アルビオン、JAPAN-2にクレームを入れる
こうして改めて、
『サンプルの中から必要な動きを抽出する』
ことが確認されたものの、そもそもその抽出作業が大変なのだ。条件を絞り込めばトリミングはできるが、それだけでは従来の動きと大差ない部分しか残らないのも事実だった。だから単純な条件付けだけでは拾えない部分にこそその要素があるということだろう。
まさにそこが、
<千堂アリシアの腕の見せ所>
とも言える。アリシア自身の経験をベースにそれに近い動きをピックアップ。その動きが実際に白百合2139-PB(仮)の体で再現できるかどうかを試していくわけだ。
実に気の遠くなるような地道な作業である。アリシアがロボットだからこそできるものでもあった。けれどその先に確実に答があるはずだという確かな予感もある。
ならばそれを目指すしかない。
だが、そうしてアリシアらが自分の仕事を懸命にこなしている一方で、いささか厄介な問題が別の部署では立ち上がっていた。
他の都市との取引については先にも触れたとおり、総務部渉外課を通して行うもののそれぞれの商品の内容についてはさすがに各部署で直接対応しないと無駄に手間がかかるので、こういうことも起こりえる。
エレクトロニクス部サプライヤー課自体も商品そのものを製造する部署ではないものの管理を受け持っていることからクレーム対応の最前線となってしまうわけだ。
そして良純もこの思わぬ事態の対応に追われることとなった。
アルビオンからもたらされたクレームの詳細については、
『
というものだった。
「ごめん、今日もそっちに寄れそうにない」
「そう……分かった。お仕事頑張ってね……」
良純と紫音がそんなやり取りを電話でしているのを耳にして、アリシアも笑顔で接客はしつつも内心では心配してたのだった。
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