。


ーそうです、ぼぼ僕がスカイです!ー


 慌てすぎたのかめちゃくちゃ噛んでしまっている、女性はそれをみてクスクス笑っていた。


ーよろしくスカイ!私はルーシー!今日は泊まりにきたの!ー


 と元気よく自己紹介をルーシーはしていた、スカイは相変わらず何が起きているのがわからなかった。

 

ールーシーさん、どう言うこと?僕の家に泊まる?ー


 とスカイは聞いた、色々聞きたいスカイだったが混乱しすぎてやっと絞り出せた質問だった。

 ルーシーは笑顔になり、


ー明日テストに参加するけど泊まる場所がなくて、教官がスカイの家で止めてもらえるって言ってくれたの!ー

 

 そう言われただけでスカイは全て理解できた、あのお節介教官はスカイがパーティーメンバーがいないためこの子を送ったのだろう。

 

 


ールーシーさん、とりあえず入って外は寒いよー


 まだ夏ではあるが、夜は肌寒く冷える慌ててスカイは扉を大きく開けて彼女を招き入れた。

 彼女は元気よく挨拶をし中に入っていった。


       • • •



ーこりゃ〜、珍しいノォ〜スカイが女の子を連れてくるなんてー


ー親方!からかうのやめて、教官が指定しただけだよ!ー


 ルーシを見るなり、親方はスカイをからかい出しし、爆笑をしながらスカイの背中を叩いてくる。

 ルーシーはスカイの部屋で休んでいた、家が小さいので、スカイが部屋を貸すことにした。

 彼女は家に入り親方に挨拶をし終わると、すぐに部屋へ行きそのまま寝てしまった。

 スカイは彼女が何者かもわからず混乱していた。

 牛乳を一口飲み、やっと落ち着いたとき親方が声をかけてきた。


ースカイお前もう気付いてるだろう?彼女は人間族じゃないことぐらいー


 スカイはコップを置き、深刻な顔になった

当たり前だった見た時から感じていた、人間はあんなに強い気配は出せない。

 この世界には種族がいくつもある、その中で一番弱いのが人間族であり下に見られていた。

 ルーシーは特に気配が強く、慣れてない人が彼女の気配を感じようとしたら気絶してしますだろう。

 明らかに人間族じゃない、だが黄色い目の白髪の種族は遠い昔に滅ぼされている。

 その種族は吸血鬼と呼ばれていた、生き血を飲み、不老不死と呼ばれていた。

 だが、何百年も前彼らは急に消えてしまった、理由は今でも謎めいたままだ。


ー明日は早いから、もう寝なさいー



 と親方はスカイの頭を撫でて、そのまま自分の部屋に入っていた。

 スカイは牛乳の残りを飲み干し寝袋を床に広げ、その上に横になった。





 


 




 

 

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クロニカル・オフ・ブロード @MATHE

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