特殊部隊仕様のメイトギア、出し抜かれる
「!?」
降下してから四つの隊に分かれて任務にあたっていたサーペントの隊員達は、順調に任務をこなし、この時点で予定されていた<目標>のほとんどを拘束していた。一部、取り逃がした可能性もあるものの、そちらについてはまた別途対応することになる。
それを再度確認し、合流地点に戻る準備をしていた隊員達は、自分達の背後にいつの間にか何者かが立っていたことにようやく気付いた。
しかも、その隊にも<特殊部隊仕様のメイトギア>が配備されていたにも拘わらずである。
そして、気付いた時には一人が打ちのめされて失神し、もう一人も腕を締め上げられて首を極められ、身動きが取れなくなっていた。さらにはその隊員を盾にして、メイトギアも牽制される。
そんな、普通の人間には不可能とも思える動きをする何者かに、メイトギアのメインフレームが該当するデータを検出する。
しかし、それを送信した直後に、そのメイトギアさえ機能を停止した。
まるで爆発音のような銃声と共に。
「っ!? 今のは、まさか……?」
<元軍人の男>と対峙したサーペントの隊員を守ったメイトギアは、ビルの陰に溶け込むようにして身を潜めていた。サーペントが放ったドローンの探知能力の死角になる部分にだ。そのメイトギアが、銃声を察知し声を上げる。
と同時に、弾かれるように動く。それをドローンが探知する。探知されることにはもう構っていられなかったようだ。
できれば面倒なことにならないように振り切りたかったが、そうは言っていられない事態を察知したのである。
「……よお、やっと会えたな……」
「―――――あなたは…っ!?」
駆け付けたメイトギアにサーペントの隊員とサーペントの配備されていたメイトギアを圧倒した何者かが、ニイと笑みを浮かべながら振り向き、メイトギアの方も驚いた表情をした。
したが、同時に、
「……って、違う……?」
とも口にする。一瞬、思い当たる人物があったものの、
『適合率八十七パーセント……?』
メイトギアとしての機能は、嘘偽りなくそう告げていた。
『同一人物ではない』
と。
整形手術であっても、同一人物であればここまで低くない。逆に、たとえ一卵性双生児であっても、別人であれば九十パーセント台であろうとも別人と判断される。それくらいに、顔認証システムの精度は上がっていた。それがはっきりと<別人>と告げているのだ。
しかし、その人物から受ける印象は、まごうことなき<あの男>のそれだった。
だからこそ、問い掛けてしまう。
「あなたは……クグリ…なのですか……?」
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