奥の細道

神さんが旅せよ、ゆーてん

『奥の細道』 松尾芭蕉  元禄15年(1702)


 な、考えてみたら、わてらって結局な、時の流れに舟、乗った旅人みたなもんやん?

な、そう思わへん?な?

ほな、あれやん?

どこにおっても、旅やんか。

で、結局、いてまうねん。


な、わかる?


え?

ちゃうやん。

言い訳してんのとちゃうがな。

なんや、ほら。サトシとかもそうやんか?

あてはこいつと旅にでんねんて、な?

リンクかて、な?ほらな?


せや、ロマンの話してんねんよ。

なんでそないなこと、ゆうん?





ああ!せや!せや!

わてが悪かった!悪うございました!


わてな、けっこうフラフラしたいタチやねん!

わかっとるやろ!

こないだ帰ってきたばっかしやけど、なんや神さんのお告げが聞こえてん!


もう、旅の神さんが道の向こうから、おいで、おいで、してはんねん!!


あかんねん!

行かな、あかんねん!

松島の月が見たいねん!見たいゆーたら、見たいねん!


この家、あんたにあげるさかい、な、な?

堪忍やで?


あ、別荘の方にな、一発、歌、詠んでかけとくさかいな、あっちも勝手に使うてええんやで?

な?せやからな、機嫌直してや?


〈草の戸も 住替る代ぞ ひなの家〉


な?どないや?


え?一コじゃ足りひんのんか?

ほな、三つ?あと三つ詠んどこか?

え?全部で四ぃで、縁起悪い?

あー、しぃで死かいな。

まぁ、たしかにせやな。

あー!ほな、末広がりで八な、八。

ほんで、ええやろ?


ここな、ここにこうやって、かけとくさかいな?な?

ええか?ここでええか?

な?ええな?行くで?

わて、行くで?




ほな、さいならや!




(江戸やねんけど、ごめんな?)


『奥の細道』 松尾芭蕉  元禄15年(1702)


 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。

舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふるものは、日々旅にして旅を栖とす。

古人も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、

漂泊の思ひやまず、海浜にさすらへ、 去年の秋江上の破屋に蜘の古巣をはらひて、

やゝ年も暮、春立る霞の空に白川の関こえんと、そゞろ神の物につきて心をくるはせ、

道祖神のまねきにあひて、取もの手につかず。もゝ引の破をつゞり、

笠の緒付かえて、三里に灸すゆるより、松島の月先心にかゝりて、住る方は人に譲り、

杉風が別墅に移るに、

 〈草の戸も 住替る代ぞ ひなの家〉

 面八句を庵の柱に懸置。

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