学者とリアル 夜 交わり
「ここは夢の中の世界、あなた方の言う作者のいわば精神世界。
あの人の思うがままです。お気をつけて。」
と淡々と連ねる。辺りを見渡すと、
「ここはなんか血なまぐさいですね。それでは、10分後お迎えに上がります。」
と言い残すと煙のように姿を消した。
「相変わらずよくわからない人だいや人ではないのかそれでは彼女は何者だ」
彼が彼女の正体に思索を巡らせていると、
「犯人はあなただ!」
少年特有の甲高い声が洋館に響く。学者は自分の置かれた状況を把握するため、辺りを見渡すと、血まみれの死体をマネキンが囲んでいる。そのマネキンの視線を紋切り型の探偵の衣装に身を包んだ少年が一心に受けていた。
「動機はチジョーのもつれで、ホケンキンをたくさんもらうために殺したんだ!」
なんてめちゃくちゃな、学者があっけにとられる中、田中少年は続ける。
「トリックはミッシツがミッシツでミッシツだ!」
「おい君ちと待ちたまえ」
学者がたまらず割って入る。その口調に落ち着きはなく冷静さを欠いている。いくら学者が貧相な体つきであっても、まだ小学校に通う少年に恐怖を植え付けるには、充分であった。
「な、何、おじさん?」
「私はおじさんと呼ばれるにはいささか若すぎるがまあいい君はミステリーというものをなめているのかねだいたい犯人不在とはなんだチャレンジ精神は認めるが実力がともわないと無謀だぞいや無謀でもいいのかそのような挑戦が大事かまあそれは置いておこういやおいて…」
「おじさん誰なの?」
少年はおびえ切っている。
「ミステリーとは犯人と探偵の織りなす芸術で、ん私かい、
私は学者だよ」
「学者?」
「そうとも、まだ君には伝えなければいけないことがあるんだ。」
「お迎えに上がりました。」
煙が一瞬立ち込めたかと思うと、中から女性が現れた。
「おお時間かでは私は失礼するよミステリーの基礎は叩き込んだからね」
そう言い残すと、学者の姿が煙に包み込まれたかと思うと二人の姿は消えていた。
「学者って怖い人なんだ…」
田中少年の学者に対するイメージが固まった。
キャラクターの声を届けたい えーりん @eirin
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