SEKIGAHARA
(´・∀・`)ヘー
第1話 もう一つの結末
「な・・・なんと・・・。」
東軍総大将、徳川家康は目の前の状況に愕然としていた。
策謀を仕掛けてた小早川秀秋に裏切られ、東軍は総崩れになっていたのだ。
「こ・・・こわっぱがあああああ!!!!」
そしてなぜか敵は家康の陣営にまっすぐと襲いかかってきたのである。
まるで最初から知ってたかのように。
「どうすっかなあ・・・。」
ため息をつきながら小早川秀秋はぼやく。
取りあえずこれで21世紀まで稀代の裏切り者と言われる運命は脱した。
他人ならともかく自分自身がそう言われるのは嫌なので。
「殿。内府殿を捕らえたと伝令が来ました。」
「予想以上に早いな。」
それも当然な話だ。
秀秋は最初から諸将の位置を把握していたのだから。
短時間のうちに勝負をかけないと家康に内応していた吉川広家がどう反応するかもわからない。
「内府殿はつれて来い。それから諸将には内府を討ち取ったと触れ回れ。
ここで影響力を断ち切る。」
徳川家康はあの武田信玄に負けてから生まれ変わっている。
クソを漏らしたことを画家に書かせる事までして敗戦を忘れないようにしたらしい。
家康死すの知らせは東軍・西軍に激震をもたらした。
官僚の権化、石田三成は死ぬほど喜び、豊臣の家臣でありながら東軍であった福島正則を激怒させた。
「いや、ホント。あの俳優は当たり役だったな。」
かつて見た某国営放送であった大河ドラマに思いを馳せながらつぶやく。
「・・・次の策に移行せよ。」
武士道としてはどうかと思うが、別にこの小早川秀秋は武士じゃない。
単に今度は長生きして犬をモフりがら老後を迎えたいのだ。
本来の歴史ではこの2年後に小早川秀秋は発狂して死ぬ。
それが大谷吉継の呪いかは知らないが。
歴史を変えてでもそんな未来はゴメン被るのだ。
記憶が戻って以降、極秘裏に技術開発を行い、精密射撃用のスナイパーライフルを開発していた。
もちろん、本家の毛利や吉川には極秘にである。
ライフリングを持つそれは技術的には400年ほど先行した技術である。
それらをスナイパーとして育て上げた忍びに持たせている。
彼らには某軍曹のように銃に愛称を付けて恋人のように扱えと厳命していた。
彼らは村上水軍である。
毛利のいわば海兵隊である彼らの一部を別にそのように育て上げた。
彼らは照準器にそれぞれの標的の顔を収めていた。
距離は約1000メートル。
長距離射撃である。
軽い音がした瞬間、ターゲットの東軍の豊臣恩顧の武将らは頭から赤い血の花を咲かせて死んだ。
彼らは自分の死すら自覚出来なかっただろう。
忍びらは大混乱にまみれて速やかに脱出する。
「ようこそ。内府殿。」
「こわっぱ・・・よくも・・・」
武装解除された家康は秀秋の前に引き出された。
恨めしそうに床几(しょうぎ)に座る秀秋をにらみつける。
「東軍は崩壊しましたよ。あなたは幕府を開くことなど不可能になりました。」
「小僧、なぜにわしが幕府を開くことを知っておった?」
「もちろん豊臣を裏切ることも知ってますよ。まあ、それはそれとして俺自身の平穏な老後のためにあなたの裏の裏をかきました。」
そこへ次々と報告が入る。
「東軍で豊臣恩顧の大名は暗殺しました。福島正則殿とかですね。そしてあなた子飼いの武将には内府殿討ち死にとの知らせを広めてみました」
「な・・・」
「案の定、瓦解しましたよ。秀忠殿を足止めして正解でした。」
真田が足止めすることは分かって居たが、万が一のことも考えて街道に爆薬仕掛けていた。
何が何でも遅参させるためだ。
「なんじゃと・・・?」
「・・・小僧だと思って油断しましたな。」冷徹な目で秀秋は家康を睥睨する。
徳川は2代目が育っていないワンマン会社みたいなものだった。
現時点で求心力が無い2代目は遠く、総大将討ち死に、東軍諸将の大半が暗殺されたとなれば瓦解するしかない。
西暦1600年9月。
関ヶ原合戦後、大躍進した武将、それは小早川秀秋であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます