間倉井診療所、再開する
こうして、大変な一日を終えた
なのでそれはいいとして、あの日、目を覚ましたらいつの間にかアリシア2234-LMNが戻ってきていたことに
「無事に終えられたんだな?」
と問い掛け、
「はい。滞りなく」
彼女の返事にこちらもホッとしていた。それからは予定通りに
と同時に、アリシア2234-LMNのストレージに溜め込み過ぎていたデータを新たなクラウドサーバーと自宅に設置したサーバーに改めて移し替え、記憶容量が圧迫されていた状態を解消した。
「はあ……いくら手元に置いておいた方が安心だからって限度ってものがあるよな……」
と反省する。十分な容量が確保されていれば、千堂アリシアに迷惑を掛けることもなかったのだから。
とは言え、秀青自身は知らないものの、実はそのおかげで安吾は無理なくニーナの出産に立ち会えたので、ある意味では<怪我の功名>という状態だったとも言えるだろう。あのままアリシア2234-LMNが
秀青のアリシアはあくまで<普通のメイトギア>だからである。特殊な設定を行って、メイトギア特有の<笑顔>は見せなくなっているだけで、その程度であれば、千堂アリシアに比べれば<普通の範疇>に収まってしまうだろう。
ナース仕様ゆえに必要以上の笑顔は浮かべず淡々とした対応をする久美や亜美でさえ、安吾にとっては『気持ち悪い』のだから。
ただ、こうして何とか無事に再開できた
容体そのものは安定しているものの、百二十年に及ぶ人生の疲れを癒そうとでもするかのように、眠り続けているのである。
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