8:27

3月31日 久瀬良平

『ちょっとすみません!久瀬さんいます!?』


なんだこのばあさん乱入してきて。


てかこのデイサービスの男にもわけわかんねー嘘ついちゃったじゃんよ。


『昨晩大きな音しましたよね?!しましたね?!』

なんだこの圧力は。


ん?待てよ。大きな音…。


あれか!?


昨日の晩、ばあちゃんが臭すぎて氷風呂にぶちこんだんだ。


臭いもとれて尚且つ冷たくなって腐敗防げりゃ一石二鳥じゃんと思って。


風呂から抱えて出すときばあちゃんの両足が床にドンッ!ってなっちまった。


介護って大変だなぁ。



ってそんなことより!


『音かあ…俺寝ちゃってたからなぁ。』


それで納得してくれると思った。


のに。


『じゃちょっとお婆ちゃんにお話聞かせてください。お婆ちゃん!シズエさーん!』


『ちょっ!!』

ばあさんは玄関から乗り出しばあちゃんを呼ぶ。


『なんすかあんた!うちのばあちゃん寝てんすよ!疲れてて!』



とりあえず追い返さなくては。

デイサービスの兄ちゃんはボーっと成り行きを見てる。暇なのか?



『…すん………すんすんすん……』


ばあさんが鼻をくんくんさせてる。


『なんすか!?』



『なんか変な臭いしません?』


ギクッ


え、ばあちゃんの腐敗臭ここまで臭う?!

やべー!ちょっと待ってくれ!!



『なんか燃えてる匂いよ!!』


ばあさんが叫ぶ。


え?

燃えてる?



『あ!!あれ!!』

デイサービスの兄ちゃんが部屋の奥を指差す。



台所から炎が上がっている。




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ワタシの死体~ミニマムストーリー3~ 大豆 @kkkksksk

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