竹取物語

こっからはじまる陰謀論


『竹取物語』 作者不詳 平安前期(成立不明)


 この話、むっちゃやばい話やさかい、一回しかしぃひん。

よぉ聞いときや。


 かぐや姫拾うた竹取りのじいさん、言われてはる人な、実はごっつい人やねんで。


 まずや。

『古語拾遺』に書かれてんねんけど、あの天照はんが岩室に隠れはったときに、みんなで瑞殿みずのみあらかちゅう御殿造らはったんや。

で、そん時、天御量あまつみはかりで長さを計らはったんが、布刀玉命ふとたまのみことの部下の神さんの一柱、手置帆負命たおきほおいのみことちゅう神さんやねんな。


で、その神さんは、後で瑞殿に降臨しはった大国主命の『笠縫』ちゅう笠を造らはる長にならはってん。

笠ゆーて、あんた、笠地蔵の笠とちゃうで?

祭礼の呪具の笠や。


で、そっから時間経って、手置帆負命の子孫が毎年、八百万やおよろずちゅうことでえろうぎょうさん、矛竿なんかを作らはる為の竹の竿を献上してはってんけど、そっからその国、竿調国さおのみつぎちゅうて呼ばれるようにならはって、それが「さぬき」ちゅう国の名ぁになったとかいうねん。よぉ知らんけどな。


あ、この矛ゆうんは、祭具の矛で神さんが宿らはるヤツやねんで。


でや。


竹取のおっちゃんは、「讃岐造」や。

造は古代のかばねのいっこやん。で、竹取のおっちゃんは造の中でも、伴造とものみやつこちゅう、いっちゃん、えっらい人やねん。


大和朝廷に世襲的職掌をもって仕えてはった集団の豪族のおさや。な?

ここまでの話、頭んなか、収まらはった?


ええか?ほな、ここまでが前提や。


神さんが宿らはる神具を造る竹やさかい、その竹林はそこらここの竹藪違ごて神域やねん。

そこの竹に、天照大神や須佐之男命と兄弟の月読命の月から降りてきはったお姫はんが宿らはったいわはんねんな。

な、怪しい話やろ?


で、こっから始まるんが陰謀論や。ええか?


え?

ちょっと、まちや。




なんやしとみの向こう、気配しぃひん?


な?

しっ!

あかん、大声出したら……

あっ!えっ?!

体動かへん!なんやこれ?

えっ?え?

えっ!!!アンタら、なに?

え?何、勝手に入って来はんの?


あ!やめて?


ア"ァァァァー!



『竹取物語』 作者不詳 平安前期(成立不明)


今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、讃岐の造となむいひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。

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