戦術自衛軍、準備を整える
結果としてこの件についてはこの程度の被害で済んだものの、実行犯についてはこれからである。
ゆえに、
「もしかしたら俺達の出番もあるかもしれないな」
訓練を終えた
<
であった可能性が高いとして、他の部隊と共に待機命令が下ったのである。実際に出動となった時に最も準備が整っている部隊が当該の任務に就くことになるわけだが。
「でも今回のは、ただのクラッカーで愉快犯の可能性が高いんでしょ? さすがに大袈裟じゃないかなあ」
と軽口を叩いたのは
「隊長も岩丸も、不謹慎ですよ」
諫めるように言ったのは、
「あはは、まあそうだな。任務は任務だもんな」
バツが悪そうに笑いながら頭を掻く。大変に優秀な軍人でありながらスイッチがオフになっている時には本当に頼りなさそうにも見えるのは相変わらずだった。
それでも、彼の部隊は百戦錬磨の精鋭揃いである。かつての<クイーン・オブ・マーズ号事件>での活躍からも分かる通り、いざとなれば大変に優秀なのだ。あの一件は相手がクグリだったことで苦戦もしたが、クグリ以外のテロリストに対しては致命的な遅れは取ってないし、クグリを相手に隊員には一人の死者も出さなかったのは、クイーン・オブ・マーズ号に降下してからは乗客にも死者を出さなかったのは、千堂アリシアがいたのもさることながら、彼らの能力の高さゆえであるのも間違いない。
そして、肥土達と同時に、アルビオンにおいても対テロ部隊に出撃の準備に移るように指令が下されていた。役員会議での承認が得られたからである。こちらは、イギリスの<特殊空挺部隊(SAS)>の流れをくむ部隊で、特に対テロ作戦に特化した特殊部隊である。もっとも、ニューオクラホマが擁する<サーペント>と同じく表向きは存在しない部隊でもあった。
だがその前に、こちらは<秘密情報部(SIS)>の流れをくむ部署が、実行犯の特定とその背景を探るためにすでに動いていて、何人ものエージェントが派遣されてもいる。侵入ルートを手繰って、おおよその位置も特定された。
それは、タラントゥリバヤ・マナロフが眠る<縁なき魂の安息の地>を擁する都市<シュヴィーツ・フォン・マーズ>の外周部に存在する集落であった。
もちろんそこにもエージェントは派遣される。
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